歌集 『遠ざかる情景』#6

やはり、テーマは日常である。しかし、そこにも、”何か”が、潜む。それは、暗く、黒い。

我が子の爪、あの子の肌を裂く夕刻、謝ることかな、笑い合うかな?

電灯に怪音震わせ飛ぶ虫たち、撃墜された玩具を見逃がす

煙吐く話もせぬあの子を見る日、タバコが玩具に見える早朝

俎板の檜の香に血と肝の臭み混じりし夕餉の支度

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?