下町芸人物語~思い出の飯屋~

うちの近くに昔から中華料理屋がある。

中華料理と言ってもらーめんとか定食とかチャーハンとか。なんでもあるみたいな感じ。

“昇龍”というお店。

多分俺が中学生の時から家族で通ってる。

いつも休みの日に行く為日曜日が多かった。

そのお店には小さいTVが置かれている。

だいたいプロ野球がやってたり鉄腕DASHがやってたり。

そんなん見ながら親父が母ちゃんに一方的に喋って1人で笑ってたなって思い出す。

俺と兄貴は飯を食ったらすぐに家に帰るのがお決まりだった。

親父と母ちゃんを待つことなく帰る。

そうするとお決まりで親父が

「食い逃げだぞ〜!」

って周りも気にしないでデカい声で言い放つ。

いっつもそのくだりは滑っていた。

ただただ恥ずかしかった。

店主のお母さんはいつもニンマリした顔で
「ありがとうございましたー!」って言ってくれた。

今でもその昇龍にはごく稀に行く事がある。

兄貴はもうしばらく来ていないが、兄貴を除いた3人で行く。

親父と瓶ビールを注ぎ合う。

母ちゃんは飲まない。

みんなで乾杯をしてビールを流し込む。

ハァ…‼︎

声が自然と溢れる。

なんか俺も随分大人になっちまったなあなんて思いながら。

俺が芸人をやってるのはお店の人も知っている。

家族経営でお母さんがいつもホールに1人で立っていてお父さんが厨房で1人切り盛りをしているのだろう。


たまに頑張ってねって言ってくれる。

昔からお世話になってるこのお店に。

いつか還元出来たらいいななんて考える。

昇龍を出て家に帰る道中焼肉屋がある。

“香養”コウヨウ

ここは多分俺が小学生の時からお世話になってる。

昔に蜂の巣とゆうがメニューにあって食べた事がある。

なんか蜂の巣そのままらしい。
まあ食べれるなって感じだった。

それがなんか凄い俺の中で強い衝撃を覚えてる。

衝撃?なんか強烈に覚えてる。

去年くらいに初めてそこのおばちゃんに芸人やってる事を親父が言って色紙にサインを書いた。

凄い照れ臭いけど書かせてもらった。

そのすぐに解散しちゃったんだよな。

それ以来行けてないなあ。

そんな事を今日お風呂上がりに歯を磨きながらふと思い出してると

「おれ21までお盆休みなんだよ」。

親父が話しかけてきた。

そーなんだ。と返すと

「どっかで焼肉行こうぜ。」

おお。ちょうどじゃん。
ドンピシャすぎてびっくりと共に嬉しかった。

おお。って歯磨きながらこれぐらいの返事しか返せなかったけど


マジ行こうぜ!!!!!!!って感じだから。

ノリノリだから。

楽しみだな。焼肉。

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