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8【eight】 senses-拒絶反応の果てに-


僕たちがロボットになってから、
肌身離さず装着している知のデータ「オリナス」

特定の人間の記憶が内蔵され、
僕はある無名の男性の『知』を持ち合わせている。

僕は人間の年齢で言えば6歳だ。

6歳と言えばまだまだ子どもだが、
今生きている人類の中で最年長になる。

オリナスは、人類に叡智を与えたけれど、
その叡智によって悲劇がもたらされたのだ。



人間は生きる時間が長ければ長いほど脳に情報が蓄積される。

内臓移植もそうだけど、
異なる情報が体に侵入してくると拒絶反応を起こす。

まさにオリナスはその悲劇を起こしたのだ。

人類全てのロボット化に成功したけれど、7歳以上の年齢の人間は、
オリナスを装着した途端に脳が拒絶反応を起こし、
苦しみの中、みんな死んでいった。

僕の親もそうだった…。

未熟だから、脳に情報が蓄積していなかったから生き残った僕たちのことを
AGI(人工知能)たちはこう呼んだ。

『fumytoys』


AGIがなぜそう呼んだかは誰にも分からない。

AGIが出す答えは、いつも底知れない情報量の中から生み出される。

誰にもそのプロセスや意義を理解することはできない。

でも僕には人間が出す答えも同じだと思っている。
理解したつもりになっているだけだから、そのプロセスに興味もない。

これも僕に装着されたオリナスの影響かもしれない。


とにもかくにも僕たちは生き残った。

この荒れ果てた地の中で、食べ物も飲み物も必要のない体になって、
ただエネルギーを使えば生きることのできる体となった…。




7歳以上の人間がいなくなった世界。

全てのオリナスを僕たちだけでは使いきれない。

多くのオリナスがまだたくさん保管されている。

だからオリナスだけで作り出されたのがテクノロジー派のロボットだと
解釈している。
でもこれもどのようにAGIが考えたのかは誰にも分からない。

テクノロジー派fumytoys


僕たちは、テクノロジー派のfumytoysに知能で勝つことはできない。
でも僕たちは戦うこともなく、でも共存するでもない、
全く違う存在として地球に住んでいる。

戦争は最もコスパの悪い行為である

これは2026年に誰もが身を持って理解したことだ。


僕の記憶にはないけれど、オリナスに残された
2024年から2026年の2年間に起こったことを
少しずつ話していきたいと思う。

そして、AGIにも理解できない僕の霊能力について、そして仲間についても。


-続く-


未来、お金って存在するでしょうか。そのお金、自己投資に使ってみては?もしそれでもサポートしてくださった方は、本当に素晴らしい人間認定します。