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ビールの審査会に行った話

JAPAN GREAT BEER AWARDS 2024というものがある。
(以下JGBA)
日本にはビールの審査会がいくつかあるが、これはCraft Beer Association(別名:日本地ビール協会、以下CBA)が運営する審査会。
ビールの審査員はブルワー、またはCBAが認定したビアジャッジという資格保有者のみが参加できる。
ざっと説明するが、ビアジャッジの試験は一般の人でも受けられる。
一般の知名度は高いわけではないが、官能実技で一定以上のスコアが求められるので、ビールの資格系の中でもテクニカルな方ではないだろうか。

自分は3年連続3回目の参加。


さっくり概要

ビールの審査会は様々なアプローチがあるが、
JGBAはビールの銘柄がわからないブラインドテイスティング方式
それを審査員が数人のチームでテイスティングし、
各スタイルの定義を定めた「ビアスタイルガイドライン」に則ったビールかどうかをディスカッション。そのビールの評価を提出する。
各ビールは他のビールとの評価には関連がなく、一本一本絶対評価がされる(相対評価で有名な審査は対の存在のような世界大会「International Beer Cup」、以下IBCがある)
当然だが、このビールの審査によってブルワーの生活を一変させる可能性があるため、責任は重く、内容は守秘義務があるためこれ以上はあまり多くは語れない。
とはいえ、審査会には緊張感があるが殺伐としているわけではなく、
わざわざ時間を割いて参加する「ビールが好きな」者たちばかりなせいか、和やかな雰囲気もある。
審査により金賞、銀賞、銅賞、入賞無しが各ビールに認定される。
そしてその結果発表は既に行われているので、その★解説をしよう。

2024年度受賞結果を読み解く

公式ページにて公開中。

見にくいので金賞だけを以下に抜粋。名称も通名をメインにした。
太字は個人的に注目ビール。
羅列なのでCtrl+Fで文字列検索をかけて探したいブルワリーを探すのが吉!

Photo by CBA
ビールをサービングしてくださるスチュワードの皆さま Photo by CBA

金賞抜粋

ボトル・缶 2.フルーツビール
・宮崎 宮崎ひでじビール/Aromatic ORANGE ALE
・愛媛 gogoshima beer farm/IyokanIPA
★2022年に開業したばかり、自分が投稿した「2024年伸びそうなブルワリー」でも言及した「離島セゾンタイプ」のブルワリーのうちの一つ。セゾンに地元の農園の伊予柑を合わせた。
・⻑野 Ogna(南信州ビール)/YAMASO HOP、NAIAGARA HOP
★説明不要の老舗だが、昨年リブランディングで名称がOgnaに変わったが、変わらず賞を獲り続けているのはとてつもない。
ヘイジーのような新しいスタイルは技術の革新が頻繁に起こるが、シャインマスカットのようなよほどの新品種がない限り、フルーツビールは比較的変化が穏やか。
地元で豊かな産業があるブルワリーが絶えず強い。
・東京 ⿂⾦醸造/Tipsy
★魚金グループは株式会社魚金が運営する居酒屋だが、近年ブルワリー業態に参入していたのをご存知だろうか。渋谷の魚金が魚金醸造という名称でオリジナルビールを卸している。
去年醸造長が独立のために離職したが金賞。どちらの今後も気になる。

ボトル・缶 3.柚子ビール
・島根 ビアへるん/ゆずフレッシュ2024
・山梨 Nori's Beer/YUZU ALE
・東京 NAMACHAんBrewing/なまちゃんのゆずこしょうさわー
・宮崎 ⻘空エール/⻩柚子エール

ボトル・缶 4.フルーツ・ウィートビール
・東京スプリングバレーブルワリー/JAZZBERRY

ボトル・缶 6.フィールドビール
・岐阜 ヒダノオクブルワリー/トマトティーエール
★フィールドビールというのはざっくり言うと野菜を使ったビールのこと。
飛騨の古川で2021年創業とこちらも比較的新星ブルワリーだ。
トマトのお茶を使ってるのも珍しいがほおずきエールでも銀賞を獲得している。

