令和6年4月25日 参議員議員本会議 民法等の一部を改正する法律案 国民民主党・新緑風会 川合孝典議員
川合孝典議員
国民民主党新緑風会の川合です。まず、小泉大臣にお伺いをしたいと思います。先週の参議院の本会議で大臣に質問させていただきました。冒頭なんですけれども、子の利益の定理についてご質問しましたところ、大臣は子の利益の意義についてお答えをいただきました。役所がわざと間違えたのか、大臣が言い間違えたのかわかりませんが、その答弁の中で大臣は、子どものいわゆる利益について、その子の人格が尊重され、その子の年齢および発達の程度に配慮されて、養育されて心身の健康、健全な発達を図ることが子の利益、また父母の別居後や、離婚後においても、父母双方が適切な形でこの養育に関わり、その責任を果たすことが子の利益にとって重要との認識をここで示されています。改めて子の利益について確認をさせていただきたいんですけれども、子の利益は親権に優先されるという認識をしていらっしゃるのでしょうか?確認させてください。
小泉法務大臣
子どもの利益とその親権は、相対する概念では必ずしもなくて、親権を行使するとき親権に関わる様々な判断そういったものをがなされたときに、子どもの利益を尊重してやっていこうとこういう基本的考え方で、構成されていると私は理解をしています。先ず本改正案では親権は子の利益のために行使しなければならず、また、裁判所は親権者を定め定めるにあたって、子の利益を考慮しなければならない。子どもの利益というものを念頭に置いて親権者を定め、また親権は行使される、こういう形です。また、民法766条では離婚後の子の監護に関する事項を定めるにあたって、子の利益を最も優先しなければならない。これは親権ではありませんけども、子どもの養育に関する監護の問題についても、子の利益を優先をするこういう形でですね、子どもの利益は親権の行使、親権者の定め等において、最も重要かつ優先して考慮されるべき要素であるというふうに考えております。
川合孝典議員
はい。民法が今回大きく改正をされるということで、そのことによって家族のあり方自体が根本的に変わるということをおそらく意味するんだろうと思っています。そうしたときに従来の民法の家族法の解釈ということの中での親権と子どもの利益との関係値というものが、共同親権が導入されたことによって果たして同じ状態で、将来にわたってその理屈が通用していくのかということはまた別の話だと思うんですね。私がこのことを冒頭申し上げた理由は、共同親権ということで親権のあり方所在というものについて、今回衆議院側でも様々議論がされてきたわけでありますけれども、深刻なDVですとか子の連れ去りといったような極端な事例に基づく様々な問題に関して、単独親権、共同親権のあり方が議論されることとは別に、基本的に親権というのは親の権利であって、この親の権利の所在というものを、子の利益を通じて議論するということは、私正直が違和感あるんです。本来問われるべき、議論されるべき優先されるべきは、子の監護の共同義務のような感じですよね。子に対する義務をいかに離婚親が負うのかという事が本来問われなければいけない、私はそう思ってます。従ってそうした観点から、子どものために今回の共同親権のいわゆる導入というものが、どう機能するのかということについて議論をさせていただきたい、このように考えております。二つ目の質問に入りたいと思います。これは民事局長、お願いします。
今回民法766条の2に定める第三者への申立権の付与でありますけど、これは具体的に、例えば祖父母と子供との交流等についての申し立てということを指しておりますが、この第三者に申し立て権を付与することについて、そのことの結果として、現に監護をしている監護親への負担が増えるのではないのかといったような懸念の声もお寄せいただいております。従って今回この766条の2に定める第三者への申し立て権の付与というのは、具体的にどのようなケースを想定して、今回規定されようとしているのか、このことについてわかりやすくご説明ください。
竹内民事局長
お答えいたします。一般に父母の離婚前に子と祖父母等との間に親密な関係が形成されていた場合におきましては、父母の離婚後も引き続き、子と祖父母等との交流を維持することが、子の利益の観点から望ましい等を考えられるところでございます。最も、祖父母等との親族からの申し立てを無制限に認めてしまいますと、子や同居親が多数の紛争に巻き込まれ、返って子の利益に反するような事態も生じるところでございます。そこで本改正案では子との交流の申し立てをすることができるのは、原則として父母であるとしつつ、例えば父母の一方が死亡した場合等、他に適当な方法がないときは、祖父母等の親族からの申し立てをすることができることとしているのでございます。
川合孝典議員
父母の一方が亡くなられたようなケースの場合に祖父母が申し立てができるという事が一つ具体的な事例だというご説明でした。多少この事でご心配されてる方の懸念が少しは軽減されたのではないかと思います。次の質問に移ります。
子の利益の要件をガイドラインなどに明文化するべきなのではないのか、この明文化ガイドラインの話については様々な側面で皆さんがご指摘されているわけでありますけれども、この子の利益ということについて、裁判所の判断もそうですし、恣意的なその解釈を行っているのではないのかということも含めて、司法の判断に対する不信の声が少なからず寄せられていることはご承知だと思いますが、私は子の利益を司法が判断するにあたって、恣意的な解釈を行っていると思われないような、受け取られないような子どもの利益・権利の判断というものをする上では、こういうことが子どもの利益ですよということを、ガイドラインのような形で引きのような形で、明示化するということが、誤解を生じさせないようにする当事者双方、当事者の納得感を高めることにも繋がると思いを持っておるんですけれども、このことについて、法務大臣はどのようにご認識をされておりますでしょうか?
