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詩・バレンタインの待ち合わせ

心の底から他人を愛する自信はなくて、
それを自覚してるからわたしはまともです。
ひとりという望んで選んだ自由を、寂しさでコーティングして振りかざして遊んでいること。もし友達に否定されたって、それでもわたしはわたしが正常だって信じてる。疑えないし、変われない。わかってる。


退屈なひとこの指とまれって言ってみたら、
人差し指にわたしじゃないひえた体温。
あなたはだあれ?って問うようにして、
指先からたどって彼をさぐる。
互いを観察するように、言葉を慎重に選んでする、ジェンガみたいな会話。それを楽しいとまだ思えてなさそうな彼は、それでもわたしと会話を続けたがった。


ひとりぼっちとひとりぼっちがカチリと上手くかみあっただけの出会いを、運命って呼びたくなること。今ならなんとなくゆるせそう。
甘党じゃないくせにチョコレートをほしがることは、別におかしなことじゃないって心から思うんだ。

彼の好みかどうかは別として、わたしは彼へ渡すチョコレートを買って。彼が会いに来るそのときを、こんなに素直で残酷な言葉を吐きながら待っている。

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