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「100%のものを、みんなが欲しいわけじゃない」株式会社ウィズレイCEO森山圭インタビュー

はじめに

この記事は、

・現役高校生のわたし橙香が
・高校生向けのインターンを募集している
・瀬戸内エリアで活躍する起業家・経営者にインタビューを行ったもの

となっています。

今回のインタビューは分光分析を活用した装置によって薬剤師の方々のサポートを行う株式会社ウィズレイCEOの森山 圭さんにお話を伺いました。

Name : 橙香(とうか)
現役高校生
この記事でインタビューをする人。

Name:森山圭さん(もりやま けい)
株式会社ウィズレイCEO
元就実大学薬学部准教授
今回インタビューを受ける人。

薬剤師さんの”不安”を和らげる。「事業内容」

森山さんが手に持っているものが、ウィズレイさんで開発している一包化散薬鑑査支援装置、コナミル。

「株式会社ウィズレイさんでは、主にどういった事業を展開されているんですか?」

「見てもらうのが速いと思うので、ここに“例の装置”を持ってきました。」

「これが!例のコナミルですか!」

コナミルは、差し込んだ一包化散薬を測定し、中に入っている薬の成分を見分けることができる装置。

「粉薬っていうのは、薬剤師さんが処方箋を見て、作って、鑑査に出すんだけど、薬を袋の中に入れてしまったら「ほんとにこの薬で正しいのか?」「処方箋どおりになっているのか?」というのが、わからなくなってしまう。
薬に間違いがないか、どうやって見分けたらいいかというのが、僕たちのコア技術になってます。」

「でも、薬を目に見える範囲の光で見分けようととしても、全て白色にしか見えない。だけど、赤外線って聞いたことあるかな?」

「なんとなく知ってます。」

袋に入った粉薬に赤外線を当てて反応を見ると、それぞれの薬が持ついろんな表情を見ることができる。

表示画面の参考画像。

「袋を装置に差し込むと画面に波形が表示されて、この波の形が中の粉末の赤外線に対する反応を表してるの。それぞれの薬ごとに波形は全然違う形になって、色んな形のデータをこの装置に覚えさせている。
記憶した中でどの波形が今測った形に一番近いのか、データベースの中から見分けて、何の薬か測定してくれる。指紋照合みたいな。これによって安心して患者さんに薬をお渡しすることができます。」

「じゃあこれで薬剤師さんの仕事が楽になるかって言われたら、そういうわけじゃない。」
「たとえば脳に効く薬とか、効果の強い薬とかを薬剤師さんが間違って渡しちゃったら、すごい医療事故になってしまう。
薬局で一人で仕事をする薬剤師さんもいるから、自分で詰めて、自分で確認して、自分で出して、全部一人でしていると、不安でしかないよね。
薬剤師さんは常に間違ったらやばいって思ってやってて、その不安プレッシャーと戦っている。
だから、薬剤師さんの不安をちょっと和らげてあげるっていう装置。」

「もしなにか一つでも間違えてしまったら、取り返しがつかないですもんね…….」

「そう、取り返しつかないし、その全部が自分の責任になることもわかっている。そんな人たちのどうにかして粉を見分けてほしいというニーズがあって、そこにぼくたちが赤外線の技術でもって応えています。」

失敗できない確認作業を繰り返す薬剤師の方にとっては、少し心が楽になる技術なんですね。」

「この装置を求めている薬局や薬剤師さんというのは、たとえばどういったところが多いんでしょうか?」

「刺さりやすいゾーンとしては、少人数でやっていて、小児科や精神科など粉薬をたくさん扱っていて、無茶苦茶忙しいわけではないところ。
忙しいところはチェック項目が増えることが重荷になってしまう。もうこれ以上何も入れてくれるな!って。ちょっと時間に余裕があって、不安を抱えているところがターゲットになるかな。」

「全国にどのくらいそういった薬局があるんですか?」

「全国の薬局の2割~3割は一人とか二人でやっている薬局で、その中から小児科とか精神科って絞っていくと、ごく狭い範囲になるんだけど、ぼくらは最初はそこに刺せばいいかなと思っています。それが全国で100件とかしかいなくても、そこからうまく広がっていくかなと。
薬剤師って結構クチコミが効くんですよ。これはあった方が良いよ。これはあそこの薬剤師さんが使ってるから。みたいな、アーリーアダプターになるはじめの100人っていうところにしっかり刺していくのが最初の仕事かなっていう風に考えています。」

