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甘苦い顔

どこか庶民的なレトロな喫茶店
お決まりの場所
キミはいつも同じウインナーコーヒー
甘いのが苦手な僕
アイスコーヒーをいつもブラックで

冷房も効きの悪い照りつけるあの日
暑い日もアイスは飲まないキミ
珍しく選んだアメリカンコーヒー
中途半端な苦味にけじめをつける
そんな話に合わせるかの様…

よりを戻すでもなくて
都合よく呼び出すのは
キミの方なのに苦い顔して
カップに口を付けてまた苦い顔
へたって角の落ちた四角をつまんで
ひとつ、ふたつ、みっつ…

二人の関係はもう曖昧で
僕の心もへたっていたんだ
新しい道を進むと決めた
中途半端な味わいを求めたのは
キミの方なのにその顔はナニ

僕はいつまでも甘く、甘く
ふわふわさせて居たかった
ウインナーコーヒーみたいに
中途半端は苦手なんだ

怒りながら席を立って
小銭をバシっと置くキミ
器の中のへたった四角は
コトっと音を立てて傾いた
曖昧に削れた僕らの様に…

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