ボトル・缶 8.ハーブおよびスパイスビール
・和歌⼭ 和歌山ブルワリー /AGARA CRAFT ⼭椒エール、AGARA CRAFT 桜エール

ボトル・缶 9.緑茶ビール
・愛知 盛⽥⾦しゃちビール/⾦しゃちビール ⾦しゃち抹茶ドラフト

ボトル・缶 10.その他のティービール
・岐阜 農LAND BEER/ほうじ茶アンバー

ボトル・缶 13.コーヒービール
・愛知  ŌZONE BREWPUB/大曽根ビール アッチャモイ

ボトル・缶 20.⻑期熟成ビール
・群馬 夢⻨酒太⽥/CHROA HACK

ボトル・缶 34.木片および木樽熟成サワービール
・鹿児島 桷志⽥ブルワリー/バレルエイジド・サワースタウト3プラス
★「黒酢といえば桷志田(かくいだ)福山黒酢株式会社」をコピーとする、黒酢の会社のビール部門。初耳だと想像がつきにくいかもしれないが、黒酢のノウハウを活かし、ジョージアワインや乳酸発酵サワーなど多種多様なアルコール開発が活発な企業だ。
熟成系で何度か受賞歴がある。

ボトル・缶 40-B.その他のホッピーラガー
・青森 Be Easy Brewing/Aomori Lager
・福岡 FUKUOKA CRAFT/Niwaka Dry-hopped Lager

ボトル・缶 41.バルチックスタイル・ポーター
・滋賀 HINOBREWING/ししまいポーター

ボトル・缶 43.ボヘミアスタイル・ピルスナー
・愛知 盛⽥⾦しゃちビール/ミツボシビール ピルスナー

ボトル・缶 55-C.アメリカンスタイル・メルツェン/オクトーバーフェスト
・東京 スプリングバレーブルワリー/スプリングバレー 豊潤<496>

ボトル・缶 73-E.ベルジャンスタイル・ストロング・ダークエール
・東京 26K Brewery/Winter Ale

ボトル・缶 80.イングリッシュスタイル・インディア・ペールエール
・東京 ⿂⾦醸造/⻨⾬(ばくう)

ボトル・缶 81.イングリッシュスタイル・ブラウンエール
・岐阜 River Port Brewery/美濃橋ブラウンエール

ボトル・缶 82.ブラウン・ポーター
・大阪 岸和⽥ビール/⿊鐡
・岩手 ヘリオス酒造株式会社/銀河鉄道999⾞掌さんの⿊ビール
★「ヘリオス」と聞くと沖縄のビールという認識が多いかもしれない。岩手工場ができてから、さらに様々なビール開発に勤しんでいる。
このビールのすごいところは、スーパーやコンビニでも探せば手に入るレベルで流通していることだ。
「審査会金賞の実力が町で安価で買える」というのは非常に有り難いこと。
しかもケグの鮮度ではなく缶での受賞なので相当安心して購入することができる。
ブラウンポーターは度数低めで穏やかな黒ビール。銀河鉄道999コラボでポップだからと偏見を持たず、一度試してみてほしい。

ボトル・缶 95.アメリカンスタイル・ペールエール
・福岡 あおぞらブルワリー博多店屋町/TENYA PALE ALE
★2024年に注目しているブルワリーのひとつだったので、誕生日イベントの際につながせてもらったが、
まさかペールエールで、しかも金賞を撮るとは。
22年7月にオープンしたばかりだが、既にInternational Beer Cup(以下IBC)でも他ビールの金賞あり。
近所のあすなろブルワリーのサポートを受け立ち上げたマイクロで、規模も本当に小規模なので福岡近隣以外にはまだ販路を確立されてないらしい。見かけたらレア!
セッションIPA、アメリカン-ベルゴスタイル・エールでも同時入賞と破竹の勢い。