「誰もやらないなら、自分が」 ”イノベーション”と開発のきっかけ

「実は、こんな装置をぼくが発明したわけではなくて、粉を赤外線で見分けるという技術自体は、ずっと昔からあります。製薬メーカーでも使われていて、ぼくが以前に働いていたときもこういう分析は普通にやっていました。」
「ただ、大学の研究所とか製薬機関でやっているのは、その機械がすごいでっかい装置で、一台1000万ぐらいする。」
「プロがパソコンで色んな入力をして、測定!ってやって、ガーって時間かけて測って、結果がボン!!!レポートがビュー!!!って出てくるやつなんだけど、そんなのが薬局に置けるか?って話!」


「ぼくたちがやりたかったのは、ちっさく、安く、誰でも使える。だから特許がとれるわけじゃあない。
世の中に全くなかった技術じゃないけれども、それを小さくする、安くする、扱いやすくする。
イノベーションって聞いた時に、今までにない新しいものを作ることだと思うかもしれないけれど、今までにあるものをキュッと小さくするとかずっと安くするとか、そういうのも立派な”イノベーション”なんだ。」

ある種のローカライズも、一つの革新の形になるんですね。

「ちなみに、いま薬局の薬剤師さんにとってこのような装置が一般的でないなら、今まで薬剤師さんはどうやって薬を見分けていたんですか?

「まず処方箋が来たら、薬の入ったボトルに向かって指差し確認。
っていうのを大学では教えているんだけど、まあ非効率なので、ボトルの表面のバーコードを読み取ると、”今持っているのは○○ですよ”って機械が教えてくれる。1グラム分秤で量らないといけない場合には、もう一回バーコードを通してから量ると、”○○を1グラム量りました”って結果が紙に印刷されて出てくる。」

「なるほど、お薬ごとにバーコードで分類しているんですね。」

「そのあと、量った薬を装置で一包化してしまったら、あとはもう中身はわかんない。もう目で見てもわからんから、一包化する前にしっかり確認っていうのが今やってること。」

「えっ、そんなの超怖くないですか?

「超怖いでしょ。一包化した後は中身を確認しようがないから、その前に間違わないように何度も確認する。
だけど薬剤師さんには、患者さんに出す前に「あれ?いつもと色が違う気がする……」っていう若干の疑念が湧くことがある。」

「本当はそんなことないのかもしれないけど、もしミスがあったらと思うと怖いですよね。」

「そう、ふとこんな色だったっけって思った時に居ても立ってもいられなくなって、薬を捨てて、もう一回納得できるまで作り直す。っていう人もいるぐらいの世界なのね。
最後に確認する手段がないって言うのは、やっぱり怖い。いくらバーコードを読ませても、患者さんに出る直前で確認する手段がないのは、怖い。」

「自分のミスで取り返しのつかない事故が発生するかもしれないと思うと、とても恐ろしく思えますね…….」

「全体を通して安全性を確保するために、バーコードとも合わせて使って、薬剤師さんが総合的に判断するための補助ツールとして出しているのがコナミルです。」

「ぼく自身が大学とか製薬メーカーで研究者をやっていて、さっき言った大きな装置での分析も当たり前にやってたんだよ。
だけど薬学部で10年間教員をやっていた中で、薬剤師がどうやって働いているのか見る機会があって。
現場に行くと、製薬メーカーで薬を作るほうは分析を行って、品質管理して薬を出してる。
でも現場で使う所を見ると、めちゃくちゃアナログローテクでやってる。」

「ぼくの中では”こういう装置を使ったらいいのにな”っていう思考しかなかった。」

「ただ、薬剤師の人はこういう技術を知らない。いや知らないことはない、僕は教えた!大学二年生で教えた!絶対に教えた!ただ、忘れてる。
大学二年生の薬学部の授業で分光分析学っていう分野は絶対にやったんだけど、でもそれは現場で使わないからって忘れてしまっている。それで、目で見るしかないみたいになってしまっている。」

