先日内閣府が令和3年10月に行った「離婚と子育てに関する世論調査」が公表されました。
これについてNHKニュースと毎日新聞が報道しています。
同じ世論調査を基としたニュースですが、NHKニュースは主に養育費と面会交流について事前の取決めをと言う点について、毎日新聞は離婚した父母の双方が未成年の子の養育に関わることや、離婚した父母双方が子の養育について共同で決める共同親権制度が仮に導入された場合、何を対象にすべきかについて触れています。
この世論調査について私自身が気になったところを取り上げたいと思います。
以下、「内閣府令和3年度 離婚と子育てに関する世論調査」から引用
「親権」について知っているか聞いたところ、「知っている」とする者の割合が96.7%、父母が結婚している間は、双方が親権者となるという現行の制度について知っているか聞いたところ、「知っている」と答えた者の割合が77.4%、父母が離婚した後は、いずれか一方のみが親権者となるという現行の制度について知っているか聞いたところ、「知っている」と答えた者の割合が89.4%と、思いの外単独親権制度の事が一般的に知られているのだなと言う印象を受けました。
父母の双方が、離婚後も子の進路などの未成年の子の養育に関する事項の決定に関わることは、子にとって望ましい(望ましい、望ましい場合が多い、特定の条件がある場合には望ましい)が91.5%。
別居親が離婚後も未成年の子と会うことが、子にとって望ましいと思うかについては望ましい(どのような場合でも望ましい、望ましい場合が多い、特定の条件がある場合には望ましい)が95.1%。
未成年の子がいる父母が離婚する場合、離婚までに、養育費に関する取決めをすべきだと思うか聞いたところ、取決めをすべき(取決めをすべき+どちらかと言うと取決めをすべき)が96.2%。
未成年の子がいる父母が離婚をする場合、離婚までに別居親と子との面会交流の有無、頻度や方法について取決めをすべきだと思うか聞いたところ、取決めをすべき(取決めをすべき+どちらかと言えば取決めをすべき)が84.6%。
どの項目にも子どもへの虐待や配偶者への暴力がある場合は除くと言うのが特定の条件とあげられています。どのような状況でも虐待や暴力からは守られるべきで、当然の意見だと考えます。子どもへの虐待や配偶者への暴力、所謂DVの対策は対策施でしっかりと講じたうえで、夫婦が離婚後も子の養育に関わる事、別居親が離婚後も未成年の子と会う事は望ましいと考えている方が大多数で、養育費と面会交流については離婚前に取決めをしましょうと言うのが一般的な考え方であることがわかります。
養育費や面会交流の取決めについては、離婚前と言うよりは別居前に必要であり、監護親についても話し合う必要があると考えます。別居前に共同養育計画を立てる形が望ましいでしょうし、計画をたてたからにはそれを実行させるシステムも必要になるかと思います。
一部に父母の不仲が深刻である場合と言う特定の条件があげられていますが、これについては父母が不仲であったとしても親子の関係が継続される、養育に関われる、養育費を支払えるような支援と制度の構築が必要だと考えます。
何れにしてもこの調査結果は離婚後の共同親権の制度がある先進国や諸外国とそれ程相違がないのではと感じました。ただ日本の場合、これに法や制度が追い付いていないと言う状況。社会変化とニーズに併せて、子どもの最善の利益と未来のために、適正な法改正と制度構築、裁判所の運用を望みます。