ハック思考〜最短最速で世界が変わる方法論〜(読書メモ)
単なるハウツー本ではなく、ビジネスの心得が学べる良書です。
本書は、元・リクルート執行役員で現在はWebサービスやモバイルのUI改善をするKaizen Platform社の須藤憲司さんが、ハック思考(時間×お金の転換効率を上げる知恵)を身につけることで、劇的に成果が変わることを纏めた1冊となっています。
自分は以前からスドケンさんのファンでnoteの有料マガジンを購読しているのですが、本書も期待通りの面白さで、あっという間に読破してしまいました。
ということで、毎度恒例の印象に残った内容をいくつかピックアップします。
プレイス戦略が最重要
これを読むまでは、恥ずかしながらマーケティング4P(Product、Price、Place、Promotion)のうち、Placeをそこまで重要視してなかったのですが、読み進めると「確かに!」「なるほどー」の連続でした。
社会に出て、マーケティングを実践する中で、一つ学んだことは、この中でビジネスインパクトが大きいのは、実はプレイス戦略だということでした。
皆さんが想像するマーケティングは、プロダクトやプライス、プロモーションに関することが多いと思うのですが、プロダクトを消費者に届けるプレイス(流通)が、実は最も稀少性が高く面積が限られているものなのです。
実はすべてのビジネスは、人の時間を押さえている流通チャネルの争奪戦だと言っても過言ではないわけです。
よく言われる販促費のマーケットというのは、誤解を恐れずに言えば、この一等地を買い占めるための実弾に近いお金と言えると思います。
マーケティングというと、プロモーションとかブランドとかプロダクトが何か、ということが注目されるのですけれど、強いビジネスというのはすべて徹底的に考え抜かれたプレイス戦略の上に構築されています。
未来の売上は採用活動から生まれる
この言葉に痺れました。採用の重要性を示すこれ以上ない表現だと思います。
また、「良い採用は諦めから始まる」という考えも非常に本質的で新たな気づきでした。
今日の売上は、営業活動によって実現できますが、未来の売上は採用活動から生まれます。
採用のことを考えていない経営者は、いないのではないでしょうか?それくらい重要なファクターです。
良い採用とはどういうものだろうかと考えてみると、シンプルに、採用をどのくらい重要だと思っているか、に尽きるように思えます。
もちろん熱意や待遇だって大事だと思いますが、最も重要なことは、最高の仲間を採用しないと会社が生き残っていけないと思っているかどうか、ではないかなと思っています。
自分たちの中に解決策がないと腹落ちしていればいるほど、組織の採用に対するアテンションが上がっていくということです。自分たちで頑張ればできると皆が腹の底で思っている限り、この優先順位は上がりません。
実は「良い採用は諦めから始まる」というのが僕の最大の発見でした。
他人の評価はいつだって遅れてやってくる
激しく同意です。経験上からも、本人が評価を求めるタイミングと他人が評価するタイミングはほぼ一致しません。ただ、それに腐らず努力し続けられるかが、その後のキャリアの分岐点になる気がしてます。
「なんか、良いこと言ってると思うんだよね。よくわからないんだけどさ。それを3年間ちゃんと言い続けられたら、きっと評価されてるはず。評価されてなければ辞めちゃえ。大事なことは、3年間はまったく評価されなくても言い続けることだ。時流とか他人の評価とかはいつだって遅れてくるもんだから 」
今の仕事の頑張りというのは、3年後くらいにようやく評価されるものだと言われました。
ただ、リクルートの査定というのは半期毎だったので、「そうかー6回くらいかかるのか」と若干評価制度そのものの不備を感じたものの、そういうものなんだと吹っ切れたのを強く覚えています。
おかげで、のびのびと仕事をすることができました。
ちょうどこの 3年後に、事業部長になっていたのも印象的です。
自分がこの会社で働きたいと思えるか?
この言葉もグッと刺さりました。シンプルなのに深いです。
起業なんてしたこともないど素人の僕が、どういう会社をつくりたいか?を考えて最初に決めた経営における判断基準は、 「自分がこの会社で働きたいと思えるか?」ということでした。
ツッコミどころが満載の会社をつくっていこう、そこで働いている人が勝手に手を差し伸べたくなる、いじりたくなるような余白のあるシステムをつくっていこうというのが僕の最初のコンセプトでした。
そうして、ここで働く一人ひとりが自分にとっての理想の会社を一緒につくっていけることが、自分にとっての理想の会社の在り方であると考え、そこから会社のデザインを始めました。まあ、要は良くできたシステムよりも、自分たちがハンドルしてデザインできるシステムをつくっていくことから始めたということです。
まとめ
本書を読み進める中で強く感じたことは、スドケンさんは決してスーパーマンだったわけではなく、多くの出会いによって得た学びを自身の知恵に変えているということでした。
また、それは「好奇心をもって当たり前を疑うこと」を徹底しているからだと理解できました。
現状に閉塞感があるビジネスパーソンにはおすすめです!
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