「そこをぼくは、たまたま薬剤師でありながら製薬メーカーで働いていて、大学の研究者で光の分析をやっている。そういうところから全体を見渡すと、できるのに。やればできるのに。
でも誰もやらないってことは、自分がやるしかない。っていうのでやりはじめました。」

「森山さんだからこそ持っていた視点で、その行動の結果こそがこの装置なんですね。」

ユーザーに合わせた”ほどよい”を。 「ものづくりで大切なこと」


「こういった分析機がこれまでふつうの薬局に置かれていなかったというのは、単純に価格とか機械の大きさに課題があったんですか?」

「まず、あんなに大きな機械を薬局では買えない、場所がない。しかも、プロ用の仕様になっているから使い方が複雑すぎる。
正直細かいパラメータなんてどうだっていいの、ボタン一つでできるように落とし込む。デフォルトの測定で簡単に測れて、波形が取れたらそれでいいじゃんって感覚です。」

「大きなものより機能は簡略化されているけど、その分現場のお仕事に合わせて使いやすくなっているんですね。」

「その通り。みんなプロ仕様のやつを使いたいわけじゃない。」

「この先なにをやるにしても、パソコンが買いたい!ってときに量子コンピュータなんてものはいらないわけです。使いやすいコンピュータのほどよいやつがあればいい。」
その人の立場によって、”ほどよいやつ”があるわけで、薬局で働いている人が光分析を使おうと思ったら、これくらいが”ほどよいやつ”であって。
だから製薬メーカーの品質管理に持って行くと、こんなん使えるかい!っていうくらいのラフなレベルではある。」

「それが、誰にとってほどよいかというのを見極めないと、みんな100%のキワキワのものが欲しいわけじゃない。それもふまえて、安く小さく仕上げるのがイノベーションかなと思っています。」

「機械としてのカテゴリは同じでも、目的が違えば全く変わってくるものなんですね。」

みんなに良いものを。良いものを。良いものを。ってやってしまうと、それってほんとに現場のニーズを考えてる?っていうところはものづくりのスタートアップをする人はちょっと考えないといけない。
価格帯と、使いやすさ。とにかくすごければ良いってわけじゃない。
特に機械操作に慣れていないような薬剤師にとっては物凄い数字をいっぱい入力する装置なんか、見ただけで吐き気がする。笑」

「操作を覚えるのが億劫になっちゃいますよね。」

「こんなの覚えたくないし、そんなに暇じゃないし。やっぱり、現場のニーズをしっかり捉えるっていうところは大事。
この人はどれくらいのスペックのマシンが欲しいんだろう?ものづくりのスタートアップに関してはしっかり現場を見てヒアリングして、というのは特に大切かな。
使う人が何を求めているのか。そこに合わせたスペックを作り込むこと。

「実際に現場で使う薬剤師さんのことを意識して作られている製品なんですね。」

「そう。現場の方にとって何が欲しいか、何に困っているか。こっちだけの感覚で作っちゃうとユーザーさんの感覚と乖離してしまう。
どのくらいの値段だったら払ってもいいと思えるか、たくさんの薬剤師さんにとにかく聞いて回った。その辺はハードウェアのスタートアップをやる人、経営者のバランス感覚としてすごく大事かな。」

「装置に名前を付ける時も、僕の知り合いの薬剤師さんたちからアンケートを取って、コナミルっていうのが出てきた。
ぼくは研究者で男の子で、やっぱりカッコいい名前が好きだから、カッコいいのを付けたい!カタカナのナントカアナライザーとか、ガンダムに出てくるような名前とかを付けたくなるわけ。
なんですが、それは現場じゃあんまり受けない。」

「例えば実際に薬剤師の現場で使われている軟膏を混ぜる機械はなんこう練太郎(ねりたろう)だったり、”ナントカ薬ナントカくん”みたいなわかりやすい名前の方が受け入れられる傾向があったりして。
”粉を見る装置だから、コナミル。”みたいな感じで名付けた方が受け入れられやすいかなと思ってこの名前にしてます。」

