自殺未遂したら好きな人に泣かれた話

もし会ったら、笑って誤魔化そうと思ってたんだ。
あなたは、せいぜい「もう大丈夫なの??」って心配してくるくらいだと思ってたから。

だけどさ。あなたが泣くなんて、思いもしなかった。

だって、親だって泣かなかったんだよ?

なのに、どうして。

どうしてあなたは、私なんかのために泣いてくれるの?


自殺未遂をした次の日、何事もなかったかのように学校に行って。
全部隠して、友達と笑っていた。
授業が終わって廊下に出たら、
ちょうどあなたが歩いてくるのが見えた。

"こっちは気づいてるのに、向こうは気づいてない"
そんな状況になってしまうのが怖くて、私は気づかないふりをした。いつもの癖。

あなたは、気づいてくれたみたいで。廊下でボーッとしている私の横に来た。
いつもは話しだしてくれるのに、あなたは珍しく黙っていた。
だから私は、なるべくいつも通りに「こんにちは」って挨拶をした。
あなたは拍子抜けしたみたいで、少しだけ笑っていた。ような気がする。

『大丈夫だ、いつも通り。…もしかして、バレてない?』
そう思ったのもつかの間、
「待ってるから。」と、言われて。

『流石にバレてたか、』なーんて、呑気に思った。


少しして、あなたがいそうな場所に行った。やっぱりいた。
目が合って。言葉を発する前に、私は抱きしめられた。

「生きてるだけでいいんだから…」
ああ、いいんだ。
あなたが言うと、本当のように思えた。

しばらくして身体が離れて。あなたの目を見ると、もう既に赤くって、潤んでいた。
ああ、泣かせてしまう。
なぜか心のどこかが冷静で。なにも、言えなかった。

そこからは。あなたがかけてくれる心のこもった言葉を聞きながら、どこかうわの空だった。
あなたが泣いているところは、あまり見たくなくて。
下ばかり見ていた。ごめんなさい。

だけど、あなたの言葉全てが私の宝物になったよ。

あなたが泣いてくれたから、生きなきゃって思えた。

ありがとうございます。

大好きです。

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