小泉法務大臣
何が具体的に子どもの利益であるか、それを私もこの質問いただきましてずっと考えてるんですが、やはりそれぞれ子が置かれた状況、ご家族の状況、それぞれありますので、その中でこういうものだと一義的に子供の利益を規定するということは、やはり困難だと思います。そしてまたいろいろな状況に対応し得るためにも、大きな概念として、子どもの利益というのは子どもの幸せですよね。子どもの幸せが増えるように、困難が少しでも減るように、通常の親が子に対して思う願う幸せ、そういう大きなお概念として、やはり存在している、この法体系の中にですね、規定するということが、やはり妥当なことではないのかなと思います。そして子どもの利益が強く関わることについて、例えば親の責務、養育費の履行確保、親子交流の実現、子どもの利益、子どもの幸せに強く関わる重要事項については、今回の民法等の規定の見直しを行っているわけでございます。そういうことと併せて、子どもの利益というものを、子どもの幸せ、子どもの困難の減少、そういった言葉に置き換えても同じかも知れませんけども、我々は解釈を通じて、適切な執行に結びつける努力をしていかなければいけない。そんなふうに思います。
川合孝典議員
はい、これだという正解がすぐ出るような話ではないことは承知はいたしておりますけれども、今後新しい制度が導入される中で新しい判断をしなければいけないとなったときに、少なくとも、当事者の方々が、その地方の判断に、やっぱり、なるほどとそういう判断をしている、そういう基準で判断してるんですねということを、理解していただけるという事が、とても大事だと思うんです。従って理解していただく上で、どういう方法が適切なのかということは、ぜひ不断の検討を行っていただければありがたいと思います。
次の質問、最高裁の方にご質問したいと思います。例えばの例なんですけど、離婚訴訟でDVを理由とする面会交流の可否などが争われている場合、その最低の正確性を期すために、裁判所はどのような手続きをとっていらっしゃるのか。このことについてご説明ください。
馬渡家庭局長
先ず前提として具体的な事案においてどのようにDVの事実認定を行うかにつきましては、個別具体的な事情を踏まえて、個々の裁判対応による判断ということになりますので、事務当局としてお答えすることはできませんが、その上で一般論として申し上げれば、DVの有無に争いがある場合には、その事案に応じた様々な証拠等から判断されるものと承知しておりまして、それのみで容易に事実が認定できるような、確たる証拠がない事案におきましても、供述証拠やこれを補強する証拠を含め、証拠と認定される事実関係を総合して検討し証拠と事実に基づいた、適切な判断となるように努めているものと承知しているところでございます。
川合孝典議員
はい、裁判所としては手続きは従前に行っていらっしゃるということなんだろうと思うんですけれども、一方でそのDVのいわゆる事実認定を行うにあたってそもそも、当事者の方からすれば、そのことを立証することが、非常に困難であるといった御指摘もあるとなったときに、そこの要はDVの存在の有無ということを、いかに裁判所が判断するのかということは実は重要な肝の一つということであります。従っていわゆる認定に当たっての事実認定を行う上での手続きというものを、ケースによってもちろん対応の仕方が違うということではありますし、一般論としては今お話をされたことがあって、あってるんでしょうけれども、現実問題としてその結果として、問題が起こらないのかといったら残念ながら裁判離婚でも問題が起こっているということを考えると、十分な対応にはなっていないということを前提として、今後、民法改正された後、どういう手続きをとることで、このDV認定について裁判所が判断を行うのかということについても、改めてその手続き等も含めて、見直す検証するべきなんじゃないかと私は思うんですけど、すいませんこれは通告しておりませんけどいかがでしょうか?
