見出し画像

現職教員がツテなし&経験なしで海外視察する方法

本記事は「現職教員」がタイトルですが、誰でもOKな視察もあります。

私の経歴
・海外のツテなし&興味なし
・英語ゼロで初海外
・現在まで7カ国、個人または組織に属して教育視察を経験

以下、いろいろ書いていますが、一番大事なのは、

「当たって砕ける勇気」

と私は思います。
準備せず、いきなり海外に行っても楽しいですよ。

以下、内容です。



JICA 教師海外研修


 原則、現職教員が対象です。
 各地域の「デスク」に問い合わせればよいです。
 大都市圏や特別なところは「JICA地球ひろば」「JICA関西」「JICA二本松」「JICA駒ヶ根」など、問い合わせ先が変わることもあるかもしれませんが、かならず繋いでくれます。

私はツテなしで、パンフレットをパッと読んで、知り合いゼロの状況で応募し、海外研修に参加しました。
 費用の多くをJICAさんが持ってくれます。
 厳密にはアテンドはありませんが、実際は、海外ゼロでもなんとかなります。
 帰国後には提案授業などをする必要がありますが、必ずなんとかなります。
 事前・事後研修が手厚いです。


JICA海外協力隊


 原則、誰でも応募できます。
 資格がなくてもOKな「職種」もあります。
 「受かりやすい方法」もあります。
 お住まいの地域のJICAデスクさんに電話・メールすれば一発です。
 おおよそ、JICAデスクの担当者の方は、海外協力隊の経験者であることが多いです。
 何でも親切に教えてくださることでしょう。

 私は応募したとき、「現職はTOEIC330点以上」とあり、その試験が何かさえわからず、とりあえず受けてみました。400点くらいで「やった!」と思ったら、自己採点の計算を間違えており、175点でした。ほぼ壊滅…。そこからめっちゃ対策して495点になりました。 (TOIECの過去問ばかりやりました。仕事終わってからリスニングを0時までやり、半分寝ふかけ)

協力隊は、現地の学校のウラ事情まで見られます。(学校に住むことも)



フルブライトのプログラム

私は使ったことがありません。
行こうとパンフレットを見たらコロナで中止になってしまいました。
 いろんなプログラムがあります。
 なお、博士課程もいけるプログラムもあったと記憶しています。
 教育以外のもあると思われます(調べていません)
 「フルブライト」で調べるとたくさん出てきます。



日本人学校


 私は勤務したことがありませんが、スリランカ日本人学校に訪問し、現地教員、現地雇用スタッフ、生徒と話したことがあります。
あとは、日本人学校勤務経験ある複数の方から話を聞いたり、関連する本を読んだりしました。
 以下、私が持っている情報です。

・日本人学校だけでなく、日本人補習校、みたいなのもある。
・日本の現職教員が応募できる。
・文科省? が、退職教員向けのシルバーの募集もしている。
・「海外子女教育~~」という団体さんがあったような…。

・日本人学校は、その国によって、規模が異なる。
・マンモス校のような学校もあれば、生徒数が数十人規模の日本人学校もある。(それぞれによさ)
・日本の教科書で、日本語。指導の内容も、学習指導要領。
・保護者の仕事(駐在さんなど)で転校してくる子どももいる。
・あえて日本人学校でなく、インターナショナルスクールに入学させる場合もある(詳細割愛)

・日本人学校や補習校には、「現地雇用スタッフ」もいる。
例えば音楽教員を予算によりフルタイムで雇えない場合、
現地の「歌の先生」をパートタイム的に雇用する場合もある。

・現職の日本の管理職も応募できる(都道府県によるかもしれない)




大学・大学院のプログラム

・大学の事務局(学務・教務・学生支援課等)が募集するプログラム
 →大学のパンフレットに載るような感じ。
 →大学に聞くと丁寧に教えてくれる

・必修単位、選択単位として設定されている
 (単位として履修するので、行く。)

・「ゼミ」で行く
 自分の師事する先生に同行する場合もあるが、
 別の先生に同行することができる場合もある。
 おおよそ、自分のゼミの先生と、受け入れてくれる先方ゼミの先生がOKならよい

・大学を通した留学
 大学は、海外の大学と姉妹校として提携している。
 交換留学など。
 短期、中期留学がある。
 大学によるが、おおむね、6ヶ月~2年。
 事前に英語の試験(TOEFLなど)が必要。
 現実、留学してから英語力がないとつらいかも。
最低、英検準1級のイメージ。
 でもそれで尻込みしていたら、永遠に行けないので、割り切って行く。

