2021年04月08日 参議員 法務委員会 真山勇一
参議院 2021年04月08日 法務委員会 真山勇一
真山勇一
立憲民主社民会派の真山勇一です。どうぞ宜しくお願いします。裁判所、特に家庭裁判所の体制についてと言う事で、このところ質問をさせていただいているんですが、今日もですねその続きで、別居とか離婚を巡る子どもの問題について取り上げたいと思います。先日途中になってしまったので、その続きと言う事になります。先ず今日は厚生労働省に前回伺った事からの確認をさせていただきたいと言うふうに思います。児童相談所は精神的な虐待は虐待ではないと言う認識なのでしょうか
厚生労働省子ども家庭局 岸本児童虐待防止等総合対策室長
お答えいたします。児童虐待防止法におきまして、児童虐待として身体的虐待、性的虐待、ネグレクト(育児放棄)、心理的虐待の四類型が規定されておりまして、精神的虐待、これは勿論その個別のあてはめは個別の判断で御座いますが、精神的虐待と言うのはここで言うところの心理的虐待に含まれると解するのが通常なのかと考えております。
真山勇一
では例えばですね、一方の親を嫌うように、或いは子どもに悪口を仕向けたり言わせたりするような事、これ片親疎外と言う言葉で呼ばれているんですが、これは虐待にあたりますか。子どもに対する虐待にあたりますか。
厚生労働省子ども家庭局 岸本児童虐待防止等総合対策室長
お答えいたします。先ほど児童虐待の四類型についてお答え申し上げましたが、ご指摘の片親疎外と言う行為によりまして、子どもに身体的または心的外傷が生じる場合など、子どもの最善の利益の観点から見て問題がある場合には、この虐待に該当すると言う事も考えられると思います。例えばで御座いますが、これも個別判断で御座いますが、子どもに別居親を罵倒させるなどによりまして、子どもがトラウマを受けたと言うような場合には心理的に虐待にあたる事があるものと考えております。
真山勇一
前回ご紹介をした当事者の女性なんですが、資料1を見ていただきたいんですね。その方のですね、事件の経過を書いた記者会見用のメモですね。これをいただきました。これを読みますと、下の方にあります下線部分ですけれども、これを見ていただきたいんですが、児童相談所に相談し、精神的な虐待として調査と子どもたちのケアをお願いしましたが、身体的な虐待がないので、虐待はないと言われて何もしてくれませんでしたと言うふうに書いてありますけれども、この対応、これは適切なのでしょうか。
厚生労働省子ども家庭局 岸本児童虐待防止等総合対策室長
お答えいたします。個別の事案についての答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、もしこの通りに身体的虐待以外は虐待ではないと言うような対応だったと致しますならば、先ほどの児童虐待防止法に定める四類型の考え方とは合わないもので御座います。
真山勇一
はい、ではこれは適切な対応では無いと言う事で宜しいですか。
厚生労働省子ども家庭局 岸本児童虐待防止等総合対策室長
お答えいたします。繰り返しで恐縮でございますが、この件が個別案件として不適切であったかどうかについてのお答えは難しく御座いますが、一般論としてこのような身体的虐待でなければ虐待ではないと言う捉え方を、児童虐待についてしていると言う事がありますならば、それは児童虐待防止法の四類型の考え方と合わないので適当ではないと言う事になります。
真山勇一
では一般的にそういう意味の虐待が確認されたとしたらですね、一般的に言ってですね、こうしたケースの場合はどうなんですか、児童相談所にこう言う事が起きないような指導なりそういう事はすると言う事で宜しいですか。
厚生労働省子ども家庭局 岸本児童虐待防止等総合対策室長
お答えいたします。これは一般論としてのお答えになるので御座いますが、虐待の事実を把握したような場合には児童相談所は子どもの状況、保護者の状況、生活環境などから総合的に判断をしまして、必要があれば例えば保護者に対しまして、助言指導や児童福祉指導と言った指導を行いましょうか、その現在の環境におく事が、子どもの安全な家庭生活を確保する上で問題があると判断されるような場合には一時保護を行うといった対応も含めて、対応するもので御座います。