「そういったところでも、現場の雰囲気に合わせることが大切なんですね。」

現場の声を聞くことをおろそかにしたものづくり系のスタートアップってやっぱりできなくて、現場で使う人が何を考えているか、それをどこまで把握するかが肝だね。

事業への”熱”、そして「ひとの持つ武器」について 「経営者の思い」

「ふだん、どのような思いでお仕事と向き合っているんですか?」

「これはこの間妻と話していて気づいたことなんだけど、大学の教授をやめてスタートアップを初めてから、趣味をしなくなった。」

「大学の教員をやってた時って仕事が結構しんどかったり自分がやりたいわけじゃないことをやったりするから、趣味でワクワク感を得ようとしてた。
人間ってひとそれぞれ「自分はこのくらいのレベルのワクワクを持っていたい」っていうのが、潜在的にあるのね。そのワクワク感を、どこで得るか。仕事で得られない人は趣味で得ようとするの。別のコミュニティでそれを得ようとするから、趣味にものすごく没頭してしまうこともある。ぼくもそうだった。」

「でもベンチャー企業を立ち上げて、自分で開発してものを売っていくって、それ自体がワクワク感の塊でしかない。
自分の中にあるべきワクワク感がこれで満たされてしまったから、今は一切趣味らしきことはしてないし、お酒も飲まなくなった。」

「これまでの熱量は、いまはお仕事に向けられているんですね。」

「別に朝から晩まで仕事してるわけじゃないし、忙しいから趣味の時間が減ってるわけでもない。やろうと思えば趣味をやる時間もあるけど、その時間も仕事のことを考えてたりどこかへ連絡してたりして。それで満たされている感じがする。」

自分のやりたいことが実現されていく楽しさ、なんでしょうか」

「そうそう、そっちが楽しくなっちゃって、趣味兼、仕事みたいな。」

「人の持つ総合的な熱量っていうのはやっぱり一定のレベルがあって、それをどこに向けるのかが違ってくる。
ワクワクとか何か追究する気持ちが、常に何処かにものすごい勢いで向かっているっていうのは、今まで生きてきてずっとそうだったかな。」

「とてもかっこいい生き方に思います。文武両道で、色々な趣味にも打ち込んで、なんだかとても尊敬してしまいます。」

「そう、そこなんだよね。」


「例えば小学生でサッカーを始めました、そして日本代表に入ってバルセロナに行ってワールドカップで優勝しましたっていうのは、当たり前だけどすごい狭き門なの。
物事で世界一を取ろうと思ったら、物凄い運と才能と努力で行かないといけない。でも、そんなのはほとんどいないじゃない。」

「だけど、たとえば僕は薬剤師研究者。
ラジコンをやってたからものの組み立てもできる。
小学校の時にちょっとやってたからプログラミングもできる。
そういう「そこそこできる」ことって、すごい”武器”なの。」

「薬学部の先生をやってた、光が分かる、マラソンできる、ラジコンが作れる、プログラミングができる。その集合の武器を持った人って、たぶん世界に俺しかおらんのじゃないか?」

「だから、サッカーだけで世界一を取ろうと思っても取れないけれど、「そこそこできる」ものをたくさん持ってるって、その人のアイデンティティになるんだよね。」


「皆さんもまだ若いから、今までの人生を一回たな卸ししてみて、私はこれができるな、あれができるな、誰よりも優れていなくていいから、「そこそこできる」ことを集めて表にしてみたら、それってたぶん世界にあなたしかいないプロパティなの。
そこで勝負していくと、たぶん世界でそこそこ勝てる。

学生に向けて、自分の人生も踏まえた言葉を探す森山さん。

「ぼくも、色んなことをやっていてもどれも世界一を取ったわけじゃない
ただ、その全部を集合させた「そこそこできる人間」って、たぶん世界を探してもぼくしかいなくて、それを結集させると、こんな装置ができる。

「ある種の器用貧乏というのも、捉え方を変えればオールラウンダー、みたいな特性になりうるんですね。」

「そう、オールラウンダー。何かやろうと思った時、そういう今までやってきたこと、なんか中途半端でやめちゃったなっていうものでも、充分だと思うんだ。それでも充分あなたの経験として、絶対入ってきてるわけだから。
たとえばちょっと楽器をかじったけどすぐにやめちゃったとかっていうのも、それも一つの自分の才能だと思うから。そういうたくさんの自分の武器を理解して、それを結集させたら何ができるか考えたら、たぶん誰にもできないものができる。それこそが勝ち筋じゃないかと思う。」

