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オビ=ワン・ケノービの音楽を語ろう

映画「スター・ウォーズ」シリーズの音楽は、善=長調、悪=短調で統一されているとよくいわれます。

その指摘は正しいのですが、この分かりやすさを帝王ジョン・ウィリアムズがどう逆手にとって「レイア姫のテーマ」と「オビ=ワンのテーマ」をつくたのかを分析したものって、過去にあるのかな。

前者については私がこのブログで行いました。長調と思わせて実は短調(旋律的短音階)で、短調とわかっちゃったところで他の調(長調)に切り替わり、さらにまた他の調(長調)に切り替わるという、凝ったことをなさっています。


レイアは善の側なんよ~とバランスを取っているのです。


「オビ=ワンのテーマ」(今ではフォースのテーマと呼ばれているようですが)も、物思いにふける短調っぽい曲ですが、旋律はというと、ギリギリ長調の上を歩いています。

ギリギリですギリギリ。

本当は旋律的短音階なのだけど、実際に鳴る音からは、旋律的短音階とも取れるし、長音階とも取れるという、きわどいバランスの上にあります。



この旋律、ドレミを付けると、二通り可能です。

一つ目の解釈はこれ。


「小さくて読めへん」 そうですか拡大してね。

二つ目を青で加筆すると・・・


「小さくて読めへん」 拡大してみてちょ。

赤のドレミでも、青のドレミでもいけるのですよ。どっちが正しいのかな?

ここに帝王ジョンの天才的計算があります。

先に種を明かすと、青のドレミが正解です。

さらにいうと、この旋律は旋律的短音階でできています。

しかし、そうだと尻尾をつかませないよう、ウィリアムズ陛下は⑥と⑦の音が鳴らないような旋律を作っています。

青のドレミでいうと「ファ♯」「ソ♯」がそれぞれ ⑥ と ⑦ の音です。

この二つを使わないように旋律が設計されていますね。


それによって赤のドレミ解釈も可能となっています。


レイア姫のテーマ(の前半三分の一)が長音階と思わせて実は旋律的短音階だよ~んな技でできていることは、すでに検証したとおりです。

オビ=ワンのテーマにも同じ技が使われています。

ただ、レイアと違ってケノービ将軍は労連・・・ではなくて老練な方なので、旋律的短音階のしっぽをけしてみせない。

代わりに和声のほうでそれとなく⑦つまり「ソ♯」を鳴らしています。

「何を言っているのかさっぱり…」 あわてることはないよルーク。フォースは奥が深い。その第一歩を次回じっくり説明してあげる。


つづくよ


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