Muddeled Man / Stella Rose

音楽を聴いて嫉妬することがある。今の俺にこれは作れないと感じたとき。どうやったらこんな曲の構成が思いつくんだろうと思ったとき。すばらしい曲であればあるほど、リスナーとしての俺は歓喜し、作り手としての俺は凹むので、聴いていてちょっと疲れる。

この曲は一聴した感じ、やりたい放題やってやがるという印象を受けるけど、それはノイズによりカモフラージュのせい。天才の様相をした秀才。これは天才が作ったものだと割り切ることができれば、多少救いがあるけど、正しく丁寧に作られたんだと思い知ると、これを作った人の意識が刺さりはじめて、いったいどうなってるんだと言いながらこっそりと白旗を挙げる。音楽は芸術のなかでもロジックをものすごく必要とする。なので案外天才に威圧される機会は少ない。だから困る。

Nine Inch Nails に似たものを感じる。Trent Reznor はまさに天才風の秀才。彼はあの雰囲気を持ちながら、違法ドラッグに溺れていない。合法の酒に溺れている。どっちにしても溺れているのにちがいはないけど、なんとなく親近感を持ってしまう。そしてその親近感が末恐ろしい。

Stella Rose に感じる末恐ろしさの大きな要因のひとつに、明らかなポップさがある。イカれていないから外に向ける手段をしっている。俺と同じ人見知りの友だちが、英語で外国人とフランクに交流している姿を見せつけられたような気分に近い。お前の世界は広いが、俺のほうはそうではない。そんな気分かもしれない。

Muddeled Man は Stella Rose のデビューシングルらしい。アルバム単位の作品が待ち遠しいながら、それを聴くのがこわい気持ちもなくはない。ただこういう曲に出会う機会はそう多くはないので、なによりもまずリスナーとして素直に楽しみにしたい。

そして今日も俺は音楽を作ろうではないか!

自分が

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?