「自分の中にある武器を見つけることで、今まで見えてすらいなかったことができる。勇気づけられる言葉です…….!!」

「若いとき、ぼくもサッカーを中途半端でやめちゃったから、やっぱりそれって負い目になっちゃう。自分の中でマイナスなイメージが付いちゃう。あれもやったけど、投げ出しちゃったなぁって。」

「でもそれもポジティブにとらえて、いま自分はこの武器を手に入れた。あの武器を手に入れた。
そう思えば、今までの人生をそんなにネガティブに考えることもないと思うし、どうやってその武器で戦っていこうか?一人ではダメだったなら仲間を連れてくれば、仲間もまた違った武器を持っているわけだから、その二人や三人が合わさることによって、たぶん世界で誰にもできないものができると思う。」

「何か新しいことをやるときは、自分とキャラクターが違う人間を三人集めたら、すごいおもしろいことができる。自分たちの経験をバーっと書き出して全部並べてみて、じゃあこれとこれとこれを組み合わせたらすごいことができるんじゃない?って。」

「中高生から見てキラキラしてる大人って言うのは、なにかで世界一を取ったわけじゃない。ただ、武器をいっぱい持っていて、自分が何の武器を持っているかちゃんと理解している。ネガティブになって、ここまではやったけど恥ずかしいから言いたくないな、とか思っていない。ここまでやったけどダメだったっていうのは、自信を持って言えるかな。

「自分の中に引っかかっている過去のことでも、前進するための足掛かりにできるんですね。」

「若い人には、これからも色んなことを経験して引き出しにその武器を増やしていってほしいと思っています。」

「これをやりたいって思いついて、でも、どうしようかな?となるくらいならば、もうさっさとやって、ちょっとでもいいから武器を一つ手に入れておくことは大事かな。行動すること。やべぇ、説教じみてきた。笑

勉強しながら、経営しながら。「起業家としての心構え」

「起業して、初めたてのときはどんな感じでお仕事をされていたんでしょうか?」

「ぼくはずっと研究者・教員っていう立場だったから立ち上げた時は”会社の仕組み”っていうのが、全くわからない。
お金の流れ、法律的な話、経理や特許やローン。その辺りは弁護士さんや税理士さんと動くんだけど、諸々の仕組みを全くわからずに会社を立ち上げちゃったから、まずはその辺を一から勉強してた。

「弁護士さんとかに任せればいいじゃん、って思うかもしれない。月にいくらか払って弁護士契約をすればそれで済むんだけど、僕も経営者である以上、ある程度弁護士さんと同じワードで話ができないといけない。
こっちが何にも分かっていないのに、任せた!ってやってしまいたくなかった。
税理士さんと話す時とか特許とかもそうで、いろんな士業の人とお話するための基礎知識をめちゃくちゃ勉強した。

「でもざーっと勉強してからさぁ動こうかじゃなくて、経営しながらなので、弁護士の人と話してわからないワードが出てきたら今のなんだったんだろうって一生懸命勉強して、次に相談しに行くときに必要な所を勉強するのを繰り返して、走りながら、勉強しながらって感じだったな。

「それが最初のころで、そうこうしててお金が無くなるとやっていけなくなるわけで。今度は投資家の人と話すために勉強しないといけない。投資家と同じ目線で話ができないといけない。
会社を立ち上げてずっとやっていきながら、今まで研究者として勉強してこなかったいろんな分野のことをとにかく勉強してた。もちろん今も。

「勉強しないと、弁護士さんに任せて言われるがままハンコを押していたら会社に対して責任が取れないし、ベンチャーキャピタルの人と話す時も、どういう計画で会社を大きくして何年後にどういう規模の会社になっているつもりなの?って聞かれたらエビデンスをもとにして話さないといけないし、そういうところも勉強した。」
「そうはいっても自分たちのやりたいことも世に問わなきゃいけないので、ピッチコンテストに出て、プレゼンして評価してもらって。」