IPA ボトル・缶 99.アメリカンスタイル・インディア・ペールエール
・新潟 吉乃川株式会社/摂⽥屋クラフト 

IPA ボトル・缶 100.ジューシーまたはヘイジー・インディア・ペールエール
・東京 Tokyo Aleworks/代々木 Lazy Hazy
★野球に例えるなら4番バッター。強豪ひしめく今一番旬だし出品数も多いカテゴリーを制したのがこのブルワリーというのはとても感慨深かった。
なんせTAWのビールはホップ爆弾やトロットロフルーツ〜のような派手なものは作らない代わり、手に届く範囲の価格設定になっているスタンスだったからだ。
しかも限定ビールではなくこちらは定番品。
少しずつホップフォワードから日本も移行し始めているのかあるいは…
東京近郊に絞られてしまうが、比較的手に入りやすいのが嬉しい。実飲して確認しよう。

レッドエール ボトル・缶 104.アメリカンスタイル・アンバー/レッドエール
・岡崎 岡崎ビール/レッドエール

ボトル・缶 110.フリースタイル・ダークラガー
・愛知 盛⽥⾦しゃちビール/⾦しゃち名古屋⾚味噌ラガー
★一度お試しあれ。最近ビールに興味を持った方のために取り上げると、
これは名古屋らしく赤味噌を使った超変化球ビール。
後にも先にも赤味噌ビールはこれしか知らないが、
よくこれほど自然に味噌のニュアンスをビールに乗せられたなぁといつも溜息が出る、日本オリジンの重要なビール。
色物だと思って試さないと損するほど長きに亘り様々な受賞歴を誇る。

ボトル・缶 111.フリースタイル・ライトエール
・長野 安曇野ブルワリー/爽風セゾン
・東京 サッポロビール/SORACHI 1984

ボトル・缶 112.フリースタイル・ダークエール
・埼玉 本庄銀座ブルワリー/DOLCE
★アップサイクル商品を展開するアサヒユウアスによるCACAOMOIプロジェクトにて、カカオハスク(カカオ豆の外皮)を使用したシリーズのひとつ。

ケグ 1-C.酵⺟入りライトアメリカン・ウィートビール
・東京 スプリングバレーブルワリー/スプリングバレー シルクエール<白>

ケグ 3.柚子ビール
・大分 三和酒類株式会社 辛島 虚空乃蔵/ KOKU NO CRAFT No.2 柚子エール
★三和酒類株式会社とは聞き慣れないと思うが、いいちこの会社。
実はこのビール、過去にもIBC2022でも金賞を獲得している。
当時初耳の会社名だったので調べ倒していたことを思い出したが、
現地でしかほぼ手に入らないことがわかったため潔く諦めていた。
今現在はオンラインショップがあり通年販売中。
他のビールもあるので興味がある方はぜひ↓

ケグ 5.ベルジャンスタイル・フルーツビール
・大分 別府ブルワリー/Kabosu Saison
・茨城 牛久醸造場/Beyond the border
★牛久シャトー解体のニュースはまだ傷が浅い気持ちもあるが、その社員だった角井氏が立ち上げたのが牛久醸造場。
ワインも手掛けるノウハウを活かし、ビールとワインを自由自在に行き来する発想のビールが面白い。
Beyond the borderは今の集大成とも言える銘柄で、品があり定番品ながらシャルドネベース且つレシピを変え続けている、まさにクラフトマインドな逸品。
HPの更新頻度が高くないのでインスタでチェックするのがベターだが、垣根をどんどん超えていってほしい。

ケグ 13.コーヒービール
・愛知 KARIYA75BREWING/75式ベルジャンブラウンコーヒーエール
・長野 北アルプスブルワリー/Coffee PUNCH
★激戦区長野でも他が有名すぎるのでやや新人扱いされる北アルプスブルワリー。このビールは毎年何かの賞の入賞を聞く銘柄。
IPAなど他にも銘柄がありふるさと納税で購入したことがあるが、たしかにこのビールが一番印象に残った。
ラベルのインパクトも強い。