 当たって砕ける勇気が、未来を切り拓く。




日本の国内団体のプログラム


に応募する

・日本イエナプラン協会
  毎年9月頃(たぶん)に、オランダのイエナプラン校を訪問するプログラムがあります。
  私が参加したときは、スキポール空港集合・解散でした(アムステルダムまで自分で行く)
  →海外経験がなくても、スマホ契約だけあれば、
グーグルレンズやトランスレイターで翻訳できるので無問題。必ず行けます。当たって砕ける勇気が、未来を切り拓く。


・オンラインサロン
  以下の情報は、経験者から聞いた話です。私は行ったことがありません。
ネット上に、有料で入会するオンラインサロンがあります。(怪しいものではない)
  教育関係で、かつ、自分が興味を持つトピックのオンラインサロンに参加します。
  そこで海外視察の企画があることもあります。
  例えば、韓国の教育視察ツアーとか。



個人視察


※多分、一番ハードル高いです。ポイントは後述。
私の例

「フィンランドの学校を見てみたいなあ」
→ネット検索

VISITEDUFINN

こちらにお世話になりました。
メールでやりとりし、クレジットカードで事前振り込みです。
私の時はフィンランドの社長さんがパーフェクト対応してくれました。
全部英語です。
ホームページも、メールも、今の時代ならgoogle translatorやDeep Lが使えるので大丈夫です。
現地で通訳が必要なら、希望すれば、日本人の通訳をお願いできます。
(私は、とても優秀な通訳の方に助けていただきました)


マイスオミ株式会社


日本人と、現地スタッフがいる会社で、こちらにもお願いしました。
フィンランドとエストニアの学校を視察させてもらいました。
おそらくこの会社さんは、教育視察のみでなく、幅広い分野を扱っています。


その他
私はやったことがありませんが…

・Veltra


「ベルトラ フィンランド 教育視察」
などと検索。
(※どこの国でもOK)
現地に在住している個人を仲介・あっせんしてくれます。
その現地に住んでいる人に、学校の視察の手続きをしてもらったり、通訳してもらったりします。
(使ったことがある人に、お話を聞きました)


・ロコタビ


https://locotabi.jp/
個人で、視察の手続きやアテンドをしてくれる人が、このサイトに登録しています。
私は、Air BnBの観光版のイメージを持っています。
(使おうかなと思って、やめたので、実際はわかりません)

教育だけでなく、いろんな観光とかもできそうです。

・旅行会社


にお願いする(私の想像で書きます)
JTB、トップツアー、近畿ツーリストさんなど、大手の旅行会社に頼めば、多分紹介してくれます。


個人で海外の学校を視察するときのポイント

・語学が不安なら、通訳をつけましょう。
特に、英語以外の国なら、通訳をおすすめします。
自分が英語OKでも、訪問する先生が「英語、苦手なんだよな…」と心の中で思っていたら、突っ込んで質問できません。先方の先生が、現地語で、ラフに、気兼ねなく話してくれるために、通訳がいたらとてもいいです。

・お金
 個人視察は、結局お金です。
 通訳、いろんな手配は、お金でなんとかなります。
 どこまでお金を掛けるかです。(どこまで自分の努力・スキルでやるか)

・訪問校
 基本的に「いい学校」に案内されます。
 極端な話、治安の悪い地域の学校、授業が成立しない学校、暴力行為のある学校は案内されません。
 訪問校のバイアスがかかります。
 もし希望がある場合は「~~な学校を訪問したい」と言いましょう。

 SES(Socio Economic status 格差、教育格差)は、どの国にもあります。
 私は現地の先生や、通訳の方に
 「このあたりの家賃はいくら?」
 「どんな保護者の方?」
 「卒業後の進路は?」
 などと、参考程度に聞くようにしています。
 すると話題が発展し「修学旅行は海外」など驚きの事実がわかります。
 それをほかの学校と照合すると、
「ああ、あそこは、普通の公立校と行っていたが、エリート系の学校か」などと推測できます。
あくまで推測ですが…。



*****

海外の教育視察のポイント(組織で視察する時も含む)


視察の目的が明確か

「研究テーマがあるか」「絶対に知りたいことがあるか」

は重要です。
まあなくても、全体的にふんわりと知ることができます。
最初から明確な人の方が少ないかもしれません。

私は最初のころ、なんとなく、全体をフワッと視察するだけでした。
今では「もったいなかった」とも思います。
しかし! 実際に視察して失敗した経験もあるからこそ、こう思います。

 当たって砕ける勇気が、未来を切り拓く。


言語
・現地語でのやりとりがベストです。

・自分が「英語ちょっと不安」と思うように、
相手国・学校の先生も「英語はちょっと…」と思っています。
「外国人で、視察受け入れているから英語が話せるだろう」というのは先入観です。

