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『うちの子は10秒もじっとできないのですが、何か良い方法がありますか?』

twitterのDMで保育や子育ての相談をいただくことがあります。「正解」を導き出せるわけでは無いのですが、少しでも不安の解消になるように何かのヒントになるようにと自分なりの視点をお伝えさせていただいています。


先日ご相談いただいた方から「いただいた文章が私だけで読ませてもらうのもったいないのでツイートに載せてみては…同じように悩んでいる方の支えになるのではないか」とそれこそもったいないお言葉をいただきました。個々でケースは違うので「答え」とはならないけれど、同じように悩んでいる方がいることを知るだけで勇気付けられるかもしれないし、ひとつの視点として何かのヒントになれば、誰かひとりでも助けになれたらと思い掲載します。

いつも前置きが長くてすみません。

『うちの子は10秒もじっとできないのですが、何か良い方法がありますか?』

『うちの子は10秒もじっとできないのですが、何か良い方法がありますか?』
私は4歳と6歳の男児の母です。
先日買い物に子供達を連れて行った時に叱りすぎてしまいました。
うちの子は元気過ぎて、とにかく動きたくて、どこに出かけても親の半径1m以内に居る事がほとんどありません。
数日前に遠足のオヤツを買いにスーパーに行きました。
いつもスーパーに行くと、自動ドアが開くと同時によーいどん!と走り出し、人や棚にぶつかったり、かくれんぼをしたり、迷子にもなり大泣きした事も何度もありました。
今回は遠足のオヤツを買うという目的があり、さすがに言うことを聞くかなと思い、スーパーに入る前にも何度も言い聞かせました。でもいつもと変わらず走り回り、ぶつかってしまった人にも睨まれてしまい怖い思いもしました。ずっと叱っていて恥ずかしい思いもしました。
『走らなかったら好きなオヤツ選んでもいいよ』という甘い言葉も、『走った分だけオヤツの数減らすよ』という厳しい言葉も効きませんでした。
走るな!と言った3秒後にはまた走り、結局買い物の20分の間に2人に10回ずつは注意したし、遠足にオヤツがないと困るので好きなオヤツを買ってしまいました。
ママと手を繋いで買い物をしている子供を見ると羨ましくなります。ただ単に買い物に興味がないだけなのかも知れないですが、買い物に限らず大人の用事に付いてくる事が出来ません。夫婦や友人と話しても解決策がみつからず、きしもと様にアドバイスを頂ければ嬉しいです。
叱る。物で釣る。以外に何か方法はないでしょうか?

(原文ほぼそのままです。前後に丁寧なご挨拶をくださっていますが省略しています。)


回答

(内容が伝わりやすいように原文ママです)

はじめまして、こんにちは。
メッセージありがとうございます。

少しでも支えになれていること嬉しいです。怒りすぎた、と落ち込むほどお子さんと向き合い自分とも向き合ってらっしゃるんですね、それだけで十分すごいことです。

4歳6歳の男児、じっとしていられないとのこと。元気いっぱいなんだろうなと想像します。叱るの大変だと思いますが、なにも恥ずかしい事ではないですよ。

僕には離れて暮らす来月6歳になる娘がいるんですが、これが元気すぎてスーパーでは走り回るし駐車場でもふざけようとするしで注意するしかありません。こないだなんかショッピングモールの真ん中で半ケツ出すし。楽しくて面白いと思ってやったんだろうけど、怒るしかなくて。「ああ、笑ってもらおうと思ってやったんだろうなあ」と思うと怒ってしまったことを悔いてしまいます。2週に1回しか会えないからなるべく笑顔で過ごしたいのについ怒りすぎるから娘からは「怒るから嫌い!」と言われる始末…悲しい(笑)ちなみに、ヘッダーの写真はペットショップでいなくなったと思ったらあられもない姿で見つかった時のものです。


怒りたくなくても怒っちゃいます。怒らないといけない時の方が多いです。怒りたくはないのに…。いつも怒りたくないのになあって反省します。

大変やんねえ、という話だけではせっかくご連絡いただいた意味がないので、僕なりの視点をまとめさせていただきますね。


「じっとできない」という悩みをどう解決したいのかを考えてみます。
①「じっとできるように」したいのか、②「怒ってしまう」ことがしんどいのか。(両方かもしれませんが、分けて考えてみますね)


①子どもが「じっとできるように」したい
この問題については残念ながら僕では解決できないですが(もう、そういう生き物だと思う)、見ておきたい視点はあります。

[じっとできないことで起こりうるデメリットと対策]
ランキングをつけると分かりやすいです。例えば

1位 事故がおきるかもしれない
絶対に起きてはいけないので「駐車場では」「道路では」とハメを外さない場所を決めて具体的に伝えます。絶対の絶対の絶対にダメ!頼む!と伝えておきます。

