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1/29 目をつぶるな

昨日の帰りの電車内での出来事。こんなシチュエーションに遭遇しました。


満員電車、みんな疲れてイライラ、到着した駅から乗り込む人多数、降りる人もいる、みんなピリピリイライラ。まぁ何の変哲もないよくある光景。
扉付近に立ち止まる男性がいる、動かない。どうした?彼は目をつぶっていた。扉付近正面だ、そこは乗り降りする人が必ず通るじゃないか、邪魔になっているよ、しかし彼は吊り革から手を放そうとはせず、ひたすらに耐えている。降りる人がいようと、これから車内に乗ってくる人がいようとお構いなし。どんなに、ぶつかられようと、舌打ちをされようと、歯を食いしばり目をつぶって耐えている。

こういう人、たまに見かけませんか?

最近は車内アナウンスでも「降りる方のためにドア付近の方は一度降りて下さい」的なメッセージを発していますが、まぁ効果はありませんね。

一般社団法人・日本民営鉄道協会によると、電車内で発生する迷惑行為のランキングが発表されています。

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最も迷惑とされているのは「座席の座り方(41.3%)」次いで「乗降時のマナー(扉付近で妨げる等)(33.2%)」とのことだ。昨年順位でいうと、乗降時のマナーは4位であったから2ランクアップということになる。

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彼(といっても40代くらいの男性)は一体どうしたんでしょうか?何で俺がどかないといけないのか?とイキっているのでしょうか?足がすくんで動けないのでしょうか?嫌味でも揶揄でもなく単純に心配です。その人に何が起きているのか。

「人間は情報の75~80%を視覚から得ている」
※視覚遮断が人の行動に与える影響の実験的研究より

我々は危険を回避するために周囲の情報を収集しているとするならば、視界を遮断することとはつまり、その情報収集を放棄していることと同義な訳です。

だって冷静に考えみても、嫌だなと思う環境下で目をつぶったからといって何も解決することはないじゃないですか。一度電車を降りるとか、降りる人の邪魔にならないスペースにサッと移動するとか、方法はいくらでもあると思うのだけど、どうしてもその場から動きたくない心理というのは想像しても想像がつかない。

しかも、そういう方が決して少なくないことに驚きます。男女問わずです。

言ってしまえば、「耳にはイヤホン+目線はスマホ」という視覚聴覚をともに遮断する超最凶コンビで周囲をシャットダウンしようとする人も少なくないので、基本電車内では他人と関わりたくないと思う気持ちはよく分かります。しかし、それがどれだけ自分の身を危険に晒しているかという認識を持たねばならないと思うのは私だけだろうか。そういう意識を持ったうえでとっている行動であれば、「あーこの人はリスク選好型の人なのね」と思い諦めるのですが、見ていて決して気持ちのいいものではありません。

私も子どもの頃は、よく怖いときには目をつぶってしまっていました。
例えば、お化けが出そうな暗闇の道を走り抜ける時。ドッチボールのボールをキャッチするとき。などなど。しかし、そういう場面で目をつぶっては、ほぼマグレでない限り上手くいくことはありません。暗闇に関わらず、目をつぶって走れば転びます。目をつぶっていてはボールの軌道が分からないからキャッチできません。たとえ、怖くても嫌でも目は開けていないと何も対処のしようがないんです。

誰かに教わるとかそういう次元の話じゃない、ちょっと立ち止まって考えれば分かることです。考えることも放棄してしまったのか?と疑ってしまいます。正直な話、いい大人が目をつぶって耐え忍ぶ姿をカッコいいとも、素晴らしいとも思いません。周囲とにこやかにコミュニケーションを取れなんてことは求めていないけど、どうしてそこまで周囲との関わりを遮断してしまうのか、私には不思議でなりません。

想像力の欠如とはよく言ったもんですが、自分のことに精一杯になりすぎるあまり想像力を発揮できない。そんな嫌な時代になってしまったんですね。


※「2019年度 駅と電車内の迷惑行為ランキング」一般社団法人 日本民営鉄道協会より引用

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