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N. コスト「アレグレット」(練習56) 〜 「青本」和声分析20


N. Coste : Allegretto 概要


イ長調、2部形式。
最後の方に冒頭と同じ動機が出てくるが、始まる拍が違い、また4音しか共通していないので、A - B - A'の3部形式ではなく、冒頭の動機を用いた終結部と考えた。

和声分析

Aパート

使われている和音はTとDのみ。末尾は違うが同じ旋律の繰り返しとなっていて、和声もそれに準じたものとなっている。

Bパート

この曲1番の盛り上がりは13小節目4拍目のEからCisまで上昇する順次進行で、和声もT -  SD - D - Tのバリエーションで変化に富んだものとなっている。
15小節2拍目のDから7度下のEに跳躍するバスは、和声学的あるいは対位法的には良いものではないが、4弦解放からの6弦解放でよく響くので、流れよりも響きを取った形だろう。
17小節2拍目からは冒頭で書いた通りAパート頭の動機を用いた終結部で、使っている和音こそIとVのみだが、他の部分よりも和音が詰まっているので緊張感が高まっている。また構成音は同じだが、配置は18小節目が密集、20小節目からは開離となっており、前者は軽く、後者は充実した響きという変化もつけられている。

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