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人類は月へ行ったか

「なぁ、アポロって知ってるか?」 昔、一人の友人がいた 彼とは幼い頃に会ったきりで、今となっては名前も思い出せない だが、あの日の出来事だけは、不思議と鮮明に記憶し…

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4年前
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抱いた想いの名前

鳥の声 眩しい昼の太陽が、暑いという訳でもなく、優しく光っている よく手入れされた芝と木々の間に敷かれた石畳の道 すっかり使い慣れた松葉杖で体を支えながらその真ん…

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恋人

今日、初めての恋人ができた 何も持っていなかった私を、彼は一番だと言ってくれた 彼といると毎日が幸せで、空っぽの私は満たされていった ある時、彼が事故に遭った 「…

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4年前
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人類は月へ行ったか

「なぁ、アポロって知ってるか?」
昔、一人の友人がいた
彼とは幼い頃に会ったきりで、今となっては名前も思い出せない
だが、あの日の出来事だけは、不思議と鮮明に記憶している
「アポロ、知ってるだろ?宇宙船だよ。テレビでよくやってる、月に行ったってやつ」
そいつと僕はかなり仲が良く、放課後は二人で近場の海岸へ遊びに行くことが日課になっていた
仮に彼をカイと名付けよう
カイは随分と変わった奴で、無邪気で

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抱いた想いの名前

鳥の声
眩しい昼の太陽が、暑いという訳でもなく、優しく光っている
よく手入れされた芝と木々の間に敷かれた石畳の道
すっかり使い慣れた松葉杖で体を支えながらその真ん中を歩くと、まだ春には遠いというのに、早めの花がちらほら見えた
入院なんて、一体いつ以来だっただろうか
傍のベンチに腰掛けて、大きな病棟を仰ぎ見る
勤務先の火災から四ヶ月と少し
全身を覆っていた包帯も随分少なくなり、今ではこうして歩き回れ

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恋人

今日、初めての恋人ができた
何も持っていなかった私を、彼は一番だと言ってくれた
彼といると毎日が幸せで、空っぽの私は満たされていった

ある時、彼が事故に遭った
「もう歩くことはできないだろう」と医者は言った
悲しむ顔を笑わせたくて、私は彼に足をあげた

両足を切断した
歩けなくなった私を、彼は生涯守ると言った
出掛けることは難しくなったけれど、それでも私は嬉しかった

ある時、彼が怪我をした

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