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【Live2D】うちでモデリングする場合の原画データについて


はじめに

今回は「一束にLive2Dモデリングを依頼する際に、どんな原画を用意すればいいか」についての解説記事になります。

「絶対にこうしてほしい!」というものではないのですが、「どうすればいいですか?」というお問い合わせが多かったのでそれに答える形です。
ご依頼主様はぜひ作画ご担当の方(以後、作画担当者様)にこちらをご紹介いただければ幸いです。

まず最初にお伝えしたいのですが、私の原則的なスタンスは「パーツの再分割は出来るだけこっちでするよ。でも原画の印象を損なわないようにするのが最優先」です(デザイナーの業務にパーツ分けが含まれていると思ってるので、パーツ分け自体も指示書の作成もそもそもこっちの仕事だと考えています)。

パーツの分け方はモデルの動きに直結する大事な要素ですが、だからこそデザイナーの癖や好みが大きく出ます。ここでモデルのクオリティが半分以上決まると言ってもいいぐらい。しかも同業者間ですら分け方は結構違ってきます。
なので、作画担当者様は「完璧にパーツ分けしたデータを渡さないといけない」とは全然思わなくて大丈夫!です。

かと言って、全くパーツ分けがされていなかったり、かなりの整理が必要なデータの場合は、その作業にかかる費用を多くいただくことになります。うちではこれを「モデル持ち込み料」として見積もりに計上しています。
また、こちらで加筆が難しい場合は作画担当者様に修正をお願いするケースもございますので、原画の修正の可能性は高くなります。

ご依頼主様の金銭的・時間的コストの削減や作画担当者様の負担軽減のためにも、これから紹介する内容にできる範囲でご対応いただけると、とてもとてもありがたいです。

必要なデータ

まずは、Live2Dモデル用の原画で必須の要素について。ここは私にも修正できないので、必須でお願いしたい部分です。

・RGBモード/8bitチャンネルのpsdデータ
・キャラクターの短辺が4000〜6000px/300〜350dpiぐらいを推奨
  ※長辺が10000pxを超える場合は要相談
・キャラクターの中心(原則的には鼻や顎)を画面の中心にする
・マスク機能は使わない(※作画中に使った場合は統合しておく)
・乗算以外の効果レイヤーは(パーツごとに)統合しておく

【サイズについて】
高解像度・大きいサイズになるほどアップ(いわゆる「ガチ恋距離」)に向きますが、その分データが重くなります。ある程度大きめに画面に表示した時に支障がないラインで制作してください。

【マスク機能について】
イラストをパーツ分割する際にはむしろマスク機能を使うことを推奨します。が、インポート画像として書き出して渡す時には統合しておいてね、ということです。Live2D側で表示がバグっちゃうので。

といった点にご注意ください。

特に、Live2Dで使えるレイヤーモードは【通常】【乗算】【加算】のみ(かつ加算レイヤーはあんまり推奨しません)ですので、作画の時点では各種効果レイヤーを使用していただいても構いませんが、統合した際に印象が変わらないようにご調整ください。

その他、データ作成状の注意点やインポート用画像を作る方法については、Live2D社の公式ページで詳しく解説がありますので以下ご参照下さい。

また、表情やポーズの差分をご希望の場合は、それ用のパーツ(汗や涙、青ざめ、瞳のハイライト、手の差分など)もご用意ください。

出来るだけ分けてほしいパーツ

次に、「出来るだけ分けてほしいな、そうするとだいぶ工数が減らせるな」というパーツです。上にあるほど優先度高めです。
出来るだけでいいと言いつつ、こうして描くと結構ありますね、すみません…。

・後頭部や胴体の背面など
・髪飾りと髪パーツ
・装飾品などの揺れもの(ピアス、ネックレス、ストール、リボンなど)
・頬(輪郭の縁で途切れさせず、円形になるように)
・唇の線、口中、上歯、下歯、リップ(あれば)
・前髪の影、その他(服や装飾品など)揺れものパーツの影
 ※影パーツは【乗算】モードだとなお良し
・目のパーツ
・輪郭線と輪郭の色

