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それ、人生の嘘だから…

嫌われる勇気 No17 「人生の嘘」から目を逸らすな

「そんな馬鹿な!なんのために⁉」そんな青年の言葉から始めましょう。

人生の嘘

冒頭の台詞は、嫌いな人間が沢山いるといった青年に対し、哲人が言った「Aさんの欠点が許せないから嫌っているのではありません。あなたには”Aさんのことを嫌いになる”という目的が先にあって、その目的にかなった欠点をあとから見つけ出しているのです」という言葉に対する青年の叫びです。

そう、目的が先にあって、理由は後から、しかも他者の中にでっち上げる。そういうことって…、正直あります。

「そんな馬鹿な!なんのために⁉」と叫んだ青年に、哲人は、静かに、しかし、ハッキリと言います、「Aさんとの対人関係を回避するためです」と。何はともあれ、目的論です。

青年が翻訳します。「わたしは人生のタスクを回避するため、もっといえば対人関係を回避するため、ただそれだけのために他者の欠点をでっち上げているのだと?」分かり易い翻訳です。「あの上司の指示は細かくて、いちいちうるさいんだよなぁ。本当嫌いだわ、あの上司」という時、まずその上司との関係を回避するという目的が先にあって、”細かくて嫌だ”という理由をあとから作っている。

アドラーは、さまざまな口実を設けて人生のタスクを回避しようとする事態を指して、人生の嘘と呼んだそうです。そう、仕事、交友、愛のタスク、つまりそこで対人関係に向き合うこと、それを回避する事態ですね。しかも、さまざまな口実を設けて…。

決めたのは自分

最近にしては珍しく、青年が引き下がりません。「しかし、なぜそれを嘘だと断じることができるのですか⁉わたしがどんな人生を過ごしてきたのか、先生は何もご存知ないでしょう!」、これに対し、青年が閉口する一言を哲人は言います。

「わたしはひとつだけ知っています。あなたのライフスタイル(人生のあり方)を決めたのは、他の誰でもないあなた自身であるという事実を」

あまりにもぐうの音もでないことを言われたので、青年は怒っちゃいます。「わたしを糾弾されるおつもりですね!人を嘘つき呼ばわりして、卑怯者よばわりして!みんなわたしの責任だと!」

無理もないでしょう。あまりにも厳しい言葉です。

「怒りの力で目を逸らしてはいけません。ここは非常に重要なポイントです。アドラーは、人生のタスクや人生の嘘について、善悪で語ろうとはしていません。いまわれわれが語るべきは、善悪でも道徳でもなく、…」

くるか、くるのか⁉

”勇気”の問題です。

青年と私、「またも”勇気”ですか!」

つづく

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