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ランチと商談

机に座って書類と睨めっこしながら
商談するよりも、食事をしながら話をする方が
意外とうまく行くこともある。

それは時に接待だったり
軽いランチだったりするのだが

今回はそのパターンではない。

自社ビルではなく、複数のオフィスが入居する
ビルの場合は贅沢にも共有フリースペースが
設けられている場合がある。

広いスペースに観葉植物、マッサージチェアに
エスプレッソマシン、変な形のソファー、
ファミレス風の向かい合わせ席、それぞれが思い想いの場所で寛いだり、食事をしたり、軽いミーティングをしたりできるようになっている。

空間がお洒落すぎて同僚は利用したがらない。
そこで昼を食べるなんて、もってのほか。らしい

厚顔無恥で自由に生きるセミナーの主催者(?)である吾輩は、無論そう言ったことは気にしないので、昼休みには存分に利用している。

私の他にここをランチで利用するのは
現在確認できているだけで5名。
別会社ゆえ話したこともないが、なかなかの猛者が揃っている。その無謀な勇者パーティーのことは、また別の機会に紹介することにして、表題の話に移ろう。

いつものように共有スペースでラララランチを楽しもうと、近くのベーカリーで購入した「謎のベーコンパンとオレンジピールのベーグルクリームチーズサンド」を手にドアを開ける。すると目に飛び込んできたのは、まじめにお仕事している団体様。

中央に「でーん」と構える楕円形をいくつか組み合わせたハイセンスデスクに、数名が集まり商談をしている。会話に使われている敬語と、向かい合う微妙な角度の席順を見るからに関係性はまだ浅い。

こんな中で食事したら悪いだろうか...?

否、なぜ食事する側が気を使わなければいけないのか!彼らから見える視線の先には、共用の会議室(空室)だってあるのに何故そこを使わないのか、何故このオシャレ空間で、そのこだわりが強すぎるヘンテコな机で打ち合わせするんじゃぁxァァァ!!

という気持ちがないわけではないが
お腹が空いたのでランチにすることにした。
いかに自由人である私でも、たった1人では成し得なかったかもしれない。そそくさと退散しなかったのにはワケがある。

たまたま同じタイミングで入室した、いつもの猛者たちが私の他に2名もいたからだ。彼女たちに勇気づけられたわけではないが、周りのことを意に介さずいつものルーティンの如くランチを始めたのだった。

情けないではないか。
男児たるもの云々....いや今そういう時代じゃねーし、女性のリーダーかっこいいし、ドラクエも3から女勇者選べたしー。

見習おう、あの堂々たる姿を!
たとえ打ち合わせ中でも、ズルズルとカップ麺(おそらく春雨ヌードル)を啜る姿を。たとえ打ち合わせ中でも、マッサージチェアを「ブィィィィン」と響かせる豪胆ぶりを。そしてリラグゼーションミュージックがうっすら流れているのに、気にせず宇多田ヒカルをスマホから流すスキルを!

ここまでくると気まずいのは我らではない。
昼時に堂々と中央で密談を交わす
謎の組織の方が気まずくなってくるのである。

彼らはついに商談を切り上げ
「今度は食事でも...」と
精一杯の嫌味を吐き出して去っていった。


マナーとはなんなのか
ビジネスとはどうあるべきか
人が持つ勇気の形とは
人生とは一体なんなのか



そんなことより
ベーグルが美味しかったので
リピート決定です。(平和)

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