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ビールライターから見た2020年ビールシーン、そしてこれから

年明けからまた忙しくエントリーを書く時間が取れなくなってしまい、ご無沙汰に。。。
今更感がすごいんだけど、ビールクズの目線から見た2020年のビールシーンの総括と、2021年の今後を占ってみたいと思う。


結論からいこう。

2020年のビールシーンを一言で表すと、

停滞、ただし希望はある

この一言に尽きるかと。

・ヘイジーIPAがいよいよ日本に定着してきて、どこの新参醸造所も一銘柄は置くようになった。
ひと頃と違いレベルも供給も安定してきて、海外のより安んだからそちらを飲む人が増えるのは頷ける。
しかしヘイジー系は上陸してからはもう数年経っており、別段2020年を代表するトピックにはならない。

・その前にはブリュットIPA、セッションIPAのように毎年新しいスタイルが泡のように生まれては開発されていたが、それがなかった。

・とにかく新型コロナウィルス。これの影響に尽きる。

・廃業になった店も多い。その部分だけを切り取ると停滞どころか衰退としなければいけないが、悪いことばかりでもなかった。
突然出荷が減ったため余ったビールは廃棄寸前となったが、木内酒造などにより一部のビールはジンに加工された。
名前が最高にカッコ良かったね。

SAVE BEER SPIRITS

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・廃棄寸前ビールのうち、ビン、缶詰め技術がある醸造所はそちらでしのぐも、樽が中心の醸造所、インポーターは大苦戦。
各社知恵を絞り、限定品をビン詰めして格安で売り出す、グッズ大放出など様々なアイディアが生まれる。
その中で最も大きなムーヴメントがONE AND ONLYプロジェクト
ALL TOGETHERプロジェクトだろう。
かなり早い段階で大手が動いたのは感動を覚えた。
レシピを共有できる、というのはクラフトビールならではの強み。
素敵なアイディアで個人的にも大々的に支持したが、冷静に見ればこれらは世界規模のコラボとクラウドファンディングとなんら変わらず、抜本的なものではなかった。
(※誤解のないように補足しますが、もちろん一部購入し美味しく飲ませていただきました)

・条件付き酒販免許配布により持ち帰りも推進。個人店も勉強する機会となった。

・海外にも目を向けてみよう。イタリア?
「俺たちはやっぱりグレープエールだぜ!」
さすがイタリアブレない。


…と今現在も尾を引いているけれどざっくりこんなところか。
目新しさは見られなかった代わりに、
▲小ロットのビールと家飲みと通販が珍重される
▲小規模醸造所に缶詰ノウハウが急速に導入される
▲グラウラーの普及やや進む
▲サブスク、レンタルサーバービジネスも広まる
といった、ビール自体というよりはビールにまつわるビジネスサイドの形の変革が進んだのは印象深かった。
ただしこれらの需要のほとんどはコロナの影響による一時的なものであることは間違い無いので、どこまでが今後も残るかと考えると2020年を代表する動きとまでは言い切れないと判断。


2020年自分の個人的なトピック

マクロからミクロの視点。蛇足だが自分の身に起こったビール関連の事柄から2020年を振り返る。

・ベアード工場見学。暑かったが行って良かった。オンライン○○が進み工場見学も家で見れるようになったことを結びつけると、
工場見学にはもっと大きな可能性を感じる。

・上記にもあるがオンラインミーティングで識者から現場の生きた情報が聞けた。結構驚いたのは、若い層はオンラインに抵抗が少なく参加率がとても高いこと。
皆発言するわけでは無いがスケジュールを合わせていることを鑑みると、クラフトビール好きは専門家と繋がりたいというインサイトはあるのかなーなどと思った。

・今までinstagram一辺倒だった自分のビールSNSの使い方に確変が起こる。
twitterにてクラフトビール仲間と繋がるという新しい遊びを覚える。
一番衝撃だったのが、クリスマスビールの交換会。

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一応匿名であるアカウント同士が繋がり、くじ引きで送り合う相手をランダムに決め、本物のクリスマスプレゼント交換会よろしくまさに交換し合い、
オンライン飲みで皆で開栓するという企画があり、
自分も参加できた。
こんなに手軽に趣味で繋がれるのか、と現代のスピード感には軽い目眩を覚えた。
中にはガチの業界の人がいたり、自分でビール動画を作ったりと様々な活動をされている人が集まっており、ここまでポテンシャルがあるフィールドとだとは気づかなかった自分を恥じた。
意見交換しやすい風通しの良さはSNS1だろう。

・ビアスタイルガイドライン刷新。ゆずビールの台頭。

・イラストレーターのイソガイヒトヒサさんによるIllust kanpai fesは画期的なアイディアだった。ちゃっかり描いてもらったw

https://www.instagram.com/illust.kanpai.fes/

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2021年はどうなる?

最後に現在把握している中で2021年のビールシーンに変革をもたらしそうなトピックを羅列。

・宇宙ブルーイングが醸造規模拡大
うちゅう戦争は今後なくなる?

・HOPPIN'GARAGEでビールお姉さんが提案していたチョコミントビールがついに商品化される

バレンタインだしね。チョコミントってありそうで意外と無いからモデルスタイルにならないかなと。前にサンクトガーレンが作ってたくらいしか飲んだことない。

・ワンウェイケグ、環境、サステナビリティ
どことは言わないが、ステンレス製のケグを捨てられるワンウェイケグに切り替える提案の営業も盛り上がって来ている。
ステンレスの場合、戦場に使う水の量が多いのでいっそ捨てた方が環境に良いという指摘は以前からされており、ベルギーやアメリカでは主流になってきているようだ。

・国税庁オンライン飲み

なんと言っても最大のビッグイベントはこれでしょう。
国がクラフトビールのオンラインイベントを先導するなんて時代が来るとは…
ただ宣伝が弱いのか枠がかなり偏って余ってるという話も聞く。
まだ間に合うので皆様もぜひ!

・JAPAN BREWERS CUPとサブスクサービス「オトモニ」のテイスティングコラボセット発売

クラフトビール定期便サービス「Otomoni(オトモニ)」と中止になったビール品評会イベント「JAPAN BREWERS...

Posted by 株式会社 横浜ビール on Wednesday, January 20, 2021

つまり家で審査員気分が味わえるというわけである。これもウィンウィンな素晴らしいアイディア。

・いつ来るのか?コンブチャとセルツァー
結局まだまだクラフトビールの店にひっそり置いてある程度の扱われ方しか日本ではされていないが、健康志向の高まりで2021年こそブームが来る?


とにかくウィルスが鎮静化されればSNOW MONKEYやけやきも復活するはずなので耐えるしかないわけだが、
その中でも人々の希望は潰えておらず、醸造所の新規オープンは絶えないことに驚きを隠せない。
目線を変えることにより新しい活動の広まり方も見せた2020年を活かし、
笑顔で再び乾杯できる日を願う。

ビールと音楽とクリエイティブを中心に少し突っ込んだことをまとめるように心がけています。 サポートしていただけると心の励みになります。