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中小企業にこそファシリテーション

リーダー会議、店長会、現場改善会議、、、名称や名目はいろいろあっても、有意義な会議や打合せを続けるのは、なかなか大変。

特に、中小企業に多いのは
(中小企業に限らない面もありますが)

・経営者からの一方的な伝達(激しい叱咤激励)
・声の大きい社員が場を支配する
・問いかけても静まりかえる、意見が出ない
・ベテラン社員が「自分には関係ないね」と非協力的
などなど。

せっかくメンバーが集まっても、場がうまく回らないことも多い。

そんな中小企業の『話し合いの場』にこそ、ファシリテーションの要素が大事だなあ、と改めて感じます。

中小企業の話し合いの場

うまく回ってない打合せや会議をみると

・テーマがあやふやなまま、会議が始まる
・議論する場なのか、アイデアを出す場なのか、決める場なのか、が曖昧
・時間切れで、結論がよくわからず終了になる
・説明者や提案者が話したあと、質問も出ずに議論にならない

といったことが起きています。

特に、現場からの発意ではなく、経営者からのトップダウンで始まる「新規プロジェクト」や「改善会議」などは、その傾向が強い。

そんな会議に参加したり、陪席して思うのは、参加者が会議に否定的というよりも「会議の作法」に慣れてないことも多いように感じます。

中小企業の場合、マネジャー職でもない一般の社員は、日々の目の前の仕事が中心であり、意見を言いあい、決めていくような会議に参加する機会は少ない

そういう状況のなかで、いきなり密度の濃い会議を始めるのは難しいのもよくわかります。

ファシリテーターの役割

そんな会議の場で求められるのが「ファシリテーション」

話し合いに慣れていない中小企業では、まずは「安心して発言できる場をつくること」が大事。

「発言したら、あとで何か言われるんじゃないか」
「自分の意見なんてバカにされる。言ってもしょうがない」

そんな参加者の不安を取り除いてあげるのが第一歩かもしれません。

その方法として、ファシリテーターが「対話と議論」や「発散と収束」の場をうまく分けるのも一つです。

例えば、ファシリテーターが
「まずはこのテーマに対して、一人ひとりが思うことを話そう」
対話の場からはじめる。

まずは、発言者の意見を否定せずにじっくりと聞く。
発言者は、話を途中でさえぎられることも、ダメ出しをされることもないので、自身の意見が言いやすくなります

そのうえで、意思決定をする議論の場をつくる。

また、ファシリテーターが
「思いつきでいいので、意見やアイデアをだしてね」
発散の場からはじめる。

ブレストのようにどんな意見、アイデアでもホワイトボードに書く。

そのうえで、収束する場をつくり、話をまとめていく。

もちろん、そんな簡単にうまくいきませんが(笑)
参加する人が、まずはストレスなく、自分の意見やアイデアを会議のテーブルに出せるといいですね。

ファシリテーターの役割は、まずは会議に慣れない人たちが、主体的に参加できるよう、話し合いの土俵をつくることかもしれません。

話し合いの効果

話し合いで活性化されたチームは強い。

中小企業の場合、経営者のトップダウンで動く組織が多いですが、すべてを経営者が決められるわけではない。

特に、企業規模が大きくなってくれば、必然的に自分たちで決めていく仕事も増えてきます。

ファシリテーションの第一人者の堀公俊氏は、活性化されたチームの要素として、「自律性」と「協働性」を挙げています。

                       出所:「チームファシリテーション」堀公俊

自律性とは、自ら考えて行動できるかという視点であり、協働性とは、みんなのために動いているかという視点です。

中小企業の場合、例えば、
「職人的な人が集まり自律性は高いけれど、企業全体のことが考えられない」とか
「経営者の絶対的な指示命令のもと、駒のように動くけれど、自律的に動けない」といったケースも散見されます。

問題を一番よく知っている現場の人たちが、企業全体のベクトルを見ながら、自律性と協働性をもって活動できたら、やはり強い組織になりますね。


最後に

中小企業は大企業に比べると、人員は限られています。

中小企業の経営者から、人材育成にかけられる時間や予算がないこともよく聞くところです。

「話し合い」のためのファシリテーション力といっても、組織への効果もなかなか見えにくい。

経営者が社員を研修に出すとしても、仕事に直結する技術や知識(例えば、製造業のマシニングセンタ等の技術研修)の習得を優先するのもわかります。

とはいえ、現場を巻き込んでチームを活性化するには、ファシリテーションのマインドやスキルを持った人材は、実は貴重な戦力。

外部の支援者やコンサルがときに、会議のファシリテーションを担うこともありますが、あくまで一時的なもの。

中小企業の現場に、ファシリテーションのできる人材が増えると、よりよい話し合いの場、ひいては、活性化したチームづくりに役立つのではないか、と年始早々から思っています。


おわり。