真山勇一
やはり児童相談所を頼って来ている当事者の方と言うのは本当に深刻な状況、所謂ケースは色々あるでしょうけれども、頼ってきている訳なので、是非ですね、適切な対応と言う事を現場に徹底していただきたいと言う事を申し上げたいと思います。
次に移りますけれども、資料1前回も途中までご紹介したんですけれども、この女性のケースは不倫をしている夫に3人の子どもを連れていかれてしまって、3年間会えないでいる女性な訳ですけれども、裁判所の決定で1カ月に1回子どもから手紙が送られてくるだけと言う事なんですね。その手紙にですね、子どもが書いてある、写真も一緒に、死ねとか、ババアとか、バカとか、中指を立てたポーズ、これはどういう事か意味は御存じだと思います。中指を立てたポーズ、それから母親から来た手紙をハサミで切っている姿を写真に撮る。そういう写真が母親の方に送られてきているんですけれども、裁判所に伺いたいんですけれども、こういう事は片親疎外にあたりますか。児童虐待でしょうか。伺いたいと思います。
最高裁判所事務総局 手嶋家庭局長
お答え申し上げます。個別の事案を前提とした、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。また片親疎外にあたるか、虐待にあたるかと言う事自体と申しますよりは、先般お答えさせていただきました通り、子の利益の観点から、どういう影響があるかと言う事を中心に考えていく事になると言うふうに承知しております。
真山勇一
子の利益と言う事を大事に考えていきたいと仰った。子どもがですね、このお子さんは10歳前後のお子さんです。そのお子さんが自分で自ら、ママ嫌いだからバカって書こう。そういう事を子どもが思っていたとしたら、やはり親はどういう指導をする。子どもに対してどういう事を言うべきじゃないかと思いますし、こういう事は子どもに親から言われていたりすると、それは子どもの福祉の最善と言う観点から、どういう風に考えられますか。
最高裁判所事務総局 手嶋家庭局長
お答え申し上げます。同居親の行為によって、子に心理的外傷が生じるなどの、子の心身に重大な影響が生じていると言うような場合には、例えば監護親の指定をするに当たって、同居親の監護者としての適格性を否定する方向での事情として考慮される事は一般論としては、有り得るところだと存じます。
真山勇一
やはり子どもの精神状態はどう言うものかと言うのは、凄い大事な事だと思うんですよね。一般的に考えれば、常識的に考えれば、子どもが母親に凄く憎しみを持っていれば別ですけど、普通だったら、子どもがこういう母親、本当の母親ですよ、実の母親に向かって死ねとかババアとか書く事自体が異常だと思うんですよ。それは何でこういう事が起きたかって当然、家裁では調べていると言うふうに理解をして良いんですね。
最高裁判所事務総局 手嶋家庭局長
ご説明させていただいております通り、子の利益の観点から関連する事情を総合的に考慮すると言う事で御座いますので、子に与える影響を中心に関連する事情については十分考慮しているものと言うふうに承知しております。
真山勇一
はい、あの毎回子の利益のためと伺いますが、当たり前ですよ。これは当たり前の事なんですよ。ですからそんなに何回も何回も繰り返し仰らなくても、私もそれを踏まえて質問している訳ですし、そちらも当然この事を十分わかっている訳ですよね。こうした場合ですね、こういうような事が一般的にあった場合、家裁と言うのはどういう対応をとるんでしょうか。
最高裁判所事務総局 手嶋家庭局長
お答え申し上げます。一般的な対応と申しますか、夫々の親から事情を聴きとる。ご視聴になっておられる点に関連する資料を調べる。そういった形で様々な必要な事実の調査をするという事になるかと存じます。
真山勇一
はい、今仰った事が、現場では行われていると私は信じています。信じて質問にいきたいと思います。そうするとですね、こういう事が起きていた事で、この女性はですね、相談をしている訳ですよね。児童相談所さっきお伺いしましたけれども、児童相談所に相談をしたけれども、その後に家裁の方でどういう風になっているか、どういう事を決められたかと言うと写真が送られてくると言う事を、その事実を伝えたら、夫が撮る写真は子どもの福祉に反するとして2カ月に1度に減らされました。この行為は認めていると言う事なんでしょうか、そして毎月送られていた手紙を2回にするという事はそれに対する適切な対応なんでしょうか。
