見出し画像

推しの歌舞伎役者のおっかけをした話

 ひょんなことから尾上松也にハマりはじめて、ちょくちょくツイートしてましたが、ちゃんとした松也さんが出演する歌舞伎を初めて見てきました!
私は大学時代に文学部に所属しており、伝統芸能(厳密には伝承文学といいます。それは後で)の単位をいくつか取りました。伝統芸能を見に行ってレポートを出すことも数回あり、何となくの知識はあります。(埃被ってますが)
しかし、贔屓としては、ど新規。
 歌舞伎を見ること自体に敷居は感じなかったけど、「推し方」はまったくわからない。ご本人はSNSをしていないし…と思い、とりあえずググるとホームページがありました。
 後援会に入ると、詳しい情報が見られて、メールも送られてくるとのことで、年間数千円の会費で結構安めのため、まず入ってみました。(タレント活動はマネジメントが別らしく、情報が他より遅い時がありますが、それはまた別の話)
 その後援会からまだオープンになってない情報が来て、何月何日の何部か希望を言うと、お切符(チケットのことお切符と言うの何だか良いですよね)を用意してくれるシステムらしい。(今回はめちゃくちゃいい席を押さえてくださいました)
 母と一緒に行ってきたのですが、母も大学時代、京都南座に通っていたことがあり、子育てと介護が落ち着いてからまた通い初めていた様子。
 というか、私の文学好き、伝統芸能好きは母の影響を受けてるんだと思います。
 伝統芸能は日本中で色々あるけれど、能、狂言、歌舞伎が代表的と思います。(なけなしの知識で語るわよ)
能……1番古い。能面をかぶる。例えるならばオペラ。神事の意味合いの方が強い。
狂言……能の合間に演じられるパロディ、CM的なもの。昔の人はご飯食べたりトイレに行く時間だった。例えるならばコメディ。だから、大笑いして見ていいです。
歌舞伎……例えるならばミュージカル。史実から着想を得た歴史物(要するにフィクション)や、その当時起こったゴシップを物語にしたり、ワイドショーみたいな役割で、文明が成熟して大衆が見るようになりました。
これらは全部、伝承文学といいます(?これが文学と言えるのか?という論議はあるとか無いとか。)伝承というのは「口伝え」ということです。これは、文字に残さず、親が子供に口伝えで語り継いでいくということです。
 こう聞いたら、なんかそれだけで凄くないですか?セリフもアクションも歌も全部身振り手振り、全部伝言なんですよ。
 まあ、そんなわけでですね、もともと歌舞伎は好きという話です。
 さて今回見てきた演目は「傾城反魂香」「連獅子」
 傾城っていう言葉好き。中国から入ってきた言葉で「城(国)が傾くほどの美女」という意味です。何ちゅうエロくて悪い女や。皆、古典とか漢文とか嫌いな人多いと思うけど、全体的に見たら、凄く奔放で色んな感情が剥き出しで、汚くて見たくないような事もガッツリ書いてある。
なぜ青少年にそこを見せへんのやと思うくらいです。
 今回私が見た演目自体に傾城が出てくるわけではなく、ながーいお話の中の一部分だけを1時間半見たという感じです。
 本当は朝から晩まで休憩を入れながら一本の話を演じるのですがそれを「通し〇〇」と言います。聞いたことありますでしょ?
 現代の歌舞伎では通しは1年に1回ぐらいです。新歌舞伎は丸半日強通しで5、6時間ありますね。
 そんなこんなで、歌舞伎が始まったんですが、私も母も朝から浅草に繰り出して、お昼食べて歩いてオヤツ食べて歩いて満身創痍。
せっかく東京まできて良いお席で「こいつは春から縁起がいいや」といったところなのに、眠い……どうしよう寝そう……でも見なくちゃ…というところに、私の推し、松也さんが花道より登場!!きゃーーーーー!素敵!!かっこいい!!ダイナミックな演舞、お声も良く通り、なんてセクシーなの!こんな類い稀なき立役おる?めちゃいい男!そこから覚醒された私と母、物語りに引き込まれて、私は泣いちゃいました。主役は吃音の男なんですが、今はもう言ってはいけない言葉をガッツリ言っていてびっくり。まあ、そこは伝統文化なので了承するとして、しばらく見てたら、巷で問題のDVシーンもあってまたびっくり!まあ、そこも創作なので了承。笑。
 けれども、これをずっと伝承されてきて、現代にも通ずるところがあるし、昔の人の「剥き出しの感情」が表されていて、まさにそこで行われているかのような臨場感が半端じゃありませんでした。凄く面白かった!
30分の休憩を経て、次は「連獅子」なんですが、間に狂言あり。おもしろおかしい小噺で皆大笑い。これから続く「連獅子」と絡めて「獅子を捕まえにいこう!」と言ったり、この後何が起こるでしょうという期待を高める演出。まさに番宣でした。
 そして連獅子。(一三代團十郎、新之助親子も演じてたと思います。親子で演じるのはよくあるそうです)親獅子が我らが松也さん。子獅子は苔玉さん。もう、これはうっとりでしたよ。
 ずっとかぶりつきで、あの、あの松也さんが生で踊っている。生松也。生よー!ナマナマ!(てか、松也さんが登場した時に後ろの方であれ、松也さん?ってこそこそ言ってたの絶対許さん。松也出るの当たり前やろ。主催やぞ)
 最後の立て髪グルングルンのところはピッタリ合っていて、母曰く「こんなに揃ってる連獅子は珍しい」とのこと。
 てか、目の前で推しの連獅子見られるなんて神じゃね?!ありがとう!!後援会!!
 見終わった後はため息しか出ず…。母は松也さん演じる親獅子が子獅子においで、おいでってするシーンで往年の推しである勘三郎を思い出して泣き出してしまいました。(しゃらくせえっ!←さっきから何故か江戸っ子)
 余韻に浸りながら食べた江戸前寿司は本当に美味しかったです。
 あと、お三味線が知らない間にダブルお三味になってたり、超絶技巧があったり、見どころ多すぎて書ききれないんですが、ひとまずこれぐらいにしときます。
 ブラボー!!歌舞伎!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?