馬渡家庭局長
委員の手続きと言う意味がちょっとどう理解すれば良いのか、よくわからないとこありますが、我々が裁判をやる上では、家事事件手続き法なり、人事訴訟手続き法に基づいた、手続きをとるというとこでございまして、これは改正法が成立した、してもしなくても、その前後で変わらないということでございます。その中で先ほど申し上げたような考え方に基づいて事実認定をしていくという事でございますし、委員の問題意識からすれば、おそらくは事務当局として申し上げられることとすれば、DV事案についての適切な診断がされるように、裁判菅を初めとする関係職員のDVに関する専門性の向上と、いうことでこれまでも様々な研修をしてきたところでございまして、今後ともその必要な研修を実施するなどして専門性の向上に努めてまいると、ことでございます。
川合孝典議員
はい、ありがとうございました。次にですけれどもこれは民事局長ですかね、政府参考人にご質問したいと思います。裁判所のいわゆる決定に従わない場合の罰則規定を設けることについての認識についてお伺いしたいんですが、フランスなどでは、家族事件裁判官が暴力の有無等について、認定した上で保護命令を発することがそもそも規定されていて、この保護命令に従わなければ拘禁刑や罰金を科すことで、保護命令の実効性を担保するような法整備を行っている。確実に養育費を支払わせる、いわゆる協議して成立した申し合わせ事項については確実に遂行させるということについて、相当な強制力のある法律の整理を行っているということなんですが、日本でも裁判の場合ですということにはなりますが裁判所の決定に従わない場合の罰則規定を設けることについては検討するべきなのではないのかという意見が根強くあります。この点について法務省のご認識を伺います。
竹内民事局長
お答えいたします。養育費や親子交流の履行確保は、子どもの健やかな成長のために重要な課題であると考えております。また、養育費や親子交流の履行確保のため、委員ご指摘のような取り決められた内容の不履行について刑事罰を導入すべきとの意見があることは承知をしているところでございます。しかし一般に民事上の債務の不履行それ自体に対して刑罰を科している例はありませんで、そのような制度の導入については慎重に検討すべきであると認識をしておるところでございます。
川合孝典議員
はい。現状は法律の立てつけでいけば、そういう判断になるということは説明は理解はしているんですけれども、決定の拘束力をいかに高めていくのかということについては、知恵を絞る必要があると思うんですね。裁判所決定を受けても守らなくても別に何の罰則も無いとなったら、当然守るわけがないわけでありますので、そのことの結果がいわゆる養育費の不払いにも不払い率が極めて高い、高止まりしている状況を温存してしまっているという事実もあるわけですから、それが駄目だというのであれば他にどういう方法があるのかということについては、対案をやはりきちんと明示しできないと、当事者の方々はご納得されないということだけはご指摘させていただきたいと思います。その上で次の質問に入りたいと思います。
DVなどの防止および安全安心を確保するための具体的な取り組みということで、これ大臣の本会議答弁においてお話されたんですがDV等を防止して、安全安心を確保することの重要性を認識した上で、本法案成立後、円滑な施行に必要な環境整備を行うと、小泉自身がご答弁をいただいております。これ具体的にな取り組みとして、どういったことを想定していらっしゃるのかということについてお伺いします。
竹内民事局長
お答えいたします。本改正案を円滑に施行し、子の利益を確保するためにはDV等を防止して安全安心を確保することが重要になってまいります。この点について衆議院法務委員会の付帯決議では、DVおよび児童虐待が身体的な暴力に限られないことに留意し、DVや児童虐待の防止に向けて、被害者支援の一環としての加害者プログラムの実施の推進を図ることを含め、関係機関と連携して被害者の保護支援策を適切にすることなどとされているところでございます。法務省といたしましては、本改正案が整理した際には、その円滑な施行に必要な環境整備につきまして、DV被害者支援に関する政策を所管しております内閣府等の関係府省庁としっかり連携して取り組んでまいりたいと考えております。
川合孝典議員
具体的な取り組みは内閣府という理解でよろしいですね。内閣府がやるということですね。
竹内民事局長
DV被害者支援策となりますと直接所管する内閣府ということになりまして、事務局としてはしっかりと内閣府等と連携して取り組んでまいるという立場かと考えております。
川合孝典議員
