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子ども最優先の社会制度と法改正へ

雷鳥風月
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日本の法制度には、いくつもの不備があります。子どもの権利を保障するという観点からの制度構築が遅れています。そして、子どもの権利条約の理念に沿って二十~三十年かけて制度や慣習を変えてきた他国との間に大きなギャップが生じてしまいました。そのために日本政府は、国連子どもの権利委員会から勧告を受けたり、EU欧州議会から一方の親の子どもの連れ去りへの対処を要請されたりしています。そこで、法律などの社会的制度をどのように改革すべきかについて、重要な点に絞って提言します。

離婚後も共同親権の継続が標準的なパターンとなるような法改正を提案します。離婚後の単独親権制の存在が、「離婚→ひとり親家庭→子連れ再婚→ふたり親家庭」という固定観念の基盤となっています。子どもが一つの世帯や戸籍だけに所属するものという明治以来の家族観は改訂されずに現在まで温存されました。そのために、親権者である両親とつながっていた子どもから親権者の一人を剥奪しない限りは離婚が成立しない制度が子どもの権利条約にいかに反することか、日本社会で認識が広まりませんでした。この単独親権制が、親権をめぐる両親の争いを構造的に引き起こすので、協力的な離婚後の父母関係形成が妨げられています。共同親権が離婚後の標準となれば、まずは父母が子どものために対等に協力するための土台ができます。親権を失わずに離婚するために、親の一方が子どもを連れ去るような行為は、無意味かつ不可能になります。日本政府がそれを黙認していると国内外から非難されることもなくなるでしょう。この単独親権制が、親権をめぐる両親の争いを構造的に引き起こすので、協力的な離婚後の父母関係形成が妨げられています。共同親権が離婚後の標準となれば、まずは父母が子どものために対等に協力するための土台ができます。親権を失わずに離婚するために、親の一方が子どもを連れ去るような行為は、無意味かつ不可能になります。日本政府がそれを黙認していると国内法から非難されることもなくなるでしょう。

配偶者のドメスティック・バイオレンスから逃れるためと言う理由から、単独親権制の存続や子どもの連れ去りを正当化する議論を目にします。しかし、配偶者や親からの暴力・虐待・ハラスメントは、両親が婚姻関係にあるか、離婚したかに関係なく、つねに社会的に許されない行為です。国家は、必要があれば家族に介入し、そうした行為の被害から個人(大人も子どもも)を守る義務があります。離婚制度とは独立して、そのための法制度などをしっかりと整備しべきです。それを明確にした上で更に言えば、厚生労働省の2016年「全国ひとり親世帯等調査」に基づく限り、離婚後の母子世帯全体(1,817ケース)のうち面会交流をしない理由として「相手に暴力などの問題行動がある」からと回答したのは0.8%(14ケース)にすぎません。問題の大きい親からは親権の停止/喪失を裁判所が決定できる制度をきちんと機能させるのと同時に、離婚後の共同親権制度実現を急ぐべきです。さらに子どもの福祉や利益を中心にすえた制度への転換を目指して、親の離婚・再婚後も親子関係の継続を保障する制度が必要です。親権(アメリカでの法的監護)だけでなく、子どもと一緒に暮らしてそのケアを担う義務(アメリカでの身体的監護)を別居親も共有する「共同養育」を促進する法律です。現在の日本では、離婚後に月に一度だけ、数時間の面会交流でさえ維持できない子どもが大多数です。子どもたちが親子関係を断たれた時間が長引くほど、それを回復するのは困難になります。早急に積極的な対応が望まれます。

法改正の前提として、親が子どもを所有・統制するような印象を与える「親権」と言う法的概念の名称変更が必要です。さらに言えば、離婚後の家族をあえて「ひとり親家庭」と呼ぶ固定観念的慣習をリセットすべきです。離婚後も子どもが父母両との関係を失わない社会を目指すべきだとすると、この呼び名はその目標に逆行しています。単に「離婚家庭」と呼ぶ方がはるかに中立的です。単独親権制の見直しは、関連する不適切な概念呼称の改正を含まなければなりません。

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