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脳内の流体のグリンパティック動きは代謝廃棄物を除去します。非侵襲的40 Hz刺激は複数の脳領域で40 Hzの神経活動を促進し、アルツハイマー病のマウスモデルの病理を減少させます。

https://www.nature.com/articles/s41586-024-07132-6


タイトル:

  • 英語: Multisensory gamma stimulation promotes glymphatic clearance of amyloid

  • 日本語: 多感覚ガンマ刺激によるアミロイドのグリンパティッククリアランスの促進

雑誌名 & 発行年:

  • Nature, 2024年

著者:

  • First author: Mitchell H. Murdock

  • Last author: Li-Huei Tsai

所属:

  • Massachusetts Institute of Technology, Department of Brain and Cognitive Sciences and the Picower Institute for Learning and Memory, Cambridge, MA, USA

アブストラクト:
脳内の流体のグリンパティック動きは代謝廃棄物を除去します。非侵襲的40 Hz刺激は複数の脳領域で40 Hzの神経活動を促進し、アルツハイマー病のマウスモデルの病理を減少させます。本研究では、多感覚ガンマ刺激がアルツハイマー病のマウスモデルである5XFADマウスの皮質で脳脊髄液の流入と間質液の流出を促進することを示します。脳脊髄液の流入は、星状脳脊髄液アクアポリン-4の偏極と拡張された硬膜リンパ管に関連していました。グリンパティッククリアランスを阻害すると、アミロイドの除去が阻害されました。化学遺伝学的操作と神経ペプチドシグナリング用の遺伝子エンコードセンサーを使用して、血管作動性腸ペプチドインターネウロンが動脈の脈動を調節することでグリンパティッククリアランスを促進することを発見しました。これらの発見は、グリンパティックシステムを動員して脳アミロイドを除去する新しいメカニズムを確立します。

背景:
グリンパティックシステムは脳の代謝廃棄物を除去するために重要な役割を果たしていると考えられています。グリンパティックモデルによれば、動脈の脈動が脳の血管周囲空間を通じて脳脊髄液(CSF)を駆動し、アストロサイトの足元に局在する水チャネルアクアポリン-4(AQP4)がCSFと間質液(ISF)間の交換を容易にします。グリンパティック輸送は、アミロイドなどの病原性タンパク質を含む実質代謝物の除去に寄与します。

方法:
この研究では、非侵襲的40Hz刺激が多感覚(光と音の組み合わせ)刺激を用いて行われ、40Hzの局所電位のパワーを増加させることで前頭皮質領域のアミロイド負荷を減少させました。光遺伝学的刺激や化学遺伝学的操作を用いて、この介入の臨床的応用可能性を拡大しよう

としました。

結果:
多感覚40Hz刺激は、制御刺激と比較してアミロイド負荷を有意に減少させました。このアミロイド減少は、グリンパティックルートを介したものである可能性が示唆されました。特に、グリンパティック輸送を促進することによってのみ、アミロイドの除去が達成されることが確認されました。

議論:
この研究は、非侵襲的40Hz多感覚刺激がアルツハイマー病モデルマウスでのアミロイド負荷を減少させるための有効な手段であることを示しています。これは、グリンパティックシステムのリクルートによるものであり、将来的にはこのメカニズムを利用してアルツハイマー病の治療法を開発するための基盤を提供する可能性があります。

先行研究との比較での新規性:
以前の研究では、光遺伝学的に駆動される40Hz刺激がアルツハイマー病モデルマウスの病原性アミロイド負荷を軽減することが見出されていましたが、本研究では、非侵襲的な方法で同様の神経活動を誘発することに成功しました。これにより、臨床への応用がより現実的になります。

限界:
この研究の限界は、主にモデル動物を使用している点にあります。ヒトにおける同様の刺激の効果や安全性については、さらなる研究が必要です。

潜在的な応用:
この技術は、アルツハイマー病の予防または治療に応用可能です。特に、非侵襲的な刺激方法は、日常的な臨床環境での使用に適しており、広範な応用が期待されます。

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