最高裁判所事務総局 手嶋家庭局長
繰り返しになり恐縮で御座いますが、個別の事案に則した判断の適否のお尋ねにつきましては、裁判の独立の観点から致しましても、最高裁としてお答えは差し控えさせていただく事はご理解をいただきたく存じます。また一般論と致しましても面会交流の内容や回数を含めまして、その在り方を定める際には、一方の親の、他方の親に対する行動や態度等が、子の心身に悪い影響を生じている等の事情がある場合には、そうした事情は、子の利益の観点から、子の利益、安心安全の観点から考慮すべき重要な事情である事は委員ご指摘の通りと存じますが、具体的な事案においては最終的には先般ご説明させていただきました通り、父母双方、子にかかる様々な事情、考慮要素を総合的に考慮して判断するところになるところで御座いまして、その中には調停手続き等の過程を通じて、夫々の当事者に格別に働きかけた結果なども踏まえ、子の利益の観点から、安心安全に実子出来る交流の可能性など、様々な事情が含まれ得るものと考えられますし、その時点における、子の心身の状況から致しますと、子の利益の観点から返って慎重な対応が求められると言う事もありえるようには存じます。従いまして、何れにしましても、個別の事案に応じた判断と言う事にならざるを得ないものと存じます。
真山勇一
今仰った事は分かりますけれども、一般論で結構なんですよ。子どもが片方の親に対して悪口とか、ママ嫌いだとか、そういう事を言っていると言うのは明らかに子どもの状態がおかしいと考えるのが、例えば裁判官であり、調査官のその仕事の大事な事ではないんでしょうか。なんで子どもがこういう事をとっているんだろうと言う事を色々調べていらっしゃると言う事ですね。で、ケースによって違うからと言う事なんですけど、一派的に言って子どもがそういう行動をとる事はどうなのかと言う事を調べたら、そういう手紙を書く事を月に1回は駄目だけど、2回なら良いんだって、そう言う解釈で、こういう判断が下るんですか。
最高裁判所事務総局 手嶋家庭局長
お答え申し上げます。最終的な判断の在り方につきましては、先ほど申し上げさせていただいた通りで御座いますけれども、一般に子が父母の紛争に巻き込まれ、会えない親に対して否定的な感情を持つにいたる事は有り得るものと承知しておりまして、そのような事態は子の福祉の観点から望ましくないと言うふうに考えております。もっとも子が別居親を拒絶する態度を示した場合には父母や子の要因が複雑に作用していると言う事も多く、家庭裁判所と致しましては、家庭裁判所調査官において、行動科学の知見を活用して多角的な視点から拒絶の要因を分析し、その結果も踏まえて父母や子に適切に働きかけるなどして、子の福祉に叶う解決に努めているものと承知をしております。
真山勇一
仰っている事はその通りなんですよね。現実を見てください、現実ね。子どものこうした行動を未だ更に続けていても、問題無いと言うような、解釈にしか見えないんですよ。毎回あっては困るから、それを1回減らせばいいみたいなね。そういう解決策って、それは世間から見たらやはりおかしいですよ。両方からちゃんと聞いているのかなって疑問を持たざるを得ないじゃないですか。先ずこれを辞めさせて、それで次にどうするかと、ものの順番ってあると思うんですよ。これ完全におかしいですよ、そういうふうに思いませんか。
最高裁判所事務総局 手嶋家庭局長
個別の事案については中々お答え申し上げられないところで御座いますが、一般に調停委員会、若しくは審判を担当する裁判体と致しましては、関係する事情を十分聴取して、勿論調停の過程におきましては、子にとって利益になるような形での実施を目指して様々な調整をしているところと存じますし、その元にある原因等につきましては、調査官調査の活用なども通じて行動科学の知見から様々な分析をした上で行っているものと承知をしております。
真山勇一