特に手前のパーツで大部分が隠れてしまうもの(後頭部など)は、こちらで形を予想するのが難しいため、必須で描いていただきたいです。

あとは半透明のパーツです。加筆が難しいので、不足があった場合に原画の印象と微妙に違ってしまう恐れがあります。
対策としては、【不透明度100%の通常レイヤー】で描画後、レイヤーの透明度を下げて透かしていただけるとこちらでも修正がしやすくて助かります。

髪と顔のパーツはちょっと複雑なので、下のモデルをサンプルに、画像付きで解説していきます。

l2dLAB_サンプル-1

顔と髪のパーツ分けの詳しい解説

ここで各パーツの分割方法を詳しく紹介していますが、あくまで「最大限分割した例」になっています。この通りにしていないとダメということではありませんので、分割必須以外の部分は、負担のない範囲でご対応いただければと思います。

もう一つご注意いただきたいのが、これらは「一束がモデリングする場合」のお願いだということ。他のデザイナーさんにご依頼される場合は、そちらでご相談くださいね。

さて、まずは目のパーツです。ここが一番分割数が多いですね。
分割必須のパーツは特にはないのですが、瞳はまぶたで見切れる部分も描いて、白目パーツにクリッピングしていただけた方が、作画担当者様の特色が隅々まで反映された瞳にできます。

パーツ分け_目

意外と見落としがちなのがアイシャドウや二重のライン。
ハイライトを分けてあると、揺らしたり消したりと表現の幅が広がる。

次に口パーツ。口の中のパーツ(歯・舌・口中)はこちらでは描き足せないので必須です。

パーツ分け_口

私は基本的に閉じ口から形成するタイプのため、閉じた状態の口で作画するか、または下絵があるとありがたい。
右図ではかなり細かく分けているが、肌パーツは作らず、歯・舌・口中を非表示にするだけでも構わない。

そして、髪パーツ。後ろ髪は必須パーツです。
その他は基本的には大きな毛束ごとに分けると考えていただければOKです特に重なっている部分が大きければ大きいほどこちらで形の補完がしにくいので、レイヤー状になっている毛束は分けていただく方がありがたいです。

パーツ分け_髪
パーツ分け_後ろ髪

後頭部や後ろ髪は手前の体で大部分が隠れてしまうため、こちらで形の予想がしづらく加筆が難しい。

参考例では結構細かく分けていますが、割とざっくりで大丈夫。後頭部も、一部欠けているぐらいならなんとかできます。

そして輪郭パーツ。顔まわりの残りの部位ですね。
髪の影は後から分割しにくいので分けていただけると大変ありがたいです。乗算モード推奨です。あと、輪郭より大きく(はみ出している部分まで)描いてあるととても助かります。

パーツ分け_顔

輪郭線は輪郭色と統合されていても対処できるので、無理に分ける必要はない。

ちなみになぜ輪郭線と輪郭色を分けるのかと言うと、顔の角度に合わせて顎のラインを消したり、影や生え際、頬などが輪郭線に干渉しないように輪郭色と挟んで配置したりするためです。モデルのデザインや動かし方によっては必須じゃないです。

体のパーツ分けについて

体は、衣装やポーズによってかなり違ってくるので具体例を出せませんが、基本的には「前後で重なっている部分は別にする(隠れている部分を描き足しておく)」を意識しつつ分けていただければ大丈夫です。
(公式に解説があるので、概ねこんな感じでお願いします)

