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Billy - Isbella

カントリーミュージックを軸にした2010年以降のバンドは、明らかにこの人がフロントマン!みたいな存在がいない場合が多い。ちょっと気になって古いカントリーミュージックを聴いてみたら、しっかりと中心人物を据えているっぽい。これがたぶん今と昔のカントリーミュージックの違い。

俺はスターを祭り上げるタイプの音楽より、メンバー同士が音を寄せ集めあって、中心に音楽が存在するようなものが好き。この感覚はすごく日本人っぽいなと前々から思っていたけど、そういえば最近の日本の音楽はそうではないものが多い。

たとえば大人数のアイドルグループを音楽的に聴くとやっぱり歌が中心にドンっといらっしゃる。その歌を大人数で構築しているとしても、歌は音のパーツではない。歌どうやって前に出すかを、他の音で演出する。

Isbella の曲には割とどっしりとした歌があるが、どこかしらパーツっぽさがある。そこがいい。

とにかく希望に満ち溢れていてネガティブな印象を感じない。強いて言うならこれはカントリーミュージックの根幹的なものを受け継いでいるおかげかもしれない。明るいわけではないが、希望を表現しようとしているように聴こえる。歌詞はわかってないので、ぜんぜんそんなことないかもしれないけど。

自分がこんな音楽を作ったり演奏したりすることを想像する。俺にはこんなに希望を表現する音楽は似合わないと感じる。少なくとも自分ではそう思う。

20代のころ、もっと鬱屈としながらすごしていた俺は、そういえばもっと希望みたいなものを表現したがっていたような気がする。音楽、ある種の幻想みたいなもので、寄り集まって存在してるんだかどうなんだかわからないもの表現する。と、俺はそう思っている。今自分にないものが結果的に表現されるのかもしれない。それが自分以外の人たちのそれと組み合わさって、説明できないおもしろさを醸し出すのかもしれない。

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