【1$とカタチ】その1「旗」

(1$WONDERLANDのブランド概要についてはコチラ。)


はじめまして、造形作家の長野光宏です。書き物という不慣れな舞台ですが、僕は広義での「カタチ」に関する駄文を垂れ流そうと思う。

とは言ってもネタが無い。

ネタが無いので手元にある1ドル紙幣からネタを見つけようと試みた。表にはアメリカ建国の父の一人、アレクサンダー・ハミルトンが、裏には財務省が描かれ、その上には意気揚々と星条旗が翻っている。

政治・経済はお手上げなので、こいつからはじめようと思う。
という訳で第一回のテーマは「旗」

(ところで、俺が持ってるこれって10ドル札じゃね?)


アポロ13号、ヒラリーとノルゲイ、ロバート・ピアリー、未踏の地の第一歩には旗が付き物。文章という初の舞台に対して、僕も先人の例に倣い、このテーマを処女地に突き刺してマーキングすることにする。


意識して見ることは少ないが、旗は意外とどこにでもある。
ポールに保持された布が風にあおられ、極めて複雑にはためいている。自然のみが成しうる純粋なカオスによるあの動きを、人類はいかにして道具として機能に取り込んだのか?

そもそも旗の出自を探ることは難しい。紀元前600年から800年に成立したとされている旧約聖書内、出エジプト記ではモーセが主を「わが旗」と呼んでいる。さらに遡る事2000年、古代エジプトのヒエログリフにおいて「神/神聖な」を表す文字「ネチェル」にも旗が(可愛らしく)デザインされている。

とにかく古い。


なぜ古代の人類は旗を必要としたのか?
スコップや食器、衣服など、道具の役割はそれ自体の構造が変化しても変わらないとすれば、その目的は現代と同じはずだ。今日見ることのある旗といえば、国旗や社旗、軍隊、あとは大会についてきた部活のマネージャーくらい?
これらに共通するのは、いずれもその旗の下には所有、所属がある、という事だ。そしてそれは発明時から変わっていないだろう。

古代、全てが曖昧だった時代に、区別のできないもの(土地や集団)を明確に区別する、あるいは所有者、権利者を明確にするための「印」として、旗は生まれた、と言える、と思う気がする、よね?


ともかく、平らな大地に堂々と立ち、「私(たち)」を宣言する旗は勇ましくも美しい。


ついつい「チ○コの暗喩だ!!チ○コ、チ○コ!!」と言いたくなるワタクシのフロイト的発想は捨てておき、ここは一つスヘンマケルス博士の言葉を借りて「垂直、すなわち太陽の中心から発する光線の深遠なる空間運動」の顕現である!という事にしておく。

(ところで、俺が持ってるのはやっぱり10ドル札でした)

深遠なる空間運動、はいいとして、そのシンプルな構造と的確な機能ゆえに旗のデザインは変わることなく採用されている。

1000年耐えられる「カタチ」はデザイナー(というか僕)の目標であり、旗はその実例の一つとして今も至る所に屹立している、という曖昧な結論の元、第一回のこの場所に僕の旗(チ○コではない)を立てた事にする。


長野光宏(造形作家)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?