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2019年10月22日 大谷海岸の防潮堤、林野庁部分の現地説明会

林野庁さんの本気
先日大谷海岸の防潮堤、林野庁部分の現地説明会がありました。防潮堤は造ることになっちゃったんだけど、可能な限りの工夫をほぼ全てしてくれたと思います。ありがたい限りです。このエリアの防潮堤を砂丘に埋め緑化します。


◯海岸の管轄変更受け入れ
大谷海岸の大部分は林野庁管轄の治山海岸。防潮堤のセットバックを可能にするため、現在は半分くらい海岸の管轄変更を行い、林野庁部分は砂丘があったエリアのみに。たぶん海岸の管轄変更は東日本でここだけ?


◯保安林エリアの換地
背後に防潮林があったエリアも、土地の形が歪であるため市の買い取った土地と換地を行い、ここでも防潮堤のセットバックを可能に。


◯防潮堤への前面覆砂、背面土
既存の護岸を修復し、大きな防潮堤はセットバック。掘削して出てきた砂で防潮堤の前面を被覆。たぶん、公園事業など他の事業が何も入ってない防潮堤では試験的な事例を除き東日本で初。台形CSG工法という、コンクリートと土を混ぜた内部構造を前後土で覆う手法。


◯防潮堤の滑らかな接続
林野庁防潮堤を挟み、左右は県土木、県水産漁港部の防潮堤。県の防潮堤は斜面の角度が両方とも1:2.5。林野庁は1:1.5。よって両方の境目から防潮堤の角度を1:2.3→1:2.3〜2.0→1:2.0〜1.7→1:1.7〜1.5へ20mごとに角度変更する仕様に。また、管轄の繋ぎ目で通常ぶつ切れで終わる護岸などの角は、全て徐々に砂に潜って消えるよう滑らかに。


◯前面覆砂の定着
風による飛砂防止のため、砂の上に対策を講じる必要があり、半年以上前からかやず、植生シート、繊維ネットを試験的に張り状況観察を行なっていた。今回は結果の出た生分解性繊維ネットを採用。また、覆砂には定期的に木柵を打ち込む。


◯既存植生への配慮
飛砂対策のネット等にはいずれも種子の吹き付けは行わず、砂の中に眠っている既存の海浜植物の種が発芽するの待つ。ただし、直物の繁茂を促進させるために、20cm掘った位置に「はまみどり」と言う肥料がまざった土の入ったシートを入れる。シートも生分解性。表面に肥料をまかないのは、海浜植物以外の雑草が勝ってしまう環境になるから?


◯背後地へのクロマツ以外の植樹、
防潮堤の背後の土や保安林エリアへの植樹は通常クロマツ。今回は51%クロマツであれば他の植物も植樹可能。防潮堤前面への植樹も試験的に可能。


◯波消しブロックの景観配慮
波消しブロックの配置は景観配慮の上、既存護岸の高さまでに制限。既存のブロックは根足に使い、その上に新たなブロックを。形状は貝類が着きやすい凹みがあるものを採用。反射波を抑えて護岸の根本に砂の定着を図る。


◯地下水の透過性確保
地盤を強化する矢板(鉄の板)で水の流れを完全に止めるのではなく、サンドコンパクションパイル工法という、砂を圧縮して砂の柱を作り、それをジグザグに土壌に配置することで、地下水の透過性を確保。


今回の台風19号被害により、おそらく河川堤防を強化する流れになると思います。その時に東日本のような事態になってほしくない。知識の積み上げによる対策ではなく、知恵ある対策をお願いしたいと思います。

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