やはり、共同親権を導入しいる欧米の国においてもDVの被害というのはむしろ日本以上に深刻な状況に置かれています。死者も少なからず出ているという状況の中で、従って激しいDVから要は被害者を守る、命を安全を守るためにということで、相当な取り組みを実はしているのがヨーロッパの共同親権、先進国であったということをご理解いただきたいと思います。その上で私が申し上げているのは、DVシェルターですとか、DVの被害者を守るための様々な取り組みというものをやってないわけではないんだけれども、今の体制、それからDVシェルターについても国が別にやってるわけじゃありませんので、民間の活動に対して支援を行うといったようなものでしかありません。極めて脆弱だということを前提として、今後どうするのかということの議論をしていただかないと、当事者の方々は全く安心できないということをこの場でご指摘させて頂きたいと思います。そうした状況の中で例えば、確かフランスだったと思いますが、つい最近もホテルの部屋2万室だか何だか、いわゆるDVからの避難場所として国が国費を投じて確保するといったようなことまでやっておられるみたいであります。ぜひ海外の先進事例というものを、ご検証いただいた上で、共同親権を行うとこれまでと全く違う、あの日本の家族の概念が根底から変わるかもしれないような大きな法改正を行うにあたっては、当然のことながらそのことによって生じるかもしれないリスクに対してどう準備を行うのかという事も、ものすごく大事だと思います。従ってこのDVに対する備え、構えというものをどうするのかということについては、ぜひ速やかにご検討いただいた上で、本施行までに一定の結論というものを、国民の皆さんにご提示できるようにしていただきたい、これが私からのお願いということであります。次の質問に入りたいと思います。
8番ですね。別居離婚後の親子交流の頻度についてちょっと確認をさせていただきたいと思います。こちら政府参考人で結構です。エフピックにおける受け渡し方の交流での交流頻度の上限は大体おおむね月1回日帰りということだと伺っておりますが、この交流頻度がそのようになっている理由というのを教えていただけるとありがたいです。
竹内民事局長
ご指摘のエフピック公益社団法人家庭問題情報センターでございますが、このような親子交流を支援団体がその利用にどのような条件を設けるかというような親子交流支援団体の個別の活動について、法務省の立場でコメントすることは差し控えたいと考えます。その上で、一般論として申し上げれば、親子交流支援団体は、父母のみで適切な親子考慮することが困難な場合などに利用されることが多いと承知をしております。そして親子交流支援団体は、親子交流への付き添いだけでなく、父母間の連絡調整や子の受け渡し支援等を実施している場合もあり、事案によりましては、こうした支援が安全安心な親子交流の実現に資する場合もあると承知をしております。法務省といたしましては、これまでも親子交流支援団体向けのを参考指針を作成してホームページ上で公開しているところでございますが、親子交流に対する支援のあり方については、今後も関係府省庁とも連携しつつ検討してまいりたいと考えております。
川合孝典議員
はい。次の質問に入りたいと思いますが、欧米の複数の共同親権の導入国において、養育費支払いの履行率と面会交流頻度との間に極めて強い相関関係がある事が指摘されています。例えばこれはドイツなんですが、教育費の支払いの履行状況は、親子が頻繁に面会交流をしている場合には85%となっている一方で、全く面会交流を行っていない場合には40%まで低下しているという極めて顕著な差が実は出てます。アメリカでも似たようなデータがあるということです。このことから円満かつ頻繁な親子交流の実施が養育費受給率の上昇に繋がる事が強く推測されるということなわけでありますけど、このこうしたデータについての法務省の受け止め、法務大臣の受け止めをお伺いしたいと思います。
小泉法務大臣
ご指摘のケース、私も拝見をしております。明確に二つのグループでパーセンテージが変わっているというのは明白だと思います。これドイツの例であります、アメリカでも同様の傾向があるということはしっかりとここで判断ができるというふうにも思っております。これに比べて我が国の状況は、必ずしも受領率実施率、親子交流の実施率、養育費の受領率いずれも諸外国と比べて、アメリカドイツでありますけども、決して高いと言えるものではありません。離婚時に父母が養育費や親子交流を取り決めすること、これは子どもの利益にとって望ましく、取り決めの促進、引き続き重要な課題であると認識をいたします。
小泉孝則議員
はい、ありがとうございます。当然といえば当然なわけで、日本の場合には取り決めも、そもそも取り決め率も低いわけでありますけれども、取り決めを行っても払わないケース事例もあるといったような状況ですが、当然のことながら取り決めても、子どもに会うこともできない状況がずっと継続した場合に、養育費を払うということに対してのインセンティブって言い方おかしいですけれど、やっぱり要はそのことに対する同義付けがあるっていうか、落ちてしまいますよね。やっぱり日頃から会っていて、子どもの育ちというものを見守りながら、見守っているという事が結果的にその子のための養育費の支払いに対する責任感というものに繋がっていくんだろうと思いますので、面会交流ということについてはいろいろなご意見あると思います。なんですけれども、やはり共同親権を既に導入している国が、分掌の話も、今回民法の改正の中には入っておりますけれども、やはりこれまでとは違った考え方に基づいて監護の比率ということについてやっぱり考えていかないといけないんじゃないのかと思いましたので、なぜ1日1回なのかという先ほどの質問をさせていただいたという事であります。その流れでこども家庭庁さんにもお伺いをしたいと思います。こども家庭庁さんが実施している親子交流支援事業には、この面会交流についての制限というのは何かあるでしょうか?