ケグ 23.フレッシュ・ホップ・ビール
・東京 スプリングバレーブルワリー /スプリングバレーブルワリー YOSANO IPA
★ビールで「与謝野」と名前がつくものはほとんどが近年藤原ヒロユキが栽培に着手し始めた、「京都与謝野産」のホップのことを指す。
ブルワリーが増えているということはサプライヤーの需要も高まること意味しているので、先を見越してのアクションである。

ケグ 24-A.ヒストリカル・ビール
・東京 KUNITACHI BREWERY/Grain Drop
★国立でこれまで北欧のロウエールというマイナーで繊細なスタイルを発信し続けオンリーワンの存在となったくにぶる。
その醸造長である斯波氏の電撃退職が先日あったが、外部のブルワーとして今後も携わっていくという特殊な形式を取るという。
しかし大丈夫。経験豊富な小針氏がブルワーとして残っているから。
さて、このビールは「コーンオール」というスタイルだそうだ。
なんだろうネ。

ケグ 39.その他のインターナショナルスタイル・ラガー
・東京 Kunisawabrewing 新橋醸造所/新橋クラシックラガー 
★新橋徒歩圏内のArts&Crafts Kawachiyaという建物内にある、事実上ブルーパブ2Fの定番ピルスナーだ。
建物内のメカ自体も見どころが多いが実際に見て触れてもらうのが一番。
肝心のビールは、さすが新橋サラリーマンの町というのを押さえた純度。
クリアで五臓六腑のひだに吸収される様は、僕もラガーをまた見直すきっかけになったほどの出来。

ケグ 47-A.ジャーマンスタイル・メルツェン
・東京 石川酒造/ TOYODA BEER
★多摩エリア最古のビールを復活させよう!というのがこのTOYODA BEER PROJECTの取り組み。
文字面から類推するとレシピが残っていたわけではなさそうなので、1886年に作られていたビールを再現するのは大変そうだが、時代背景から濃色ラガーであるはずだと思い至ったのであろう。
大きな審査会でほぼ毎年レベルで入賞しているのでスタイルが見事に合致したということだ。
日野など多摩エリアでは比較的入手が楽なので、通りがかった際には手土産にぜひ。

49.ジャーマンスタイル・シュヴァルツビア
・千葉 ハーヴェスト・ムーン ブルワリー/シュバルツ 
★古くから様々な世界大会で金賞を獲得してきているし、去年も獲得している「なお現役最高峰のシュバルツ」
過去すごかった、という存在ではなく現在進行系で説明不要の名作なのだが、黒が苦手な人はぜひ。特に黒では出がちな酸味がどうなっているか注目してみてほしい。

ケグ 50-A.トラディショナル・ジャーマンスタイル・ボック
・三重 ⻑島ビール園/⻑島地ビール ボック
★SNSが盛んでないので最新情報がチェックしにくいのが難点だが、このブルワリーは去年のIBCにてウィートラガーも金賞を獲っている実力派。
ナガシマスパーランドの会社のビール部門である。

ケグ 57.インターナショナルスタイル・ペールエール
・東京 スプリングバレーブルワリー/スプリングバレー JAPAN ALE<香>

63.南ドイツスタイル・ヘーフェヴァイツェン
・島根 ビアへるん醸造所/ヴァイツェン
★白で困ったらこれを飲め。
日本を代表するヴァイツェン。老舗の看板が今でも現役に古典カテゴリーで受賞していることに畏れの念を抱く。
最近では浦和U.B.P Breweryにヴァイツェンの監修をしていたりして、オープンマインドであることにも頭が下がる。 

63.南ドイツスタイル・ヘーフェヴァイツェン
・新潟 月岡ブルワリー/月岡ヴァイツェンナチュラル 

ケグ 66.クラシック・セゾン
・愛媛 臥龍醸造/臥龍セゾン

ケグ 72.ベルジャンスタイル・アビイエール
・大阪 船場ビール/ベルジャンブラウン

ケグ 95.アメリカンスタイル・ペールエール
・沖縄 AGARIHAMA BREWERY/SUNRISE PALE ALE

ケグ 98.ジューシーまたはヘイジー・ストロング・ペールエール
・東京 スプリングバレーブルワリー/スプリングバレー Juicy Hop

ケグ 99.アメリカンスタイル・インディア・ペールエール
・神奈川 TDM 1874 Brewery/IPA #10

ケグ 101.エマージング・インディア・ペールエール
・富山 NAT.BREW/KUMA MASSIGURA
★干し柿を使ったヘイジーIPA。聞いただけで気になる。
ヘイジーIPAに副原料を使った場合はこのカテゴリーに入れられることが多いが、傾向的に激戦区なので素晴らしい。

