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小5の英語教科書に目をとおしてみたら(2)

これの続きです。今回取り上げるのは Unit2 。「When」がデビューします。


ページをめくってみましょう。


再生音声から日付と物品を聞き取って(というか聞き分けて)、エミリーやさくらやひろしやルーカスの誕生日と誕生日祝いとして欲しいものの組み合わせを選びというゲームです。

Unit 1 と同じで、何を言っているのかはわかんなくていいから質問文(ここでは「登場人物の誕生日やほしいものを聞いて、線で結ぼう」)と、各選択肢(日付や物品の絵)から組み合わせを選びだすわけです。

ゲームのついでに「When」(いつ)や「Birthday」(誕生日)という単語も覚えちゃってねというところでしょうか。

私が少々驚いたのは「May 5th」とか「July 19th」とかを小5段階で理解できてないといかんよなクイズであったことです。5が英語でファイヴなのはそんなに難しくないとして、19をナインティーンとさっと言えるのですか今の小5さんは。さらには5番目をフィフス、19番目をナインティースと言える…うーん小4までにこういう数の英語表記については履修しているのですね。うーん。

右ページを見てみましょう。


💭のなかで、絵文字を使っているのですよ。いちおう「want」や「birthday」や「red」や「cap」の文字があるけれど、あまり目立たないように配置されています。

とにかく音声で聞き分けることを重視していますね。こういうところ、新鮮です。

もうひとつ驚きなのは、ここ。

日本語のまま書かせるのです。Lucas とか red cap とか書かせないで「ルーカス」「赤いぼうし」と記させる。

このやり方は学校英語における画期だなーって思います。

小5の子たちはあくまで日本語の頭で回っていて、そこに英語の音声(そう、音声!)が入ってきて、そのすべてを聞き取ったり理解したりはしなくて、単語が聞き分けられればこの段階では十分だよって方針で、この教科書は作られているのです。

ページをめくっていきましょう。


「ほえんいずゆあばーすでい?」「まいばーすでいいずめいふぃふす
「ほわっどぅーゆーわんとふぉーゆあばーすでぃ?」「あいわんたいえろーてぃーしーと

バースディカードを生徒たちに作らせて、上のような会話ごっこをさせるようです。

強調フォントにしたところが聞き分けできれば、ほかはわかんなくてもええよという工夫を感じます。

右ページを見てみましょう。

「でぃすいずふぉーゆー、ひあゆーあー」「せんきゅー」

子どもたちは耳でこれを覚えて、級友たちの前でけいこするわけですか。

ここで使われる「でぃす」や「いず」や「ふぉー」や「ゆー」や「ひあ」や「あー」が何なのかはわかんなくていい、耳と体で、フレーズとしてなじんでちょうだい理屈は中学生になってから学べばいいのだからという意図のようです。

うまいな~

皮肉で言っているのではありません、うまいな~って感心します。


ここが Unit 2 の最終見開き。

1月から12月までを英語で何ていうの?のお話と、しっかりクールジャパン(死語)を仕掛けてきます。ナショナリズムではないよ日本の良さ語りだよん教科書採択よろしくねーと教科書選考委員にアピールというところでしょうか。


後でまたじっくり論じることになるのですが、教科書とりわけ英語の教科書は、国と教育委員会と日教組とほかいろいろなイデオロギーの綱引きゲームの折り合い点そのものとして形を結ぶんだなーって、前から感じています。

ここがわかると、私が前より主張している「日本において軍産学複合体にあたるのは英語教育である」論もわかるようになります。

画像はイメージです

先は長そうですけどね。

ふう。次回に続く


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