「なぁ、アポロって知ってるか?」 昔、一人の友人がいた 彼とは幼い頃に会ったきりで、今となっては名前も思い出せない だが、あの日の出来事だけは、不思議と鮮明に記憶し…
鳥の声 眩しい昼の太陽が、暑いという訳でもなく、優しく光っている よく手入れされた芝と木々の間に敷かれた石畳の道 すっかり使い慣れた松葉杖で体を支えながらその真ん…
今日、初めての恋人ができた 何も持っていなかった私を、彼は一番だと言ってくれた 彼といると毎日が幸せで、空っぽの私は満たされていった ある時、彼が事故に遭った 「…
もりです
2020年2月6日 17:13
「なぁ、アポロって知ってるか?」昔、一人の友人がいた彼とは幼い頃に会ったきりで、今となっては名前も思い出せないだが、あの日の出来事だけは、不思議と鮮明に記憶している「アポロ、知ってるだろ?宇宙船だよ。テレビでよくやってる、月に行ったってやつ」そいつと僕はかなり仲が良く、放課後は二人で近場の海岸へ遊びに行くことが日課になっていた仮に彼をカイと名付けようカイは随分と変わった奴で、無邪気で
2020年2月5日 16:54
鳥の声眩しい昼の太陽が、暑いという訳でもなく、優しく光っているよく手入れされた芝と木々の間に敷かれた石畳の道すっかり使い慣れた松葉杖で体を支えながらその真ん中を歩くと、まだ春には遠いというのに、早めの花がちらほら見えた入院なんて、一体いつ以来だっただろうか傍のベンチに腰掛けて、大きな病棟を仰ぎ見る勤務先の火災から四ヶ月と少し全身を覆っていた包帯も随分少なくなり、今ではこうして歩き回れ
2020年2月5日 16:46
今日、初めての恋人ができた何も持っていなかった私を、彼は一番だと言ってくれた彼といると毎日が幸せで、空っぽの私は満たされていったある時、彼が事故に遭った「もう歩くことはできないだろう」と医者は言った悲しむ顔を笑わせたくて、私は彼に足をあげた両足を切断した歩けなくなった私を、彼は生涯守ると言った出掛けることは難しくなったけれど、それでも私は嬉しかったある時、彼が怪我をした「