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大企業サラリーマンが、好きなことのために会社を辞めたら「ベーシックインカム」を得た話(3)

おはようございます。とりあえず3日間続けられたので3日坊主は乗り越えられました。

〇辞めてから悩む
会社を辞める前まではのほほんとしていたのに、辞めてから急に無職という現実が襲いました。赤裸々な話をすると、年収は1200万円を超えていたので、これがゼロになりました。しかも、次の挑戦も資金化の目途が全く立っていません。

「貧すれば鈍する」とはよく言ったもので、物質的な不足は精神的な不調を生み出します。当面生きるための貯金はあるはずなのに、定期収入がないというだけで絶望的に不安になる。給料が毎月入らないことに予想以上のショックを受けていたところを見ると、いかに自分が安定志向だったかが良くわかります。

起業をしても目途が立っていないので収入にはならない。一生懸命転職活動をして、仕事を見つけたとしても、多分前職よりも条件は悪くなる。しかも、やりたいことすらできなくなるかもしれない。それならば、そもそも自分は何で今の会社を辞めてしまったの?

迷走が始まりました。

自分で決めて辞めた筈なのに、一時の気の迷いで、なんと愚かな決断をしたのだろう、と自分を責め始めました。以前より食欲が落ちたり、寝付けなくなりもしました。

そんな冷や汗で眠れない日々を過ごしているうち、自分が安定して暮らせていたのは基盤があったから、というのも痛感しました。毎日好きなものを買って、頻繁に外食に行けて、海外旅行にも行けたのは収入があったから。それがなくなると、何も行動ができなくなってしまう。

これは、恐らく、自分の健康や家庭の円満、他にも、環境次第で自分の人生などどうにでもなってしまう。そんな厳しい現実の前に、下駄をはかせてもらっていた自分の実力など無力そのもの。思い上がっていた自分が情けない、と思いました。

また、多分辛いことも沢山あっただろうけれど仕事を定年まで勤めあげた両親や、会社に所属せずにフリーランスでその日の生計を立てている友人達が、いかに立派かを思い知らされました。大企業に入って、自分のレベルが上がったと勘違いしていましたが、自分は自分のままでした。何かに生かされていた自分に気づきました。

〇前を向き始める
しかし、一通りぐずった後に思ったのは、「失うものも多かったけれど、得たものも多かった」ということです。まず、時間と気持ちに余裕ができました。これまでは、土日でもつい仕事のことが頭から離れず、心底リラックスできたことはありませんでした。

次に、今はブログの発信や文化の活動に心置きなく時間を割くことができています。自分の好きなことに思いっきり挑戦できています。そのせいか、周囲の人から、「会社を辞めたあたりから性格が大らかになった」とも言われました。

何より、自分を見つめ直す時間を持つことで、「これまで必要以上に何かに執着をしていたな、また、大事にすべきものを疎かにしていた」、と冷静に物事を見るようになりました。こうした考えを持てたのは、なんだかんだ、会社を辞めたからです。

結局、前稿の「自分の好きなことを取るか、辛いけれど安定した仕事を取るか」という問いは非常にシンプルで、どちらを取っても辛いものは残るし、また、どちらを取っても何かを得られる、という事なのかもしれません。

〇「自分の好きなことも、安定した仕事も取る」
ただ、ここまで少し良い話をした雰囲気をぶち壊して申し訳ないのですが、自分はそれが嫌でした。

「まあ、人生そんなもんだよね」と言いながら嫌な仕事をするのも、「夢を追ってます」と言っておきながら日々のご飯にも苦しむのも、どちらも嫌だなと思っていました。

しかも、自分の場合、自分自身の夢を追うというより、日本と世界の人間社会にとって絶対に大事だろうと確信をもっていることをやっていたので、「自分の活動に専念できれば、ものすごくパフォーマンスが上がるのに。もっと人のために動けるのに。」と勝手に思っていました。

参考になるのが、いわゆるアスリート採用です。大手企業がスポーツのアスリートを雇用する仕組みは日本でも導入されています。自社が応援しているスポーツ選手が日本と世界で活躍をすることで、日本人に夢を与えられるし自社の宣伝にもなる。とても素晴らしい仕組みだと思います。

一方で、なぜこの採用がスポーツに限定されているのだろう、と疑問にも思っていました。スポーツ以外にも、世の中に夢と希望を与えられる職種はあります。誰もやらないけれど大事な社会貢献活動を陰で頑張っている人もいます。

勿論、メディアへの露出が多い方が、スポンサー企業にとってメリットは大きいという理由はあるのだと思いますが、それは飽くまでその会社が何にメリットを感じるか、という話です。会社によってはメディアの露出以外の何かをメリットと考えるかもしれません。

で、あれば、私の活動の趣旨や意図を理解した上で、応援してくれる会社はあるかもしれない。

実は、会社を退職する半年くらい前にこの仕組みを思いつき、何人かの経営者の知人に相談をしてみました。全員が、「面白い仕組み」と評したものの、誰も私を採用してくれませんでした。理由を聞いてみると、やはりメリットの部分がネックだということです。

「あなたは良いことをしているけれど、それに自分の会社がお金を出すほどではない」という事でした。

これは、悔しいけれど正論で、私が自分の取り組みの価値を伝えられなかった。それだけの話です。

宝くじを買うようなことはやめて、真面目に働くことを決めて「そろそろ転職活動をしよう」と心に決めた、そんな時に出会ったのがA社長でした。


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