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先入観

朝目が覚めて1番に思い出したのは、ついさっきまで見ていた夢。
君が隣に居た夢。2人楽しそうに笑っていた夢。夢の中での2人はきっと、恋人同士だった。
どうして今更君の夢なんて見たのだろうか。
心残りなんて、どこにも、

夢は悪夢ほどより鮮明に記憶に残るという。
ということは、今日の明朝見ていた夢は悪夢だったのだろうか。
もう夜なのに。それなのにこんなに鮮明に覚えている。いや、嘘だ。こんなに鮮明に覚えているのは、僕の隣で笑っていた君の顔だけだ。それ以外の内容はこれっぽっちも覚えていない。

その夢を悪夢だとは思えない自分があまりにも女々しくて、情けなくて、呆れるほどに未練がましい。
未練なんてそんなものはもう無いと思っていた。綺麗さっぱり。とまではいかないにしろ、かなりスッキリと幕を下ろしたと思っていた。
思っていただけだったと、今この文章を書いていて痛感させられる。

できることなら「結婚しました」くらいの絶対的断念条件が欲しい。
そうすればきっと諦めがつく。あまりSNSを更新しない君だけれど、その報告だけは大々的にしてほしい。と切に願う。
どうか早く、素敵な相手と結ばれて下さい。
さもなくば僕は貴方に連絡してしまう。
そんな過ちを犯す前に、どうか。

こんなにも女々しくて、あまりにも情けなくて、呆れるほどに未練がましい。
そんな自分が大嫌いで、どうしようもなく愛おしい。
ああ本当に、まったく、気味(君)が悪い。

君は今、どんな曲を聴いていますか?
あの時聴いていた曲はまだたまに聴いていますか?
どんな音楽を聴くのだろうと思うくらいには、どうやら僕は君のことがまだ好きみたいです。

ああ、そうだ。
返さなきゃいけない物があった。会える保証は無いから郵送でもいいだろうか。
宛名は、、

今日で君が旅立ってから1年が経つ。
世間ではそれを一周忌と呼ぶらしい。

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