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武井守成「落葉の精」(練習63) 〜 「青本」和声分析25


武井守成: 落葉の精 概要

A - B の2部形式。あえて調を書くのであればイ調だろうか。
基本はヨナ抜き短音階で良いと思うが、それよりももっと自由に音が使われている。尤も日本の民謡においても歌いやすさ重視か、特に高音域でイレギュラーな音が出てきがちと聞いたことがある。
細かい部分はさておいても「演歌」みたいな印象の小品。
この曲もまた和声的に見るのが良いのかという問題がある気がするが、ひとまずチェックしてみる。

和声分析

Aパート

基本2声で書かれていて、あまり和声的ではないが、一応記号を振っていった。声部が控えめというのはギターという楽器の特性もあるかもしれないが、この作品の場合はあまり音を増やす(和声的になる)と雰囲気が変わってくるというのもあるだろう。特に前半後半通してイ調で導音となるGisが1度しか登場しないというのは意識しておくべきだろう。


Bパート

後半で特筆しておくべきは下段のrallentandoからだろう。
ここでFisを出すことにより、今までがイ短調的だったものがイ長調的になり、雰囲気がガラッと変わる。そしてこのFisというのは「ピカルディの三度」で終わるための布石だろう。別にこれがなくてもイ長調の主和音を使うことは可能だが、唐突感を弱める、あるいは終結部をより明るいものとするためにFisを使ったのだろう。

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