クソったれ世界に用があるんだよ

何もない。何者にもなれない。友達もいない。
そんな私に「クリープハイプ」だけがあった。


今から10年前、私は高校生だった。
その頃から邦ロックブームの気配がし始めていた。
私のマイブームは、「誰よりも早く新しいバンドを見つけること」だった。いわゆる何か鼻につくサブカル女子の前線だった。
朝からスクールバスの1番後ろの席の窓側に座ってヘッドホンを当たり前のように装着し、3Gと4Gの狭間でYouTubeを漁っていた。

ある日、関連動画を見ると他のバンドとは雰囲気が違うバンドがいた。今は普通になりつつあるが、当時歌詞を大々的にMVに映し出しているバンドは少なかった。(サカナクションくらい)
そんな中これでもかってくらいデカい文字を映し出しながら歌っているバンド。

そう、これが左耳/クリープハイプとの出会いだった。

その日からクリープハイプを聴きまくる生活が始まった。
TSUTAYAに行ってこれまでのアルバムを借りてウォークマンに入れて、次の曲が分かるようになる程リピートした。

高校生の薄っぺらな人生にクリープハイプの曲はオトナ過ぎたが無理やり恋愛だの人間関係だのをこじつけて解った気になって聴いていたら、周りには友達が居なくなってた。

でも、ライブに行けば“フォロワー”がいた。
それだけで良かった。
それだけに縋っていた。

そんな日々が大好きだった。
授業中、先生の言葉なんて要らなかった。
必死に歌詞カードに並んでいるコトバを書き写して満足だった。

それから、10年が経ち残ったのはバカな頭とクリープハイプの掛詞だけ。

お前らのせいだよ!
世界がクソッタレ世界になったのも。
変な恋愛感をもったのも。
エロいことを沢山知ったのも。

でも、でもね、だからね、お前らにしか用は無いんだよ。
ありがとう。
バーカ。

お願いだから、お前の変な声の変なバンドのままでいてね。
大丈夫だよ。ずっとここに居るから。

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