・「旅の指さし会話帳」などで、「こんにちは」「ありがとう」くらいは現地語で。
(事前にその国を観光して、スーパーとかサウナの話をしたら喜んでくれました)
現地のおいしい食べ物の話は鉄板でしょう。


通訳(インタープレター)
・お願いした方が、モヤモヤが少なくてすみます。
・通訳のみの契約なら、アテンドは契約に入りません。
 しかし、通訳の方は現地在住で、毎日新聞、スマホ、TVで現地の情報に触れています。
 肌感覚の教育事情がわかります。

 通訳の方自身に、指導やボランティアの経験がある場合があります。
 学校を訪問しているときのマナーに困ったら、アドバイスをもらえます。

通訳の人に通訳してもらうときのポイント
・通訳してくれる人が日本人以外の場合は特に、
日常語で、シンプルに、明確に話しましょう。
質問する前に、長々と自分の意見を言うと、通訳の人が翻訳に困ります。
明確に、シンプルに。相手(通訳or先方の先生)が聞いてきたら、追加説明で十分。  (私の失敗経験でした)



お土産
・決して義務ではありませんが、多くの場合、相手の学校は、時間を割いてくれます。
 学校案内を担当してくれる先生の負担も大きいです。
・私は、ちょっとしたお土産として日本の飴、文具などを渡したこともあります。
 (特定のキャラクターがその国で流行していることもある)
・訪問校の先生が日本ファンで、日本に行ったことがある場合もあります。


自分の下調べをしっかりする

視察の前に、現地の教育について簡単にでも調べることをおすすめします。
・文科省ページ

(個人のYouTubeやブログも参考になりますが個別性も高い)

・OECDのデータなど

経済協力開発機構は、各国の教育データを集め(PISAなど)、政策提言まで行います。
専門家集団なので、ある程度の信頼性があります。
分厚い本がたくさんあります。

一例
PISAから見る、できる国・頑張る国2――未来志向の教育を目指す

ちなみに、PISA結果を見るときの注意点もいろいろあります(割愛)

また、次のような先行研究もあり、たいへん勉強になります。

https://berd.benesse.jp/feature/focus/11-OECD/pdf/FSaES_20150827.pdf

https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html



相手に、明確に、要求する

自分「写真を撮らせてほしい」
相手「ダメ」

これで諦めてはいけません。

自分「いや、この掲示物だけ」
相手「ダメ」
自分「いや、名前は撮らない」
自分「せめてこの誰もいない風景だけでも」

と言って、しっかり要求しましょう。
要求はごり押しではありません。悪いことではありません。

「おや?」と思ったら、とにかく突っ込む。
私はこれまで、観光も含めて20カ国程度の経験しかありませんが、
とにかく言葉にして、意図を確認します。

なお、

英語で聞くとき


は、

May I ask…
Could you please…
I’d like to know…
Would you mind…
Ah~~~~~ …Excuse me…

など、「丁寧っぽい表現」を使います。
なお、丁寧っぽい表現は、お互いの語学力が高くなくても、必ず伝わります。
仕草や表情も大事。

もしくは、

I’m just curious…
(私は、ただ興味があって聞きたいのですが…)
Just clarify..
(ただ、明確にしたくて、追加で質問するのだけれど…)

などと、ちょっとごまかしながら核心を聞くという荒技(?)もあります。

もしくは正当に、

My major is…
My theme of research is…

など、「自分の専門性やテーマと関係しているので、ぜひ教えてほしい」と前置きして質問すると、
現地の先生も、

「なんでこの日本人はこんなこと聞くの?」

といぶかしがることが少なくなるでしょう。

現地の先生から、たまに変化球で
「じゃあ、日本の教育はどうなの?」
みたいに聞かれます。

ウソは言えないので、
自分が、海外の教育について、どの程度見識があるかが問われます。

私は、日本の教育を海外の人に客観的に説明するのが苦手です。
なので、

・文科省が出しているデータ
・教育システム
・学年別、校種別の授業システム
・統計

などの客観っぽい情報を先に出して
「個人的には…」と前置きして説明するようにしています。

いろいろ書きましたが、
私自身は、こういう知識や情報を一切知りませんでした。
どうやって調べればいいのかもわかりませんでした。
本記事は純粋なシェアです。

いろいろ準備が大変そうなことを書きましたが、
一番大事なのは、

当たって砕ける勇気

と思います。

行けば、なんとかなります。
心配なら、クレジットカード付帯保険+αの保険に入れば、だいたいカバーされます。

ぜひたのしい視察を…。

(長い文章だった…)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?