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装丁の想定『雨ふる本屋』

梅雨なので、2016年の作品ですが雨にまつわる児童書を。

「装丁の想定」
実在する本の表紙に使われるイラストをイメージして、個人的に制作した絵のシリーズ。2010年くらいから細々と描き続けています。

『雨ふる本屋』 著:日向理恵子

おつかいの帰り、ルウ子は、カタツムリにさそわれて“雨ふる本屋”へ。
出迎えてくれたのは、摩訶不思議な本と、ドードー鳥の店主と助手の舞々子、そして妖精たち。
ドードー鳥の店主が、ここにある本は、人間に忘れられた物語に、雨をかけてできあがるという…。
現在5冊のシリーズです。

原作の吉田尚令さんのイラストと作品全体の雰囲気、自分が小学生だったらまちがいなく手にとるなぁ〜と思う佇まいでした。
文章も詩的でかわいかった。
「自分だったらこんなふうに描きたいな」という思いと、「物語本編と吉田さんのイラストが好き・原作もぜひ読んでみてほしい〜」という布教的な思いが混在して、主人公ルウ子ちゃんのキャラデザは原作寄りです。
赤いボーダーの服と赤い長靴が印象的。

袖までぐーんと世界が広がっていくイメージで。
この不思議な本屋さんにはときめくアイテムがいっぱいなので、ただ本棚が並んでいるだけじゃない面白さを出したいと思いました。


制作過程

ラフはPhotoshopでざっくり。
「雨が降っている本屋さん」をどう印象的に見せようか悩んで、雫が降ってくるのを見上げる構図にしました。魚眼でもないデタラメ強引パース。どうやったかあんまり覚えておりません。
印刷してシャーペンでトレース。
最近はすべてPhotoshopでやることが多いです。
パーツ分けしてひたすら塗ります。
実際の装画では仏頂面が印象的ですが、ここでは不思議な雨に心が解けている最中のような優しいイメージ。しっとり優しい物語なんですよというのを伝えたい。
背景の市松模様の芝生は地道に手描きしてるのでとてもしんどかったです。

完成

オリジナル作品のまんまる顔は癖が強くて使いづらいよなと自分で思ったので、その雰囲気を残しつつ児童文学の世界に落とし込めないかなと挑戦してみました。
眉があるだけで印象がかなり違いますね(表情もつけやすいし)。
目にハイライトを入れようか迷いましたが、私はハイライト無しの方が好きなので、無くても怖くならないようにできないか…!どうにか…!と模索してみたり。
グラデーションを入れると適度に情感や優しさが出る気がするのですがどうでしょう??

登場人物カット

こちらのルウ子は物語序盤の仏頂面。
幸運の青い鳥のホシ丸くん、妖精のシオリとセビョーシ、ドードー鳥のフルホンさん、助手の舞々子さん。
個性的な人物描写を自分なりに表現しました。
モノクロver


おまけ

読了後にいきおいで描いたもの。
装画としては設計しておらず、オリキャラのOLIVIYAが髪型を変えたかんじ。
自分の好みではこれくらい抑えた色でもいいんですが、イラストとして使ってもらうならやっぱりカラフルなのが求められている気がします。
これもシャーペン画にPhotoshop彩色。
グレイッシュなのも好き。


これとはキャラクターのデフォルメ感がかなり違いますが、
実際のお仕事で不思議な雨を描いた装画や

湾曲した世界を描いた装画も。

ど真ん中ファンタジー!というお仕事はなかなかご縁がないのですが、いつかそういうものも手がけてみたいと思っております。
お力になれそうな案件がございましたら、お気軽にお声がけください!

サポートしていただいた売り上げはイラストレーターとしての活動資金や、ちょっとおいしいごはんを食べたり映画を見たり、何かしら創作活動の糧とさせていただきます。いつも本当にありがとうございます!!