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詩「愛情表現」

花に水をそそぐ。
花を愛してみる。
花へ笑いかける。
自分自身の傷をいやすために。
自分自身に酔うために。
自分自身に救われるために。
自分自身を救うために。

花を使って、花を利用して、わたしのことをなぐさめる。
しおれたこころが洗われてゆき、うるおいが少しの間わたしを包む。しばらくしてまたかわく。
(本当に水やりを求めているのは、紛れもなく、こころを含めたわたしのからだ全身だ。)

花に水をそそぎたい。
花を、愛すべきものという名のうつわにして、
好き勝手に、自己中心に、
乱暴なまでに世話したい。
正しい育てかたも、花の状態も、わたしのいびつさも。
すべて知らないふり。知ろうとしなくて良いと思いこんたまま。思いつくままに水をやる。
何かを愛せるわたしでいたい。
何かを愛するわたしが良い。
何かに愛をそそぐ。そのときにしかない快感。
その快感を何よりわたしは愛している。


くたびれた花に別れを告げ捨てる時、愛したひとのことを思い出した。
笑うのが下手になったそのひとは、何も言わずわたしから離れていった。

わたしの愛情表現は、いつから現実逃避になったのだろう。


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