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食べる#29 イノシシに関わり出して生産者をリスペクトして止まない

案の定、5月下旬あたりから野生動物の動きが活発になり、我々の繁忙期がやってきました。
私の中では体力と精神力を保つのに必死な時期。
気をゆるめるとメンタルもカラダもやられがちなので、毎年この時期は特にケアが必要です。

ところで、

何度となく出してるこちらの図(2018年作成)

それぞれのプロを繋ぎ、サイクルをスムーズに回すことが目標です。
詳しくはこちら


しかし、現場に知らないと何も語れない…と、それぞれの現場で実際に足を動かしてきたのですが、
一番上の「農作物を作る」という部分だけは実際に経験できていません(梅は収穫したりするけども)

鳥獣被害対策を通じて現場を知れば知るほど、農業には長期的な戦略と予測不可能な事態への対応力、
そして何より屈強な体力が必要な仕事だと思い知らされます。

さらに、収穫して終わりではなく、マーケティングやブランディング、梱包や発送業務などなど。
その間作物はぐんぐん育つので、待ったナシ!
わたしにとっての繁忙期がずっと続くイメージです。

鳥獣被害対策実施隊として出向く現場の大半が農作物被害。
家庭菜園の方もいますが、農業で生計を立ておられる方の気持ちをもっと知りたい…と感じていました。

そんな中、あるお二方の生産者さんとゆっくりお話しする機会が持てました。

お一方はSPIRA FARMのさおりさん。
これまで朝市やイベントでご一緒することはあっても、いつも立ち話。
この日は、自分たちが納めた野菜・猪肉をフレンチ酒場せるぽわさんに料理していただき、一緒にカウンターでいただきました。

もちろん、わたしが捌いた猪肉は素晴らしく美味しかった!!
でも、この日最も印象的だったのは自分の野菜を前にしたさおりさんのキラキラした瞳

「あ!これもうちの子!!」
「この○○はわたしが種まいた子!!」

シェフが出すひと皿ひと皿を感激しながら大事に食べるさおりさんが、とにかく可愛らしく魅力的だった。

もうお一方は須山農園さん。
先日『収穫祭』と題した収穫体験〜BBQという楽しいイベントに親子で参加させてもらいました。


須山農園さんと話して感じたのは『過程を大事にする』というところ。
それは必ずしもいいことばかりでなく、悪戦苦闘している過程さえも。
地質の特徴を分析し土壌に合った作物を選んでいたり、去年の失敗を活かして改良してみたり…

そのプロセスを若いチームで楽しんでやっている姿も心惹かれます。

今回の体験で、そんな彼らの生の声を現地で聴くことができ、それ自体がとても価値あることだと感じました。


このお二方とお話しして、わたし自身の野菜の見え方が変わりました。

生産者さんは言ってみれば0から1を生み出す方。
目の前の「野菜」の姿になるまでの背景を知ることで、ただの食材ではなく「生み出された物」であることがより明確にイメージできるようになりました。

そして、わたしがイノシシから猪肉にする過程と同様、
土を作り、作付けし、芽が出て野菜が生まれる過程にも作る人の頭と心が動いている。

農業が好き!おもしろい!と体で表現する人達が、
これからも前向きにまっすぐ生業を全うできるように。

わたしの鳥獣被害対策のミッションにおける『喜ばせたい人・守りたい人』の顔が明確になりました。
(これはわたし自身のモチベーションを上げるためにとても重要なこと)

わたしが大事にしたい食卓の風景。
そんな食卓を彩る食材を作ってくださる全ての生産者さんへ、改めてリスペクトが止まらない。


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