「経営にまつわる勉強をしつつ会社も動かして、というのは、一つの起業家のセオリーとしては珍しくない考え方なんですか?」

「僕が知ってる起業家の人は、みんな無茶苦茶詳しい
人って大人になっても成長するものだから、僕の知ってる岡山でがんばってる起業家の人はみんな無茶苦茶勉強してる。もともとそういうバックグラウンドがあったわけじゃないはずなのに、いつの間にか専門家みたいな話し方をしてる。
それができないと、逆に消えていってしまう。」

「あんまり弁護士さんや税理士さんに話を丸投げしてしまうのは、起業家としてはう~ん……っていうところもあるんでしょうか?」

「たとえばベンチャー企業じゃなくて、カフェを作って日々お小遣い程度の稼ぎがあればいいですっていうビジネスをするのであればその辺は任せてしまってもなんとかなっていくかもしれない。ただ我々スタートアップは技術などで会社として一気に大きく成長していくっていうのをやろうとすると、各方面に対するそれなりの知見が経営者にもないと、騙されるし、変な方に暴走する。

「自衛のための手段でもあるんですね。」

「そうそう、そこを勉強せずに任せっきりでやってると多分いつまでたっても会社は大きくならないと思うし、周りからの信頼も得られない。
たとえばベンチャーキャピタルの人と話す時にここの契約どうなってるの?って聞かれて「弁護士に任せっきりなんでわかんないっす」なんて言ったら、こいつダメだ……ってなると思うのでやっぱりある程度話せないとダメだよね。
今までやってきた研究にプラスして投資家の方や士業の方、銀行の方と話すための勉強。それを今でもやってる。」

「勉強が本分の身としては耳が痛いですね…….」

「大人になったら勉強しなくていいわけじゃなくて、何か仕事を持ったらそれに関する新しい知識を身につけないといけない。でもそれも楽しいし、ワクワクすることかなって思います。」

インターン生としたいこと!

「最後に、わたしたちのような学生が、インターンという形でなにかウィズレイさんと一緒にやりたい!と思った時、どのようなお仕事で力になることができるでしょうか?」

「そうだなあ、たとえばいろんな薬局の薬剤師さんがふだん何を考えて、どういうことを行っているのか?僕らの立場に言わないことっていっぱいあると思うんです。
薬剤師さんから見ても、ああ、森山先生が来たなと思って、本音を出さないことがあったりする。あんまり隙を見せたら営業でもされそうな気がして。」

薬剤師さんがどういうことに困ってて、患者さんとの人間関係をどう作っていきたいとか、薬剤師さんの純な声を聞いてほしいっていうのはすごくあって。
僕らだとそこに色がついてしまっているから。中学生高校生がこれから薬剤師を目指してて、興味があって、みたいな雰囲気でいろんなことを聞き出して、その話を皆さんの感性で、言葉やテキストで”今の薬剤師さんってこんなこと考えてるよね”ってまとめたら、それは僕たちが見ているのとは違う景色になると思う。それは中高生にしかできないこと。」

「そうすると、みんな饒舌になるんだよ。ぼくの前では一個も喋らないのが、中高生が押しかけてきたら本当に調子良く話し出すから!」

「普段と違う人が相手だとなんだか良い顔をしたくなるの、ちょっとわかります。」

「そう、良い顔したくなるし、そういう話が聞きたい!学生の目線で薬剤師さんの意見収集をしてくれると、ぼくが聴くよりも全然違った意見を拾ってこれそうな気がして、そこが聴きたい。

「このコナミルも森山さんの目線でのヒアリングの積み重ねがあってこそのものなんですね。」

「そう、でもそれはあくまでもぼくの目線での意見収集だから。」

「わたしたち学生の目線で薬剤師さんの話を聞くことにも、それぞれに意味があるんですね。」

「本日はありがとうございました!」

「ありがとうございました!」

まとめ

株式会社ウィズレイでは、現場の薬剤師さんに注目し、その不安に寄り添うために最適なものは何か、考えながら装置を開発し、とどけている。
・学生ならではの視点で、学生にしか聞き出せない薬剤師さんの声と考えを聞いてほしい!

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この記事は、JST「EDGE-PRIME Initiative」 事業の一環として、岡山大学がNPO法人だっぴ、無花果株式会社と協力し、運営している高校生向けアントレプレナーコミュニティ 「オレンジ」が作成しました。

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