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働きたい中小企業の職場

中小企業支援のフィールドで働きつづけて20年ちょっと。
中小企業の経営者の方々との話は、貴重な財産です。

そんな経験を還元する場?として、今年は、本業外で学生さんに講義する機会をいただきました。

アカデミックな場ですが、学生さんから感じたのは「働く場としての中小企業」という点。
もうすぐ社会人になって働くことを考えたら、確かに現実的な視点ですね。

今回は、見聞きした中小企業のなかで「働きたい職場」の要素を、勢いであげてみました。

(中小企業もさまざまなので、ここでは社員50人ぐらいの製造業のイメージです)

■家族や友人が働いている

「子どもを同じ職場で働かせたいか」

自分の職場を評価するときの問いの一つ。

実際、魅力的な中小企業の職場には、親子、兄弟などの親族や、親友が働いていることが多い気がします。

身内や自分の大事な友だちであれば、イヤな職場に引き込もうとはしない。

「紹介できる職場」というのは一つの指標と言えそうです。

一方の中小企業側にもメリットがある。

大企業と違って、簡単に良い人材が採用できない中小企業。
「見知らぬ誰か」を採用するよりも「あいつが連れてくるなら」という、安心感は大きいですね。

■社長自ら『採用担当』

経営者が全力をかけて採用に関わる企業は、やはり人材のミスマッチが少ない気がします。

中小企業の場合、経営者が採用面接を担う企業も多いですが、採用説明会から、自らスピーカーとなり自分の言葉で語る。経営者との接点が増えれば、経営者の人柄や会社の雰囲気も伝わりやすい。

働く側の「自分は、この社長のもとで働けるか
というフィーリングは大事ですね。

最近は、人手不足もあり、地元の工業高校の卒業生を獲得するのもなかなか大変。
感覚的ですが、経営者の採用に対する「熱意」は大きいと感じます。

■風通しの良い職場

最近の言葉でいえば、自分の意見が言いやすい、心理的安全性の高い職場

経営の話を聞く場面では、経営者だけでなく、従業員の方も同席する場合も多い。
そんなときに、社長以外の従業員はほぼ話さない、という企業もあれば、従業員も自身の意見を積極的に話す企業もあります。

他にも、工場内を案内してもらう際に、社長が従業員に、逆に従業員が社長に、気さくに話しかけている場面をみます。

(ちょっとしたやり取りだけでは、もちろん断定はできないですが)
従業員が自然体で話をしているのをみると、心理的な安全性の高い職場は、働きやすい要素の一つかと思います。

■経営者のオープンな姿勢

役員報酬も含めて、会社の成績と言える「決算書」を従業員に公開する。

「良いときも、悪いときも、自分たちが働く会社がどんな状態にあるか、従業員にも知ってもらう」
そんな経営者の言葉を聞きます。

とはいえ、売上高や利益などの一部の情報は従業員に伝えても、決算書をまるっと開示する中小企業は少ない。

決算書の情報に限らず、経営者のオープンな姿勢は、従業員との関係性を良くする要素といえそうです。

■『従業員のおかげ』

経営者から経営状況を聞いていると
がんばっているアイツら(従業員)のおかげですよ」
といった言葉を聞くことがあります。

もちろん「新規取引先を開拓した」「新製品を出した」「設備を入れ替えた」など、業績が良くなった理由はさまざま。

それでも、従業員の貢献に感謝の気持ちを自然に話せる、経営者はステキですね。

そして、社長のねぎらいの言葉とあわせて期末に「賞与」として、フィードバック。従業員もさらにガンバル気持ちがアップ。
結果、ポジティブに回っていく。

些細なことですが、感謝の気持ちをきちんと言語化して伝えることは大事ですね。

最後に

「働きやすい中小企業の職場は」
という問いを考えると『経営者』に関係する要素が多くなりました。
(統計的なデータがあるわけではないですが・・)

従業員が少なく、経営トップとの距離が近い中小企業だからこそ「経営者」の要素は大きくなる気がします。

もちろん、働きやすいと感じる職場は人それぞれ。
自分自身も、改めて「ウチの会社の働きやすさって、何だっけ」を考えるきっかけになりました。

おわり。