こども家庭庁長官 野村審議官(支援局担当)
お答え申し上げます。ご指摘の親子交流支援事業でございますけれども、こちらは当事者のみでは親子交流を実施することが困難な場合に備えて、対応するということで、自治体において親子交流支援の配置などを離婚した夫婦間における親子交流の支援を行っている事業でございます。お尋ねのこの事業における親子交流の援助の実施頻度でございますけれども、こちらは実施要項上を原則としてひと月に1回までとすると、いうふうにしております。これは自治体がこの事業を実施する上での援助の頻度の目安を原則として示したものでございまして、何がしか規制をするとか、制限をするというものではありませんけれども、こういった補助金による事業の援助の頻度の目安ということを原則という形でお示しをしているところでございます。ゆえに支援対象となるケースを親子交流についての取り決めの中身であるとか、あるいは援助の熟度といいましょうか、そういったものなどによっては自治体の判断で、この原則にこだわらず、援助の頻度を若干差異させるとかそういったことは事業の実施の過程では起こりうるのかなというふうに考えております。
川合孝典議員
原則1回とした理由は、なんでしょう。
こども家庭庁長官 野村審議官(支援局担当)
はい、お答え申し上げます。この原則1回というのは援助の頻度の目安っていう事であるというのは、今申し上げた通りなんでございますけれども、その上でなぜ敢えて1月に1回というような形で要綱でお示しをしているのかということなんですけれども、こちらの実際の支援の中身としては、親子交流支援員が子どもを引き取って、交流の相手に引き渡しをしたり、あるいはその交流の場に現につきそうなどの援助を行いながら、徐々に当事者間で実施ができるように支援をしていくというような、そもそもこういった事業の観点でございますとか、あと更には、出来れば事業の趣旨としては、特定の親子だけではなくて、支援を必要とする親子に広く支援が行き届くようにしていくという観点から、まずは一点目安としてひと月に1回程度というのを原則としてという形でお示しをしているという、そういう形でございます。
川合孝典議員
つまり月に1回ということに特に根拠がないということですね。
こども家庭庁長官 野村審議官(支援局担当)
はい。あの1回でなければならぬとか、1回あれば十分だとか、あるいは世の中でこういったことに取り組みする際には、1回最低ラインなのか何とかというのは位置づけは兎も角として、そういうものだというような規制的な観点といいましょうか、そういったものがあるわけではございません。
川合孝典議員
はい大臣、この間ちょっとお聞きいただいてたと思うんですけど、やっぱり月1回なんです。その何かルールがあって1回という、その1回月1回の根拠があるのかどうかということについて、私もよく承知しておりませんけれども、でも慣例的に、やはり裁判所法務省の運営もそうですし、こども家庭庁さんのこの支援事業についてもそうですけれどやっぱり月1回という話になってまして、従って1回でいいんだという理解にもつながっているのもこれまた一明の事実なんです。できれば顔も見たくないというようなその配偶者、元配偶者の人に、子どもを会わせるということ自体が気持ちとして嫌だという方がいらっしゃることもよくわかるんです。なんですけれども、親が良いか悪いかということで別にして、子どもの利益のためにどうあるべきなのかということを考えたときに、いわゆる監護の分掌についての議論もそうでありますし、面会交流の回数時間ということもそうですけれども、やはり従来の考え方の延長線上で、何回だとか何時間だとかっていうことを考えるのではなくて、やっぱり科学的なエビデンスに基づいて本会議のときにも申し上げましたけど、やはり海外の実証事例ですとか、監護のいわゆる養育費の支払い、支払い率がアップするためにどういった取り組みが必要なのかとか、色んな切り口から、この面会交流の時間回数に関しても、再検討・再検証し直す必要があるということなんだろうと思いますので、ゴールデンウィーク明け以降の議論審議の中で、また改めて確認をさせていただきたいと思いますけど、本日のところはそこまでは指摘させていただきたいと思います。
