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恋人や愛人は美しく濃く囲え!

将棋の囲いにおいて、とても美しいとされるものがある。
「美濃囲い」だ。

名前の先頭に「美」がくるのだから、この時点で期待大である。
しかもその次には「濃」ときた。
美しく濃い。
名が体を表している。

基本的に、美濃囲いは振り飛車を採用する際に用いられる。
中飛車でも、四間飛車でも、三間飛車でもいいのだが、左辺に飛車を振ったら、レッツ美濃囲い。
右辺に王将を動かしていき、2筋に鎮座させる。
2八に王将を置く形だ。
そこで、3九にいる右の銀将を、ひとつ上(3八)に上げる。
これで半分は完成。
この時点での名称を「片美濃囲い」という。

ここから、6九に位置している左の金将を右上(5八)に上げる。
これで麗しき美濃囲いの完成だ。
ぜひとも盤で並べてみてほしい。
この、いわくいいがたい美しさを感じていただけるだろうか。
金銀3枚で王将を守る合理性と、俯瞰したときに感じる幾何学的な美しさが、なんとも絶妙な加減なのである。

ただでさえ強く美しい美濃囲いだが、驚くなかれ、ここからさらに進化するのだ。
詳細は割愛するが、美濃囲いから「高美濃囲い」、高美濃囲いから「銀冠」へと進化していく。
美濃囲いですら、素晴らしいというのに。
銀冠などはもはや王の風格。
本来、囲いは守りのためにあるものだが、ここまでくるともはや攻めている。
それほどに、王将が銀冠をかぶる様は圧巻なのだ。

この美濃囲いや銀冠を愛するあまり、生涯振り飛車を使うと決めている「振り飛車党」もいるほど、将棋の囲いを語る上では欠かせない存在なのである。

恋人や愛人も、美しく濃く囲いたいものだ。

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