テニスの王子様所感/テニスって楽しいじゃん

結局さぼってしまったのでお盆休みを利用してリハビリ文章を


たまたまTwitterのタイムラインに「テニスの王子様」関連のツイートが流れていたのを見かけ、以前からこの漫画について思っていたことでもまとめてみようと思います。(それはそれとしてサマーバレンタインってなんだよ……相変わらず意味わかんねえよ……)

 テニスの王子様は基本的に、ぶっ飛んだ発想の技と台詞回しで人気を博したという風潮(野郎的感想です。貴腐人がた申し訳ありませんw)がありますし、実際僕も好きなのですが、そこだけではなくて、個人的には、最終巻に至る展開がとても好きなのです。よくマンガ連載っていうのは諸々の都合で、オチは面白くなくてもいいとまで言い切られたりしてますが、やっぱり終わりでバシッと決められるのは気持ちがいいものです。

 最終巻でラスボスの最強技を破るセリフが、「テニスって楽しいじゃん」。最高だとおもいません?

このセリフ単体は、古いスポ根ものからの脱却に成功した、ジャンプ屈指のサッカー漫画「キャプテン翼」のセリフ「ボールは友達」の延長線上にあるものですし、そう珍しいものではないはずです。しかしそれをストーリー冒頭ではなく最終巻にもってくるあたりが許斐センセのオリジナリティだと思うし、センスを感じるのです。

 この最終巻のセリフが象徴してるように、基本的にテニプリのストーリー展開って、通常のジャンプ漫画の王道の逆張りなんじゃねーかと思うわけです。(王道を外れているのではなく、「逆」である点がミソです)
 ジャンプの王道として、主人公は基本的に才能こそあれ、成長を前提に経験値0スタートで始まります。そのかわり、前向きです、形の差こそあれちょっとしたポジティブさを支えにして、自己実現に邁進するわけです。うずまきナルトや桜木花道がわかりやすいでしょうか。(翼くんはリョーマと同じく最初から才能全開キャラでしたが、彼はチームに恵まれなかった部分を、「ボールはともだち」のセリフとともに克服、自己実現していくように解釈できるでしょうか。かなり強引ですが…)
 が、越前リョーマは最初から、先輩をぶっ飛ばすわ1年生でレギュラーはって公式戦で勝つわとやりたい放題です。才能と実力が最初からTopレベルで、「まだまだだね」と相手を挑発する。完全にサスケや流川といったライバルキャラのステータスですよこれ。(実際最初の設定ではライバルポジで金太郎が主役だったみたいですね)
 そんな逆張り主人公がさらに強さを求めていって、回を重ねるごとに強くなる。いったい最終巻ではどんな強さにまで到達するんだ、それをどうやって表現するんだ――
 って思っていたら、

「テニスって楽しいじゃん」

これですよ。「最強」の境地は、逆張りの主人公を、ジャンプの王道主人公たちのスタート地点、あの「ちょっとしたポジティブさ」に立ち返らせることで実現されたわけです。
そう、リョーマは確かに天才だったけれど、スタートは他のジャンプ主人公と変わらなかったのです。ただ、それを物語の冒頭に見せなかっただけです。

この構成の大きな一捻りが、僕はとても好きです。彼が最終巻でテニスを楽しんでいるのを読むたびに、なんとも言い難い幸せがあります。そう、読んでいて楽しくなるのです。


え、新テニ? ……桜乃ちゃんの出番が増えてて好きです。ええ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?