2位 トラブルになる
できれば避けてほしいことなので、「私の見えるところで遊んでね。頑張ってみてくれ」というくらいで伝えます。それでも楽しくてテンションが上がってしまうことが必ずあるので、その都度注意をするしかないかなあと思います。

3位 周りに迷惑をかける
声が大きかったり邪魔になったり、良くないけれどしょうがない事でもあるので、その都度「大きい声出さへんよー」と声をかける。10回でも100回でも声をかける。どうしようもないなら周りに謝る。


って感じで、重要度を分けます。
「走っちゃダメだし、商品を触り歩いてもダメだし、大きい声出してもダメだし」と色々言うと全く聞いてないので「危ないから走るのだけはダメ」とひとつだけ伝えてみます。「危ない=ダメ」「店内で走る=危ない」とわかるように。「ハシル…アブナイ…ダメ」と。

それでも走りますけどね。


②自分が「怒ってしまう」ことのしんどさ
子どもが「できること」を目標にしないようにします。
ーーー前述の通り、脅すなどの方法を使わない限りじっとはできないと思っています。
なので、できなくても自分を責めてはいけません。「危ないから怒った」「迷惑をかけるから注意した」で完結させるようにします。「今日も元気だったな、いっぱい怒ったな、大きな怪我がなくてよかったな」で花マル100点です。


[一番大切にしたい視点]
○子どもに「しんどさ」はあるか
その状況が「しんどくて」じっとしていられない、あるいは、じっとしていられない事で「しんどい」ことがあるかどうかを見ます。

お話いただいた内容だけの推測ですが、その「しんどさ」はないのかなあと思います。楽しくてエネルギッシュで2人合わさったら最強!になってるんだろうなと。怒ってしまう、と悩まれていますが、多少口うるさくても子どもたちの事を大切に丁寧に子育てしていらっしゃるのが伝わってきます。その愛情と安心感で、子どもは親から離れて冒険することができます。(愛着形成と心の安全基地)
4歳6歳の坊ちゃんたちは自分たちがちゃんと見守られていることを感じていて、安心して2人の世界を楽しめているんじゃないかなあと思います。怒られながらも、たまに迷子になったりして不安になりながらも。

とても真面目でいらっしゃるので「じっとできない子」が「できない子」と思われて心配かもしれませんが、じっとできることよりも大切な部分はちゃんと育っているので安心していいんじゃないかなあと思います。どうしても「いい子」を目標にしてしまいますが、正解なんてありません。
元気いっぱいの兄弟達はその子の個性で、手を繋いで買い物している子はその子の個性です。元気いっぱいエネルギッシュの子が「ちゃんとしな!」でちゃんとしたら、それはそれで「いい子すぎて」心配にもなります(羨ましいけれど)。

(あくまでも推測なので、もし本人達に「じっとするのがしんどくてどうしようもなく暴れる」のであればその環境を変えてあげなければいけないし、「じっとしたいのにできない」というような「しんどさ」があるのなら、それを解消するための支援が必要になってきます。)

『うちの子は10秒もじっとできないのですが、何か良い方法がありますか?』の答えになっていないので「結局怒り続けるしかないんかい!!」とガッカリされたかもしれませんが、少しでも前向きになるヒントにしてもらえたら幸いです。

-----おわり-----


返信の後、しばらくしてご感想をいただき、子どもたちとの様子を知らせてくださいました。

今日もランチに行ったり公園に行った時に、3回ぐらい叱る前に子供の意見を聞いてみたら、お互い納得して、叱らず笑顔でいることができました!この3回回避できたことがすごく大きく、子供が今日は楽しかった~と笑顔で寝付く姿を見て、愛情が深く感じられました。心の余裕が違いました。
いつも、『子供の事が好き=だから怒る』という決してイコールにならない計算式で悩んでいました。
今は子供と向き合い、子供の悪い所(個性)も受け止め、ついでに笑顔でいられる自分もちょっと好きになれそうです(笑)
ちょっと子供が親の顔色を伺うようになっていたので、親が笑顔でいることは大事ですね!

大切なことを僕の方が教えてもらいました。

これって、ぼくの回答が何かを与えたのではなく、この方がもともと持っていたものが、このタイミングでたまたま形になったんですよね。

保育でも子育て支援でも、何かを与えたり教えたりするのではなく、その人の本来持っている力を視点を変えることで見えるようにする役割でありたいなと改めて感じました。

誰かのなにかの支えになりますように。

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保育をしたり絵を描いたり文章を書いたりしています。自身の保育論の追求だけでなく、いまの保育業界を本気で根っこから変えられる仕組みを研究しています。