私は本当に個別のケースと言うよりも本当に一般的な事で伺っている訳ですよね。やはり調べたならば、先ず子どものこうした行動をどうやったら止められるかと言う事を考えて、それからどうするかと考えるんじゃないかと思うんですが、これ明らかに子どもが母親に対して片親疎外をやっている事を認めているじゃないですか。少なければ良い、10回じゃなくて5回ならいいよって言って、私これはちょっと、どう考えてもおかしな対応だと言うふうに思います。一般的な対応としても、先ずだって一般的に言って、こういう事を子どもにやらせてはいけないですよ。それが大原則ですよ。それは子どもの利益であり、子どもの福祉じゃないですか。これ以上やっていても同じような答えしかならないので、ただこれ本当に、よく考えて頂きたい問題だと言うふうに思います。色んな事調べるけれども、元々こういう事があっちゃいけない事じゃないですか。それを認めておいて、色んな事をやったとしても説得力無いですよ。すみません、そう言う事でお願いします。
もう一つですね、二枚目を見ていただきたいんですが、これは生後数か月の乳児が夫に連れ去られると言うケースがよくあると言うふうに、私の方も何件か伺いました。この資料2の母親、お母さんはですね、生後3カ月半の我が子を引き離されてしまったと言う母親のメモなんですね。お宮参りのやり方を巡って、夫婦仲が険悪になったと言う事で、夫は赤ちゃんを連れて実家に帰っちゃって戻ってきてくれないと言う事で女性は監護者の指定と、子どもの引き渡しを求めたんですが、駄目だったと言う事なんです。伺いたいのはですね、生後3カ月半の赤ちゃんをですね、母親から引き離すと言う事。これはあの、色々な状況があるんでしょうけど、これは、こう言う事は有り得るんですか。
最高裁判所事務総局 手嶋家庭局長
個別の事案と言う事では、お答えする事は出来ない事はご理解いただきたいのですが、その上で一般論としてで御座いますけれども、乳幼児にとって母親を含む養育者との身体的な接触が重要であると言う知見については勿論承知をしておりますところで御座いまして、そのような接触は重要であると言う事で御座いますが、その最終的な判断と言う事になりますと、子の監護者の指定にあたっては個別の事案に応じて子の年齢や発達の程度等についても考慮して、子の利益の観点から判断がされているものと承知をしております。
真山勇一
まぁきっと夫婦仲が悪くなった原因と言うのは色々あると思います。あの夫々言い分があるんで、まぁそれはあると思うんですけども、私小児科のお医者さんに、これについてお話を伺いました。3カ月半の乳児ですね。母親に抱っこされてお乳を飲むと言う、そのスキンシップを通して、母親を認識する大事な時期なんだそうです。赤ちゃんのその後の感情とか人格形成にとって大事な時期である。こうした事はやはり赤ちゃんに母乳を飲ませる事は大事だと言うふうにお医者さんは仰っているんですけれども、母親に監護権が与えられなかった理由としてですね、こんな事を言っています。ミルクで子どもは育つから母乳である必要はないと言い切っているんだそうです。そうかもしれませんけれども、本当に3カ月半の赤ちゃんを母親から引き離す。そう言う事は、その他に色々な要素があったとしても、やむを得ない事ですか。
最高裁判所事務総局 手嶋家庭局長
お答え申し上げます。先ほど申し上げた通りで御座いまして、一般論として乳幼児にとって母親を含む養育者との身体的接触は重要だと言う事は、その通りかと存じますが、子の年齢や発達の程度、それからその他の事情。監護者の指定をするに際しまして、父母の側の事情として、養育能力や監護の状況等、それから子の側の事情と致しまして、心情や意向等を総合的に考慮すべきところかと存じます。
真山勇一
時間が来ておりますので、まとめますけれども、やっぱり我が子を出産したばかりの母親が赤ちゃんにおっぱいを飲ませたい。それすら認めてくれない訳ですよ。やっぱり何があったのかと言う事も気になりますけれども、こういう対応は母親から見れば血も涙もない対応しかしてくれないんだな。そう思うんじゃないかと思うんです。本当に子どもの福祉とか利益、これで本当に大事にしているのかなと言わざるを得ないんです。また途中になってしまったので、またあの次回に質問をさせていただきます。有難うございました。
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