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「校正ゲンバ回顧録⑤」【問:「~にかかわらず」は2010年採用の常用漢字で「~に関わらず」と書くべきでしょうか?】〈かかわらずについて①〉

【2021年頃記録】

【このたびは突然のお願いだったにも関わらず
諸々ご協力いただきまして、誠にありがとうございました。】

「~に関わらず」は現状では誤記という解釈になります。
共同通信記者ハンドブック等でも同表現は「~にかかわらず」となっていて各紙でもひらがなを使用しています。
「~にかかわらず」は「~に拘わらず」と表外字では表現されます。

この表現は「関係する」意味ではありません。「こだわる(拘る)」意味のようです。

これは日本ではかつて漢文風の表現で不拘と書いて「かかわらず」と読ませる習慣があったことによるようです。
正確な情報はまた自分で確認なさってみてください。

新常用訓では確かに「かかわる」は「関わる」と読めるようになりました。

しかし、「拘わる」意味は現状では漢字の意味からは「関わる」とは異なりますし、「かかわる」には常用外表記では「関る、係る、拘る、係わる、拘わる」という表記もできますし、「係る」の場合は常用訓で「係(かか)る」と読むことができます。

特に「係る」は法律上の条文等に「~に係(かか)る」と頻出します。

古い小説では「係る」と書いて「かかわる」と読ませる表記もあります。
注意が必要です。

いずれにしても、「~にかか(拘)わらず」がいずれ「~に関わらず」に揺れて広がっていくことは避けられないとは思います。
しかし、確定していない表現をライティングの会社が率先して使うことは避けたほうが無難です。
校正の五行の作業においても、まず「~にかかわらず」に統一する方向で注記等を行い、採用されなければ放置しますが、
それでも「現時点での誤用、誤記」の立ち位置は変えていません。
どうか、今後とも注意してみてください。

こういうささいなことが、いずれ信頼関係に影響するものです。
不明点はお尋ねください。いつでも協力させていただきます。


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