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3分間ラノベ

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3分ラノベ「個人情報の取扱に関する規約」

3分ラノベ「個人情報の取扱に関する規約」

<あらすじ> 息子と夕食を取ろうとしていると3人の男が訪れてきた。私が利用しているサービスの個人情報の取り扱いに関する規約に基づいて、私の個人情報を交換すると言う。息子との団欒を邪魔された私は、腹立ち紛れに個人情報の交換なんてどうやってするんだと食ってかかる。男の一人が「詳細な個人情報はその方の人生と同じです」と答えると、私の前に一人の男が立った。私はその男の顔を見て恐怖で言葉を失ってしまう。

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「カンコレ」 第三話「アニメ鎮守府の秘密」

「カンコレ」 第三話「アニメ鎮守府の秘密」

(陸奥が一人、報告書を書きながら語り始める)
 

 あらかじめお断りしておかなくてはなりませんが、私がこれからお話する物語は紛れもない事実でありながら、しかしどのような公文書にも記載されておりません。

 謎多き鎮守府の歴史の中にあっても、決して語ることを許されなかったある事実。今私が語らなければ闇の奥深くに隠され、決して日の目を見ることはなかったであろう物語。

 鎮守府の最重要機密事項であり

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【3分間ラノベ】例のフラグイベント

【3分間ラノベ】例のフラグイベント

「このアイドル、昨日も出ていなかったけ?」
「じゃあ、あんた、昨日出ていたアイドルの名前覚えてる?」
「いや……」
「顔は?」
「こんな感じだった、ような」
「朝の番組なんていつもこんなもんよ」
 姉の指摘はもっともなことだ。情報番組といっても、その内容はいつも何も変わらない。何を見ても変わらない。つまり情報量がほぼ無いのだ。
「午前8時です!午前8時です!」
その情報番組が告げる時報を見て、腕時

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【3分間ラノベ】親方ぁ、空から女の子がぁ。

【3分間ラノベ】親方ぁ、空から女の子がぁ。

「親方ぁ、空から女の子がぁ」
「おいおい、今日は金曜日じゃねーぞ」
「いや、それが……」
「まあ、降ってくるなら男手の方がありがたいがな」
「いや、でも……」
「ああ?なんだってんだ?」
「いや、ほら、あれ……」
「ん?おお、本当に人が降って……ってえらく速いな」
「ほぼ自由落下ですね」
「……」
「……」

「お前、スカイダイビングの落下速度がいくつか知ってるか?」
「えっと…」
「時速200k

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【3分間ラノベ】 桃太郎 00話

【3分間ラノベ】 桃太郎 00話

 男が木の枝にのっかって昼寝をしていると、覗きが趣味の悪友が北から飛んできて、上の枝に止まった。寝ぼけ眼だった男は、悪友が数年前に見せた、あの表情をしていると気がつき、一気に目覚めた。悪友は男が目覚めたことを認めると、興奮を抑えた声で言った。

「おばあさんが、きびだんごを作っている」

 そうか。そうか。とうとう来たのだ。男の口元が大きく歪んだ。やっと、やっと、なんの躊躇いもなく、煩いもなく、あ

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【3分間ラノベ】 冷蔵庫の少女

【3分間ラノベ】 冷蔵庫の少女

 午前2時過ぎ。咽が渇いたので、布団からはい出して台所に行き、冷蔵庫を開けた。そうしたら、暗く黄色い灯りの中でリカちゃん人形のような美少女が身を縮めて震えていた。

 俺は寝ぼけているのだろう。そう思い一旦、そっと冷蔵庫を扉を閉じた。そうして深呼吸を2回繰り返して、もう一度冷蔵庫の扉を開けた。すると、リカちゃん人形のような美少女が今度は半べそをかいて、こちらの目をじっと見つめていた。涙目の美少女と

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