その上で時間がなくなってまいりましたので次の質問に移りたいと思います。離婚時の養育費と面会交流の取り決め率のが極めて低水準に日本の場合はとどまっているということは既に何人もの委員の先生が御指摘をされているわけでありますが、確実に教育費と面会交流の取り組みを行わせる上で何が必要だと考えていらっしゃるのか。お聞かせいただきたいと思います。
小泉法務大臣
これ、中々難問なんですけども、今回の法改正でも様々なご議論があって、養育費確実な履行、また親子交流適切な実行、こういったものが中心的な課題である。そういう認識は関係者我々含めてご議論いただく方々には深まってきていますが、やはり国民というレベルで見ると、まだまだ子どもの利益から考えてみようという、その姿勢なり、、価値観なり意識が十分に広がっているわけではないと。ですから、具体的な実践的な方策も検討する必要があると思います。先入観を持たずに履行率を上げるにはどうすればいいのか、月1回で本当にいいのか、面会。そういった先入観を持たない、柔軟な克実践的なアプローチと、もう一つは国民全体に社会全体がそういう方向を向いてくださるように、法務省としても、その法案の広報ですよっていう事よりもう少しこう踏み込んで、子ども一番に考える社会を作りましょうと、そのためのこれは法律なんですというような、踏み込みができれば、ちょっと大きな話になり過ぎるかもしれませんけれども、社会の在り方がこの法律を包み込んでいってもらうということも必要だと思うんですね。制度だけで動かせるわけではないと思いますので、そういう観点もあの念頭に置いてしっかり検討したいと思います。
川合孝典議員
はい。大臣、今とても大切なことを仰った、踏み込んで仰っていただいたと思います。必ずしも子の利益を最優先にした議論なりきってないという事は正にそこだと思うんです。今回の法改正以降、その子の利益のために親はどう処するすべきなのかという事が、やっぱり問われなければいけないと思いますし、いわゆる親権という言葉自体を既に使っていない国がありますよね。従って親権という言葉を持ってこのことを議論しているが故に日本人の意識が変わらない、変わっていかないということもやはり考えられるかと思います。やっぱ監護権だとか監護の義務だとか、そういった切り口からこの問題にアプローチすることで違ったものが見えてくるんじゃないかなというふうに私自身は思っているところであります。自分自身も悩んでおりますけれども、このことについても今後議論させていただきたいと思います。時間が来ておりますので、最後の質問をさせていただきたいと思いますが、これまで何人かの先生がご指摘されましたけれども、共同養育計画書の作成について、共同親権を導入している国では義務化ということについて、導入をされているみたいでありますが、子の利益を確保する上で、この共同養育計画を作成し、裁判所に提出し、公正証書として法的な拘束力を持たせるということが、養育費やそれから面会交流の履行を促す上で、極めて有効だと私自身も感じるところなんですけど、この点について大臣のご認識をお伺いをして私の質問を終わりたいと思います。
小泉法務大臣
養育計画の作成の促進は重要な課題であります。他方で離婚時に養育計画の作成を義務化することについては、やはり結果的に離婚をが困難となる事案が生まれてくるそういう懸念リスクがございます。かえって子どもの利益に反するという懸念も指摘もあり、お尋ねについては慎重に検討するべきものであると考えております。
川合孝典議員
両方の側面があると思うんです。要は離婚し難くなる事で、子どもの安全を守れない、身を守れないといったような観点で、要は子どもに対するデメリットが生じるという話もある一方で、決めずにとりあえずもう顔も見たくないからって言って、飛び出していって何も決めずに別れた結果として、養育費がびた一文出てこない。その事によって、気持ちは晴れたけれども、貧困状態に陥ってしまう事による子どもへのデメリットということを考えたときに、簡単に離婚できなくなるからということは正直言って私、これは誤解を恐れずに言えば、簡単に離婚できないからではなくて、離婚しなくても別居はおそらくしてる筈でしょうから、取り決めて、離婚が成立するという形をとればいいという意味でいけば、安全も確保されてるんじゃないのかなっていう風にちょっと思っています、私は。この辺り雑に議論できる話ではございませんので、改めてゴールデンウィーク明けに議論を深めさせていただきたい事をお願い申し上げまして、私の質問は終わります。有難うございました。