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可愛いって、思いたい
2024年。完全にとはいかないけれど、コロナ禍も落ち着いてきた。冬のはじめにはコロナもインフルエンザも流行ったけれど、それもだいぶ収まったような気がしている。それでもわたしは、外出するときマスクは毎回つけている。
常にマスクをしていても、なんの違和感も持たれない時代になった。職場では今、マスクを着用するかどうかは個人の判断にゆだねられているのだけれど、他のスタッフさんもわたしも、みんなマスクをつけている。それぞれに理由があるのかもしれないし、誰かひとりがマスクを外したら自然と周りもそれに続くのかもしれない。(そういうことって、わりとある。)
わたしは、身だしなみを整えるためにマスクをしている。出勤のたびにメイクをするのが面倒になってしまったから。マスクをして、顔の半分を隠していると、「ノーメイクでもまあ、いいんじゃないかな?」という気分になるから。
そうしていくうちに、気がつけば休日もメイクをしなくなっていた。知っている誰かと会う予定とか、すこし栄えてるほうの街へお買い物に行く予定とかがあるならメイクはするのだけれど、最近は出かけるとしてもほとんどひとりだし、ひとりだとなんとなく遠出もしなくなっていた。
メイクをすることが減ったからなのか、なんだか自然に、必要最低限のボディケアしかしなくなっていった。朝の洗顔のあとの化粧水と乳液をさぼる回数が多くなった。顔のうぶ毛とか、腕や脚の毛も、「そろそろやらないと、」と思いつつずっと後回しにしがちだった。
「時間やば〜仕事行かなきゃ〜」と、「疲れた〜寝たい〜」とを繰り返していくだけになっていて、知らないうちに清潔感を自分自身に求めなくなってしまった。年明けからやらなきゃと考えているダイエットは、もちろん手つかずのまま。
(楽しい予定が特にないから、メイクしない)
(メイクしないし、諸々のケアも雑でOKかな)
(雑な状態のままだし、次の休みも地味に過ごそうかな)
(地味な休日ばかりだなあ、なんだかなあ……)
そんな感じで知らないうちに悪循環にはまっていたようで、昨日の夜は妙に自己嫌悪が加速していた。自分がこのまま、鈍っていって、腐っていく予感が止まらなかった。こんなわたしのこと、誰も素敵だなんて思わないよって強く否定して。こういう苦しさを抱えたまま、あと何十年も生きるのかなって途方に暮れて。
自分にとって優しく響く音楽を聴くことで、意識をそらしてなんとか眠った。
寝て起きたらわりと気分はなんとかなっていて。
(今日の休みは遠出はしないけれど、最近買った服を着たいし、きちんとメイクをしてみるか〜)と洗顔して、化粧水と乳液も顔にぬって。
はさみで軽く眉も整えて、いつもよりちょっと丁寧にメイクしていくうちに、なんとなく元気が増していくのを実感した。
(今日ちょっと可愛いかも?)とか、たまに自分でうぬぼれることって、わりと心のために重要だったんだな〜って。普段から美意識をちょっとでも持つこと、心がけないとまた沈んでしまうな……って。自分なりに反省、発見した。
自己満足だとしても、自分くらいは自分のこと、可愛いって思えたら良いなって。そう思える自分でいたいなって。
たぶん、明るく楽しく日々を過ごすには、こういうコツというか、おさえておくべきポイントがあるんだろうなあ。それなりにきちんと清潔感を持つことがそのうちのひとつで。きっと他にもまだ色々あるはずで。まあ、時間が経てばまた忘れてしまうかもだけれど、そうしたらまた思い出せたら良い。
明日の仕事もきっと、わたしはマスクをするけれど。それでも、久々に軽くメイクしていくのもありなのかもしれない。せめて洗顔後の化粧水と乳液はちゃんとやるか。髪もちょっと整えて。ちょっぴり耳の後ろに香水をつけるのも良いかもな……。
明日はすこしだけ可愛いわたしで、仕事しちゃおう。
そうたくらみながら、お風呂の栓を抜いた。
今日は早めの時間から、ゆっくり湯船に浸かろう。
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