部屋に微弱な甘い香りが

追記:このビールはすぐに入手できたのでテイスティングしてみた。
柿は強くはないが主に戻り香に独特の芳香を感じ、興味深くいただけた。
そもそもベースのヘイジー自体がソツがないので、柿抜きでもおいしい。
木樽をゲットしたそうで今後は熟成スタイルの展開の構想もあるそう。
期待が高まる。


ケグ 110.フリースタイル・ダークラガー
・東京 スプリングバレーブルワリー/スプリングバレー Afterdark
★フリースタイルとは既存のスタイルに当てはまらない(挑戦的な)ビールの出品をするのに向いたカテゴリーなのだが、個人的にビアジャーナリストのほうの投稿で取り上げたので納得の一品。
味からは想像できないがエールのミルクスタウトではなく、乳糖&ラガーの珍しいビールなのでその円やかさからは想像ができない、実は意欲的な商品。

ケグ 111.フリースタイル・ライトエール
・長野 ⻑野みなみ風ビール/信州そば Countryside
★そば茶のビール。そば茶?!
実は日本にはそばを使ったビールが結構ある。

ケグ 116.フリースタイル・ハイアルコール・ダークエール
・高知 SOUTH HORIZON BREWING/Blank Log Book
★高知で去年の暮れに醸造開始した大型ブルワリー。とはいえ醸造長の中村氏は経験豊富なので、後は良いビールとの巡り合いだけだと内心思っていたが、まさかこんなに早く金賞獲得の知らせが届くとは。
こちらはバニラ、ラクトース(乳糖)、黒糖を使用した10.5%の禁断のデザートビールで、HPにてレシピも公開されているのでぜひそのスペックをご覧いただきたい。


金賞を振り返って

さて金賞の抜粋を見て皆さまいくつか頭を駆け巡ったことがあると思うが…

①とにかく、スプリングバレーの受賞数が多い!!!

まずはこの話題を避けては通れないだろう。
スプリングバレーは代官山工場ができたときは、一応キリン本社製品とは別のブランドの体として製造されていたが、再び子会社を吸収して缶を発表し始めている…というのは記憶にも新しい。
その先入観が強かったせいか、世間のクラフト好きからは顰蹙を買った形だが、確かに色眼鏡なしで品質を確かめるのは難しかったと思う。
自分もこういう機会でもないとバイアスなしで飲むことは出来ない気がする。
しかしそこは大手。元々技術力、品質管理に長けていたので商品のレベルは高く、適切なカテゴリーに出品すればこの結果である。
つまり、スプリングバレーは経営戦略を間違えたのである。
国民的タレントを起用しコストが膨らんだので小ヒット程度では許されないのに、想定以上の売上を上げることが出来なかった。
ので、

人事異動でヘルスサイエンス事業に注力するという。
今後スプリングバレー商品も縮小の方向になるとしたら、今のうちに舌に刻んでおきたい思いに駆られる。
非常にもったいないと、正直に思う。