服のシワは分ける必要はありませんが、装飾品(リボンやネックレスなど)の影は別パーツ(乗算)にしていただけていると作業がやりやすいです。

また、ケープやマントなどの大きな揺れものや髪や腕で隠れている部分なども描き足しをお願いします。

その他にご注意いただきたいこと

以下は、イラストレーターさんの負担にならない範囲でご対応いただけると助かることについてです。

それとこれが一番大事なのですが、イラストは後日修正の可能性がありますので、修正可能なレイヤー統合前のデータをお手元で保管していてくださいね。

<パーツの命名>
腕や足などの左右のあるパーツは、「キャラクターにとって」の方向で名付けてください。つまり、「私たちから見て右側」ではなく、「キャラクターの左側」という感じです。

<下絵の作成>
笑顔やその他表情にこだわりがある場合は、下絵や見本をご用意いただけますと安心です(ない場合はこちらのイメージで作成させていただきます)。

<左右対称パーツの作画>
耳や腕、脚などが左右対称の形をしている場合、コピペで完全に左右対称にしていただけると助かります。ただし、こちらは作画の都合やポージング等にも影響があると思いますので、可能であればで構いません。

<ポーズについて>
上記で左右対称パーツについて触れましたが、モデル全体のポーズ自体は左右対称でなくても構いません。むしろ直立よりも多少ポージングされている方が魅力的でオススメです。
が、顔は正面向きでお願いしたいです。待機ポーズ時に顔に角度をつけたい場合は、モデル側で調整しますのでお知らせください。

もしどうすればいいのか迷ったら

ここまでに言及されていない部分について、どうすればいいか迷ったら。

イラストレーターさんの判断で、いつも通り描いていただいて問題ありません。むしろお願いします。

モデリングを進める上で、パーツの再分割や描き足しがどうしても発生するんですね。完璧と思われた原画データでもです。
なので、原画が完成する前に細部の調整を繰り返しても、作画担当者様とこちらの双方にとって、時間と手間が余分にかかってしまいスケジュールや工数が増える結果になります。
それなら一度イラストを完成させて、全体を見て修正した方が早いし正確です。

冒頭でもお伝えしましたが大事なことなのでもう一回。
作画担当者様は「完璧にパーツ分けしたデータを渡さないといけない」とは全然思わなくて大丈夫!です。

どうしても心配だったり気になる部分がある場合は、ラフをお送りいただければパーツ分けの指示書を作成いたしますのでご相談ください。

たとえ分かれていなくても

あれこれ言いましたが、実は究極、一枚絵でも大丈夫です。
実際、3Dで作られたキャラクターデザインのスクリーンショット画像を分解してLive2Dでモデリングした経験もあります。

これは私の強みの一つかなと思うのですが、私はイラストレーターでもあるため、パーツの再分割や加筆修正にある程度は対応できるのです。

とは言え、原画を担当された方ご本人ではないので、再現度は100%ではありません。
モデルを動かした時に原画の印象が変わってしまうような要素(個人的な感覚で原画の印象再現度が90%以下になる場合)については、作画担当者様に加筆をお願いしたり、もしくはこちらで描いたパーツに問題がないかご確認いただいたりしています。

加筆をお願いする際は、なるべく分かりやすく・手間を少なくできるよういたしますので、ご協力いただけますと幸いです。

おわりに

結構細々としてしまいましたが、作画担当者様側でパーツ分けが難しい場合は、できる範囲でご対応いただければ問題ありません。

上記の通りに完璧にパーツ分けをしていただいた場合でも、モデリングの過程で私の方で再分割をすることは多々あります(というか必ずあります。そのため「モデル持ち込み料」として作業費用をいただいております)。

またちょっと話は逸れますが、パーツ分け作業も含むと普通に絵を描くよりかなり手間がかかると思います。Live2Dモデル用の作画を担当される際は、ぜひ作業量を含めた料金設定をしてくださいね!

以上、パーツ分けの解説でした。
細々と恐れ入りますが、活き活きと動くLive2Dモデルの完成を楽しみにお待ちいただけますと幸いです。

おまけ:イラストのポーズについて

別の記事でも紹介しているのですが、Live2Dモデル用のイラスト制作に関わると思ったのでこちらにも掲載します。参考になりましたら幸いです!

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