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恐怖や不安は、紙の上でシバく

毎年、1月のこの時期は仕事が立て込みます。目が回るくらいに企画を考え、制作し、入稿している。

レギュラー的にいただいている仕事の他に、新卒採用向けの施策の準備が、佳境を迎えるためです。

目を離せばあっという間に、メールやチャットの連絡が溜まっていきます。

「年末年始の休み」は例年ほぼなく、今年も実家には帰ったけど、近くのビジネスホテルにこもり、大切な家族行事以外はずっと仕事をしていました。

仕事をしていれば問題が起きます。

「発注者が約束を守ってくれない」
「コンサル的な人、偉い人が横槍を入れてくる」
「計画通りに物量が捌けない」

たいていのことは笑っていられます。この仕事をもう10年以上やっていますから。

ところが、予想外の出来事もまあまあたくさんあって。

「どうすりゃええんや」

と、うろたえることもあります。プロジェクトの責任者的なポジションがほとんどなので表情には出しませんが。

それが2件、3件と重なり、さらにはプレゼンや撮影、入稿作業などでキャパを圧迫されてしまえば、メンタルはひとたまりもありません。

企画やディレクション、コンサルテーションを生業にするぼくらの仕事は、心身が健康であることが絶対条件です。

だから食事や運動、睡眠時間などには気をつけている方です。

健康でなければ、正しい意思決定はできないし、培ってきたスキルも発動できない。そして何より調整・交渉ごとで弱気になってしまう。

37歳になってようやく、自分のコンディションを整える方法が持てるようになりました。

その中のひとつは「書く」ことです。

うろたえてしまった自分、不安を感じてしまった自分、弱気になっている自分を言葉にしていく作業。

言葉で心をハダカにしていく作業とも言えます。言葉の一つひとつは断片的で、第三者が見ても何がなんだか分からない。

例えば、

「●●がヤバい」

という言葉に下線を引いて

「何がどうヤバいのか?」
「過去に同様の事例はなかったのか?」
「ヤバさのスコアはどの程度なのか?」

と自分へ取材するように言葉を散らかしていく。PC上でタイピングすることもあれば、紙に殴り書いていくこともあります。

すると不思議なことに気持ちがスッキリします。

不思議と「たいしたことないな」とか「おれならいけちゃうな」とか「覚悟を決めて全部ぶつけるか」とか、力が湧いてくることがほとんど。

漠然とした負の感情を、心に溜め込んでいるだけではロクなことがありません。

ぼくの場合、目の前の壁や、後ろにいる怪物から追いかけられているような焦燥感に駆られることがあって、息苦しくなって過呼吸になってしまう。

ところがそれが言葉に落ちるだけで、ずいぶん気持ちが落ち着く。心の外に感情を書くことで

「シバける」

という気持ちにさえなれます。

しかし、これはぼくが広告のコピーを真剣に書き始め、数年経ってからできるようになったこと。

自分でコピーを書いていない時、真剣に向き合っていない時はすぐにメンタルが崩れました。

広告コピーは企業や商品を好きになってもらったり、愛してもらったりすることをゴールに書きます。

その力は案外自分に向けることで、救われることが多いと分かった。

ぼくが誰かに好きになってもらったり、愛されたりされるかは分からない。

それでも言葉にすることで、敵の正体が分かり、解決策の手がかりが見つかったり、気持ちが落ち着いたりすることは間違いないと思っています。

前回のnoteで予告したこととは違う内容になっちゃったけど、まあいいや。

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