②世代交代

きた産業が先日発表した現在の国産ブルワリーは805箇所で、一年で128箇所も増えている(年々上昇率もアップ)ので、
この業界の参入の多さは何となくお分かりいただけると思うが、
ビアへるん、ハーヴェスト・ムーン、金しゃちなど黎明期からシーンを支えてきたブルワリーの看板商品が相変わらず名を連ねている一方、名前を聞かなくなった(出品していない可能性もあるが出品しなくなるのにも理由はあるだろう)ブルワリーの方が数多く、
「最近よく聞くあのブルワリーは受賞してないんですか?」という当然の疑問もある。し、
金賞を受賞したブルワリーのほとんどは「聞き慣れない地方の新参ブルワリー」という印象を持った方も多いのではなかろうか。
ターンオーバーが早まっている。
JGBAは絶対評価をするという性質上、知名度がない新しいブルワリーにとって名前を売る格好のステージなので出品しやすい。
はなからゴールをここでの受賞に設定していないブルワリーは出品の必要性がなかった(出品期限に間に合わなった可能性も多分にある)のかもしれない。
「国産でクラシックなスタイルとして参考にできるビール」自体も年々世代交代が始まっていると僕は見ている。
翻って、ogna(南信州ビール)はすごい。
ブランド名とパッケージを変えて古臭いイメージからの脱皮を図った。
ベテランがけやきに出なくなり始めている中(紅白歌合戦と同じ現象だと思えばわかりやすい)、けやきには未だに連続出店しており、品質を保っている。
この姿勢にベテラン勢は学ぶべきポイントがあるように思う。

銀と銅、注目したいビール

県別で考え直す。
東京はブルワリーの数が多いのとスプリングバレーを含むので、割合で鑑みると北海道のブルワリーが比較的多い。
・帯広ビール
・NAKAFURANO BREWERY
・大沼ビール
・Ozigi Brewing
・TRANS BREWING
・網走ビール
・TAISETSU BEER
・月と太陽BREWING
ベテランも新参も混ざっており、購入できる環境にある方からは嬉しい悲鳴が聞こえてくるようだ。

スタイル別に考え直す。
IPAは派生系含め人気なので出品分母が多く、入賞ビールが多いのは自然なのだが、次いでアメリカンペールエール、ゴールデンエール、フルーツビール、ハーブビール、フリースタイル〇〇などが多いことに気づく。
これは面白い傾向と見ることが出来る。
IPAは売れ筋商品になるので各社何種類か作るわけだが、故に乱戦状態になりがち。個性も出しにくい。
そこで、地元のものを使うプランにほぼ皆移行する。
フルーツとハーブだ。
旅行先で気になるブルワリーに出会ったら、IPA、フルーツ、ハーブのビールなどから攻めてみるとひょっとしたら良いものに出会えるかもしれない。

最後にブルワリー別に考え直す。

複数銘柄受賞(抜粋)
・ハーヴェスト・ムーン
・Nori's beer
・TRANS BREWING
・Derailleur Brew Works
・NAMACHAんBrewing
・ならしのクラフトビール むぎのいえ
・JouZo BEER BASE
・別府ブルワリー
ひとえにすごい。

2024年伸びそうと選出したブルワリーがいくつかランクイン。
・Brewstars Yacht Club
・gogoshima beer farm
・久福ブルーイング本島
・HORSEHEAD LABS
・糸島ハロークラフト
・SOUTH HORIZON BREWING
・GRANDLINE BREWING

終わりにしっかり自分の番宣というか自慢というか素敵なお話をお一つ。

去年の夏頃HORSEHEAD LABSさんから直々にオファーを拝受し、官能チェックアドバイスのお仕事に行ったことはSNSで報告していたが、
その際恐縮しつつ、あるビールの品質改善のために酵母変更の提言をさせていただいた。
後日仕様変更後のサンプルのチェックもさせていただき、その品質向上力、改善スピードの早さと柔軟な対応力には驚かされたことは上記の伸びそうなブルワリーでも言及した。
そのビールが…

なんと今回のJGBAで見事銀賞を獲得!

これは嬉しい!!
ということが裏であったのだった。
自信にも繋がるし、さすがHORSEHEAD LABSさん、という喜びもあり。
一層気を引き締めて勉強を続ける所存。
というわけで他のブルワリーさんからもお待ちしてます!w

さて、そんなこんなでもっと書きたいこともあるのだが1万字を超えるのはさすがに長いので今回はここまで。
ご清聴有り難うございました。

ビールと音楽とクリエイティブを中心に少し突っ込んだことをまとめるように心がけています。 サポートしていただけると心の励みになります。