0092-20180225【ビジネスパーソン必読の主要ニュース解説】
今週の振り返り、時事ポイントは以下のとおりです。
1.働き方改革法案 2.ロシアゲート疑惑 3.ミュンヘン安全保障会議 4.中東情勢 5.日本産水産物禁輸に対するWTO勧告
1.働き方改革法案
裁量労働制に関する厚生労働省の調査に不適切な点が見つかったことを受けて、野党が政府答弁や国会審議の進め方について、反発を強めています。
問題となった厚生労働省の「2013年度労働時間等総合実態調査」においては、裁量労働制で働く人の労働時間は1日平均9時間16分、一般労働者は9時間37分と報告されていました。
この報告に基づき、安倍総理も1月の衆議院予算委員会で調査結果を挙げて、裁量労働制拡大による労働時間削減効果を強調しました。
しかし、厚生労働省が調査結果を精査したところ、一般労働者と裁量労働制で働く人の労働時間に対して、異なる前提で集計していたことが判明します。
一般労働者には「1カ月で最も長く働いた日の残業時間」を質問していた一方、裁量労働制で働く人には単に「1日の労働時間」を質問していたと2月19日(月)に国会で報告がなされました。
加藤勝信厚生労働相は、同日の衆議院予算委員会で、本件について説明し、謝罪しました。
野党は裁量労働制の拡大を盛り込む「働き方改革関連法案」の提出を認めない方針で一致したため、政府が目指す2月下旬の法案提出がずれこむ可能性が出てきました。
なお、政府が法案を提出するうえで必要な自民党内の了承もまだ得ていません。
ただ、菅義偉官房長官は2月23日(金)午後の記者会見で「今国会での法案の提出、成立の方針に変わりはない。法案の具体的な内容や提出時期は与党(自民党・公明党)ともよく相談しながら対応していきたい」と語りました。
守勢に回った政府は、法案成立は今国会で目指すものの、裁量労働拡大の実施時期については当初予定よりも1年遅らせ、2020年4月にすることを検討し始めています。
生産性を高める働き方改革は安倍政権の経済政策の目玉。安倍総理は1月の施政方針演説で「働き方改革国会」への強い決意を示しているため、与党幹部は「裁量労働制の拡大を取り下げたら政権の敗北だ」と語っています。
一方で、与党幹部は「施行延期で収まるかは分からない」と懸念を強めています。
野党である民進党と希望の党は2月22日(木)、政府の働き方改革関連法案の対案の一つとして、職場のパワハラを防ぐために必要な措置を企業に義務付ける法案の概要をまとめ、今国会での提出を目指しています。
政府の働き方改革関連法案にはパワハラ防止の規定はありません。
政府法案の大幅修正、さらに提出の先送りに追い込まれるような事態に陥れば、今年9月の自民党総裁選における安倍総理の求心力低下に繋がりかねません。
安倍総理にとって厚労省を巡る問題には痛い過去があります。第1次政権時代の2007年には社会保険庁の年金記録問題が浮上し、国会で追及を受けました。
年金問題が争点のひとつになった同年の参院選で自民党は敗れ、その後安倍総理は退陣しています。
今後の安倍政権を占う上でも重要な要素となってきました。
2.ロシアゲート疑惑
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