帝王ジョン・ウィリアムズの魔法を少しずつ盗んでいこう
「ひとのものを盗むとはなんだ、これだからジャパニーズは」とジャパンバッシングの頃ならともかく今はもうその手の因縁をつけられることもないと思うので堂々と盗んでいきます。
この旋律から。
このほうが見やすいかな? じーっと見つめていると、何か見えてきませんか。
黒玉はどれも三連符じゃんか!と気づけるようなら、ジョンの才能のひとかけらをもしかしたらあなたも有しているかもしれない。
さらに、残りはすべて白玉だと気づけるようなら、ジョンの才能に近づかんとする畏れ知らずな夢に、また一歩近づいたと言えそうです。
そして、前回触れたように、白玉くんがバーをとび越えていく。
ファミレ↘ と駆け下りて、1オクターヴ上のドーで、バーをとび越える!
和音を付けてみましょう。
ドーっとバーの上空をとび越えていくところのですね・・・
和音を見てみると・・・
「ドー」がバーを越えていくあいだに、和音が変わるのです。
機能和声分類すると、どちらも同じ機能の和声です。ド・ファ・ソ の和音。
ソ・ド・ファ の並びにすると、四度音程が縦二連なのが分かります。
四度音程が縦に並ぶと、風通しのいい和音になります。「風の谷のナウシカ」のオープニング曲も、これでできていますね。風通しがいいので四度音程が風の曲にいいだろうと。
ドー は力強いぶん、重苦しさや、尊大さも混じりますが、四度音程の和音を伴わせることで、重苦しさや尊大さが中和されて、むしろ清々しさ、軽快さになってくれるのです。
ただ、音の縦の並びが ドー と跳んでいく間に変わるわけです。ソ・ド・ファ が ド・ファ・ソ・ド に。
どうして ド・ファ・ソ・ド に席替えされるか、わかるかな?
ド・ミ・ソ・ド に着地するための、前振りです。これトニック和音といいます。着地和音とでもいうのかな。ベートーベンの交響曲は、たいていこの和音でフィナーレです。そして会場から割れんばかりの拍手を浴びるの。
ド・ファ・ソ・ド から ド・ミ・ソ・ド へ。「ファ」が半音下がって「ミ」に落ち着く。
フルオーケストラでゴージャスに奏でられる裏で、こんなに緻密で繊細な計算が仕込まれているのです。
さらにこの後、ジョンのフォースがさく裂します。つづく。
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