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#0082【アダムの系図(キリスト教旧約聖書、創世記)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
今週は、旧約聖書の物語シリーズをお送りします。

【0057:最初の殺人】の続きです。<>内は旧約聖書からの引用を基に記述しています。

<最初の人間アダムの息子である兄カインが弟アベルを殺害し、カインはアダムの元を離れてしまいました。カインの子孫たちは都市を建設し都市住民となっていきます。

残されたアダムは再び妻を知り、セトと名付けられた子を授かりました。その名前の由来は、カインがアベルを殺したので、神が彼に代わる子を授け(シャト)られたからです。

以降アダムの系図・系譜は以下のように続きます。

アダム→セト→エノシュ→ケナン→マハラルエル→イエレド→エノク→メトシェラ→レメク→ノア

この系図に名前は記載されていませんが、直系以外にも息子や娘を授かったとの記述もあります。

アダムからレメクまでの各自が、嫡子を得たときの年齢は65歳~187歳までと幅があり、死亡時の年齢は900歳以上1,000歳未満と長寿を誇っていました。

淡々と嫡子を得た年齢と死んだ年齢が聖書に記述されていきますが、ノアが生まれたときだけ特別な記述があります。

父レメクが「主の呪いを受けた大地で働く我々の手の苦労を、この子は慰めてくれるであろう」と言って、その子をノア(慰め)と名付けました。ノアは500歳になったとき、セム、ハム、ヤフェトをもうけました。>

日本の日本書紀においても古代の天皇・人物たちの寿命は100歳を超えることがザラですが、旧約聖書においても皆さん900歳くらいまでと大変長生きされています。ここからが聖書の面白いところなのですが、長寿の結果として人口増加が進み、地上が人間で溢れてしまったと記載されています。ある意味、合理的というか寿命が長くなれば確かに人口爆発します。

この人口抑制のために神が使った手段が、人間の寿命の制限です。聖書では、神が人間の寿命を「120歳」までとしたと書かれています。

この「120歳」という数字は現在の遺伝子研究でも人間の寿命の限界値の基準として認識されている数字であり、聖書と現代科学は奇妙な一致をみせています。

この点をもって聖書は人間の手によるものではなく、神から根拠を受けて作られたものであると主張する人もいるようですが、私は過去の経験則から人間の寿命が120歳前後と気付いて記載されたのではないかと思っています。

しかし、この考えにも前提があります。正しくその人の年齢を知る手段が当時あったという前提です。

現代日本においては暦と戸籍が整備されており、生年月日はしっかりと管理されています。一方、現代の中央アジアやインドでは戸籍が整備されていない地域があります。戸籍が未整備であれば、年齢に関しての正確さに疑念が生じます。

聖書の記述が誰によるものかという議論は差し置いたとしても紀元前の時代に作られたことは確かですから、そのような過去において「120歳」という数字が出てきている事実については、検討、想像する価値のある一節だと思っています。

以上、本日の歴史小話でした!

(続き:No.083【ノアの箱舟(キリスト教旧約聖書、創世記)】)

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