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ゆめのきろく

絶対に手にしてはいけない何かを
少女はつい、手にしてしまった

その瞬間から 見ためは変わらないものの、
大きな力を手に入れた

その力で、頭にくる事がある度に
街のあらゆる所を破壊した

次第に力を抑えられなくなり
少女は自分の力が怖くなってきた頃、

人々は少女を恐れ、捕らえようと探し始めた

少女は身を隠した

けれど、このままでは見つかってしまう

少女は家族に別れを告げて 街を出た

何もない道をひたすら歩いた

道がなくなり途方にくれていると
小さなテントのような建物を見つけた

そこには1人の老婆が住んでいた

建物に近づくと、老婆は少女がくるのを
すでに知っていたかのように出迎えてくれた

少女は、元の普通の女の子に
戻る方法を知りたいと言った

でも、老婆は
「その力を一度手にしたら、もう二度と
元に戻る事はできない」と言った
 
少女は悲しんだ

街に戻りたいけれど、愛する家族まで
この力で傷つけてしまうかもしれない。
どうすればいいのか分からないと話していた

すると老婆は
「元には戻れないが 1つだけ、
ある方法がある」と言った

それは、さらに遠くまで歩くと
咲いている大きな花があり、
自分の物全てを捨てて
その花の中で一生を終えるというものだった

少女は考えるだけでも耐え難いと思った

けれど、これ以上人々を傷つけない為に
その花を探すことにした

老婆はその晩、泊まらせてくれた

翌朝

老婆にお別れを言うと、少女は歩き始めた

歩きながら、涙を流していた

どのくらい歩いたか分からない
のどが渇き、お腹がすいてきた頃

キラキラ光る大きなピンク色の花をみつけた

絶望的な感情を一瞬でも忘れられる程に
美しい花だった

少女は傍に自分のかばんを置くと
葉っぱや花びらの階段を登り
中をのぞいた

広い訳でもなく、思った通り何も無い

一生この中で過ごすと思うと、気がおかしく
なりそうだったが 愛する人々の顔を思い浮かべて
中に入ると花がとじた

少女は涙を流しほほえみながら、長い眠りについた

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