2020/10/1 9月定例議会② 『不登校支援』
2. 不登校支援について
気仙沼の小中の不登校の数は、H29年で78人、H30年で98人、R1で113人。不登校支援において、教育行政には「学校復帰を前提」とする精神が色濃く残ており、それによって不登校の子や保護者が、大きな心の負担を負うケースや良い方向に進んでいないケースが少なくない。何度も言っていますが、学校復帰が悪いわけでなく、それを前提とする考えを改める必要があると言っています。学校復帰がその子にとって必ずしも最善の方法とは限らない。法律もそのように変わってきています(教育機会確保法 2016)「学校復帰」ではなく「社会的自立」へ。
一般質問の最後に、教育長からは「不登校は、本当にその子その子の対応がきちんと必要なんだなというのを今実感しております。そのためには1人1人の子ども、保護者の気持ちをしっかりと把握することから、もう1度再スタートなのだと考えいます」との言葉がありました。
一般質問の質問事項は3つ
① 不登校児童生徒の支援を行う適応指導教室「けやき教室」の方針を「学校復帰」から「社会的自立」へ変更すること
② 校門にタッチすると出席扱いになる「校門タッチ」の本市の実態
③ 不登校の家庭は、毎朝学校に電話連絡する方針がとられており、これを柔軟に変更すること。
質問の結果
①「けやき教室」の方針は、スクールソーシャルワーカーが配置してある「心のケアハウス」との統合も視野に入れ、次年度から「学校復帰」ではなく「社会的自立」へと変更されることが決まりました。さらに「適応指導教室」という名称もよくないので変更を要望しました。
②「校門タッチ」に相当することが行われているのは、市内ではほんの数件とのことでした。それも「出席扱い」にすることが生徒の励みになればとの理由でしたが、質問の前日、ご協力をもらい集めていただいた不登校の保護者の方の声は以下の通りでした。
Aさん:「最初は出席になってよかったと思っていた。でも何度もそうする中でこれに何の意味があるのかわからなくなった」
Bさん:子ども「とても嫌だった」「えこひいきと言われ周りから言われてつらかった」親「朝か夕に敷地に入ってあいさつしなければならなかった」「後ろめたさや罪悪感」「連れてきてくださいと言われるので、連れていくしかなかった」「泣き叫ぶようになって限界になった」「トラウマになっている。あの時間はいったいなんだったのか」
Cさん:「学校まで送っていき校舎に入ったら出席、それでも入れないから車出来て降りて敷地に入ったら出席、それでもできなくて車で敷地に入ったら出席となった」
Dさん:「校門タッチではなく、校舎に入ると3人くらいの先生が待っていて観念するしかなくて、家にも帰れないから教室に行っていた」「しんどかった。学校から連れてきてくださいといわれるから連れていくしかなった」
たまたまお話を伺えた、5人中4人のお子さんが「校門タッチ」に相当することを経験していました。本当に少数?この声を元に、少なくとも学校側と保護者の認識に大きな違いがあることは明らかであることを、教育委員会とは確認し合いました。さらに、教育委員会から不登校児童生徒の家庭に独自のアンケート等を行えないか提案し、検討しますとの返答がありました。
③毎日の電話連絡は、児童生徒の日々の把握を目的として、毎日の電話連絡を基本としているが、学校では保護者の想いをよく把握して対応するよう努めており、実際に家庭への連絡を控える例や家庭からの連絡を毎日ではなく週1回程度としている例もあるとの返答でした。
しかし、多くのケースで毎日の連絡になっているのが現状です。不登校の保護者の方は後ろめたさや罪悪感を抱えており、思っていることを言えないことが多くあるそうです。連絡することが面倒なのではなく、心苦しいそうです。心の負担や大きな不安も抱えています。学校側に見えていない保護者の悩みや不安に配慮した対応を行うよう、校長会などを通じて周知の徹底をお願いしました。
不登校支援の問題に自分が関わり始めたのは、元々震災関連の県のNPO助成金が切れてしまう問題で動いていたことがきっかけでした。地元県議の方々や県議会の震災特別委員会の方々に協力をお願しており、そこで1つの例として、不登校支援を行うフリースクールの運営資金の問題もご相談していました。
これを発端に、フリースクールの方々や当事者の声から地元県議が尽力し、宮城県議会の中に不登校・ひきこもり対策調査特別委員会や、多様な学びを支持する教育機会確保法(確保法)の調査チームが立ち上がりました。宮城県は全国一不登校率が高い都道府県です。H30で小中で約4000人。割合は中4.87%(全国1位)・小0.81%(全国7位)。
今年3月の県議会では、新しい法律(確保法)が施行され、昨年10月に文科省から新たな通知がありましたが、県教育委員会としては、不登校支援は新たな対応は何もしていないことを県教育長が認め、法律が変わってもそれを前提とする組織や支援、要綱なども変わっていないことが問題であるとの議論がありました。
一方、確保法は、不登校児童生徒の救いの一助になりますが、先生たちのクラス運営を難しいものにするかもしれません。ただ、それは以前から既に難しいものになっていたのかもしれません。子どもの数は減っていますが、不登校の数は年々増加しています。自分は教育は専門ではありませんが、学校教育には何か別な柱が必要なのかもしれません。
以下、実際の質問内容になります。
2019年10月、文部科学省から「不登校児童生徒への支援の在り方について」が全国の都道府県教育委員会教育長及び各指定都市教育委員会教育長、各都道府県知事等に通知されました。本通知では、「不登校児童生徒への支援は、『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要があること。また、児童生徒によっては、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。」とあります。以下の点について伺います。
(1)2019年10月の通知では、「教育支援センターガイドライン」の中の教育支援センター(適応指導教室)の設置目的から「学校復帰」という文言が削除され、「社会的自立」に置き換わりました。このことは、本通知の基となっている教育機会確保法やその基本方針に沿ったものとなっています。これにより、各教育支援センターも「学校復帰」のみを目指すのではなく、「学校復帰」も含めた「社会的自立」を目指す必要があるということが規定されました。改めて本市における適応指導教室「けやき教室」の方針を「学校復帰」から「社会的自立」に変更すべきと思いますが、市の考えを伺います。
(2)不登校児童生徒に対し、学校の校門まで行けたら出席扱いにする、いわゆる「校門タッチ」に相当することが行われており、保護者の方から相談を受けています。全市的に行われていることなのか実態と市の考えを伺います。
(3)不登校児童生徒のご家庭は、毎日学校へ連絡を行う方針がとられています。しかし、学校への連絡に対し、複数名の保護者の方から、精神的な負担の声を伺っています。学校側から保護者に相談及び提案し、柔軟な対応をすべきと思いますが、市の考えを伺います。